紫外線A波の量を光の強さから推測するだけの微妙なUVA強度計KF-90レビュー

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生活

Amazonで格安販売、公称仕様では350〜380nmの光にのみ対応する強度計KF-90

 紫外線(UV)のうち、A波(UVA)のみを対象に測定できる強度計を探していたところ、公称仕様に「波長350〜380nmの紫外線に対応」と書かれたUVA強度計をAmazonで発見しました。

 その名もKF-90。対応波長がまさに自分の求めていた条件に合致し、さらに価格はAmazonで3千円台半ば、AliExpressなら約2000円と格安だったため、試しに購入してみることにしました。

 基本的にUV強度計とは、紫外線を感知するフォトダイオード等のセンサーにUV光を当て、そのとき発生する電圧から紫外線の強度を数値として表示する機器です。
 ただし、多くの紫外線センサーは、波長250〜400nm程度の広い範囲に対応しており、その範囲内の紫外線をまとめて測定するものが一般的です。つまり、A波・B波・C波のうちどれか一つだけを個別に測ることはできません。

 もし、特定の波長(たとえばA波)のみを測定したい場合は、目的以外の波長をカットする光学フィルターが組み込まれた専用設計の強度計が必要になります。

 ですので、「A波のみ、それもほぼUVA1(340〜400nm)域のみを測定できる安価な強度計」が本当に存在するのなら、UV種別の見分けにも使えて非常に便利ですし、ぜひ1台欲しいと考えてしまいます。
 たとえ使用頻度は高くなくても、DIYを趣味にしていると、特定のニッチな用途の計測器が必要になる場面が時折出てくるんですよね。


最初は使えると思ったが、実はUVA強度を測定していなかったKF-90

直射日光でもUVカットガラス越しでも数値が変わらない

 KF-90は手のひらサイズで、ズボンのポケットにもスッと収まるコンパクト設計です。

 到着後さっそく屋外に出て、太陽光下でUVA強度を測定してみたところ、納得の数値が出ました。
 同時に使用した、波長を特定せず紫外線全体の強度を合算で測定する「マザーツール SP-82UV」の結果とも大きな差はなく、ここまでは好印象。

 続いて、日陰で測定してみても、KF-90・SP-82UVの双方で妥当な数値が得られ、「お、意外と使えるんじゃない?」という手応えを感じていたのですが――。

 次に、無色のUVカットフィルムが貼られた車のガラス越しに太陽光を測定してみたところ、異変が起きました。

 SP-82UVの表示は紫外線強度0
 一方のKF-90は、なぜか屋外とほぼ変わらない数値を示したのです。

 この時点で、「これ……本当にUVAを測定してるのか?」とKF-90への信頼度が一気に急降下。
「実はただの光量計で、明るさ(照度)からUVA強度を推測してるだけなのでは?」
 という疑惑が強くなってきました。


白色LEDライトでも紫外線として検出されるKF-90の謎挙動

 太陽光による検証に続き、今度は非紫外線の光源を使って、KF-90の挙動を確かめることにしました。

 使用したのは、ダイソーで110円で買える「ランチャーライトV9」。
 9個の白色LEDを搭載した小型ながら明るいライトで、元々は単4電池3本仕様ですが、実は18650リチウムイオン電池がそのまま使えるという裏技的特徴から、一部のDIY界隈で密かに人気のある商品です。

 白色LEDの波長のピークは450nm付近。
 最近入手した分光器で、実際にランチャーライトV9のスペクトルを測定したところ、380nm以下の紫外線成分は一切含まれていないことが確認できました。(下の画像)

思い切って買ってよかった分光器! 激安品でも検証のしやすさが段違いです。

 そして、この非紫外線光をKF-90に照射してみた結果は――
 下の画像のように、なぜかUVA強度が「しっかり検出」されました。

 この結果から推測するに、KF-90はやはり実際の紫外線成分を検知しているのではなく、光の強さから「このくらい明るい=UVAも多いはず」と勝手に推定して数値を出しているだけだと思われます。


KF-90は「照度計」扱いが正解、UVAチェック用途には不向き

 結論として、KF-90はどう考えてもただの照度計として使うのが妥当です。

 太陽光の強さから「たぶんこのくらいUVAが含まれている」と推測する目的なら、それなりに参考にはなるかもしれません。
 しかし、「対応波長350〜380nm」と謳っておきながら、その波長の紫外線が実際に含まれているかどうかは判別できないという点は致命的です。

 要は、この製品に何を求めるかで、評価は大きく変わります。

  • 「光が強ければUVAも多いだろう」というおおまかな目安が欲しい → OK
  • 「特定の光源に350〜380nmのUVが含まれているかを見極めたい」 → 完全にNG

 私が期待していた後者の用途には、まったく使い物になりませんでした。

 そして何より問題なのは、「350〜380nm対応」と明記して販売されている点
 これは事実と異なるスペック表記=詐欺的商品と判断せざるを得ません。

 もし最初から「照度を元にUVA強度を推定する簡易型メーター」と説明されていれば、それなりに価値のある製品だったと思います。
 ですが、仕様の“盛りすぎ”が悪質で、そこがこの製品の最大の欠点だと感じました。


まとめ:UVA測定を期待するならKF-90は買わないほうがいい

格安品は必ずしもハズレではないが……

 以上、KF-90の実機検証を通して分かったのは、この機器は“UVA強度計”を名乗ってはいるものの、実際には照度に応じた数値を出しているだけという点でした。

 「光が強ければUVAも強いはずだろう」という前提に基づいたかなりざっくりした推測器なので、
 本格的に紫外線の種類や強さを測定したい場合には、まったくおすすめできません。

 せめて商品説明に「※実際の紫外線量を測定しているわけではありません」と書いてあれば、値段なりの用途で済ませられたのですが……。

 こうした“安いけど微妙”な機器に出会うと、「やっぱり測定器は中身次第だな」と再認識させられますね。

 もっと信頼できるスペクトルフィルター付きの強度計や、波長を分けて測定できるタイプを検討したほうがよいと思います。

最初からこれを買えばよかった……UVA強度計の購入失敗で選び直し

 私は結局、RGM-UVxシリーズのUVA専用強度計「RGM-UVA」を改めて購入しました。

 先に使っていたRGM-UVB(B波用)とRGM-UVC(C波用)が非常に実用的だったため、どうせならとこのシリーズで揃えることにしました。

 RGM-UVAは、測定対象をA波に限定できるので、照度ではなく実際のUVA強度をちゃんと測れるのが大きなポイントです。

「紫外線の種類ごとにきちんと測定したい」という人には、こちらのような波長分離型のUV強度計を強くおすすめします。

 RGM-UVAについては、別記事でレビューを書こうと思います。


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