静電気テスターは静電気を“見える化”します
静電気テスターとは?
静電気テスター(静電気測定器・静電電位測定器・表面電位計とも呼ばれます)は、物体にどれくらい静電気が帯電しているのか、そしてその極性(プラスかマイナスか)を測定できる機器です。
簡易タイプと本格タイプの違い
LEDの点灯で静電気の有無や極性を簡易的に確認できるタイプであれば、3,000円前後で購入可能ですし、DIYで自作することも比較的簡単です。
しかし、帯電量を数値で正確に“見える化”できるような実用性の高い静電気テスターになると、正直なところ価格は高めで、手軽に購入しづらいのが実情です。

新登場「FMX-003」に注目
そんな中、最近になってAmazonなどの通販サイトで新顔の静電気テスター「FMX-003」が流通しはじめました。仕様を見る限りでは、2万円を切る価格ながら、実用には十分な性能を備えているようです。
これまでの定番モデルEG1との価格差
従来は「サンハヤト デジタル静電気探知機 EG1」が、2万円台中盤で購入できる信頼性の高い入門モデルとして人気でしたが、最近では価格が高騰し、ついに3万円を超えてしまいました。コスパ重視の方には、少々手が出しづらくなっているのが現状です。
FMX-003は価格と性能のバランスが魅力
FMX-003は正式な後継機というわけではありませんが、EG1と同等レベルの性能を持ちながら1万円以上安く手に入るため、価格面での魅力は十分。コストパフォーマンスに優れた静電気テスターと言えるでしょう。
中国製の懸念と実際の使用感
とはいえ中国製ということもあり、流通し始めてからまだ日が浅く、口コミやレビューも少ないのが実情。注目の品ではあるが、いざ購入するとなると、少し不安に感じる方もいるかもしれません。
実は私自身も、「本当にちゃんと使えるのか?」と半信半疑でしたが、実際に使ってみたところ、その不安は完全に杞憂でした。
本記事の目的
今回は、そんなFMX-003を実際に購入・使用してわかったポイントや使用感を、率直にレビューしていきたいと思います。
サンハヤトEG1とFMX-003の仕様比較
Amazonの商品ページなどを参考に、両製品の仕様を比較してみました。
【EG1(サンハヤト デジタル静電気探知機)】
- 特徴:非接触で静電気を探知。バックライト付き。大きな液晶表示で、数値が読み取りやすい。
項目 | 内容 |
---|---|
測定範囲 | 0 ~ ±19.9kV |
測定距離 | 50mm |
測定精度 | ±7% ±0.1kV |
表示範囲 | -19.9 ~ +19.9kV |
電源 | DC4~8V(単三電池4本/テスト電池付属) |
サイズ | 幅71.0 × 奥行19.4 × 高さ141.3mm |
重量 | 約196g |
【FMX-003】
- 特徴:EG1と同様に非接触で測定が可能。バックライトはありませんが、こちらも大きな表示で数値は見やすいです。そして、イオンバランス測定モードを搭載しています。
項目 | 内容 |
---|---|
測定範囲 | 低レンジ:0~±200V 高レンジ:0.01~±20kV(自動切り替え) |
静電気電圧測定 | 0.00~20kV(自動表示調整) |
イオンバランス測定 | ±0~2000V |
測定距離 | 約25mm ±1mm |
測定精度 | ±10% |
試験速度 | 1秒以内/LCD表示更新:5回/秒 |
使用環境 | 10~40℃、湿度0~60%RH |
自動シャットダウン | 約5分(無操作時) |
電源 | DC9V(6F22Y/006P電池) |
サイズ | 約115×73×25mm(プレート除く) 約123×73×25mm(プレート含む) |

仕様比較:基本性能はほぼ同等
仕様を見比べると、基本的な測定性能は両者ほぼ同等であることが分かります。
特にFMX-003は、イオンバランス測定ができる点が特徴で、用途によってはEG1よりも対応範囲が広いと感じられるかもしれません。
上位モデル「FMX-004」の存在
なお、FMX-003にはさらに上位モデルとして「FMX-004」が存在します。こちらは測定範囲が0~30kVまで拡張されている反面、価格も3倍以上とかなり高額になります。
FMX-003で十分な性能
とはいえ、日常の静電気対策やホビー用途であれば、FMX-003の性能で十分すぎるほど対応できると思います。
実際に使ってわかるFMX-003の実力
FMX-003は、センサー部分を測定対象に向けることで、ほぼリアルタイムに近いレスポンスで、静電気の極性と帯電量を数値で確認できます。

本体とイオンバランスプレート
測定時のポイント:レーザーポインターを使った距離調整
本来、測定時は本体から照射される2点の赤いレーザーポインターを測定対象に向け、2つの点がぴったり重なって真円になる距離が、メーカー推奨の正確な測定距離です。

静電気の測定モード
距離が離れても測定可能
ただし、多少離れてしまっても、若干精度は下がる可能性があるものの、きちんと測定は可能でした。
静電気テスターFMX-003による静電気帯電量の測定
下の動画では、「静電気テスター FMX-003」を使って、実際に静電気の帯電量を測定しています。
ビニール袋を手でくしゃくしゃにすることで、簡単に弱い静電気を発生させることができます。
動画では、テスターの前でビニール袋を擦ることで、テスター画面の電圧の数値がリアルタイムで大きく変化している様子がわかります。
これにより、目に見えない静電気が「数値」として“見える化”され、FMX-003が実際に変化する静電気の帯電量を計測して、表示しているのが確認できます。
特に静電気対策が重要な電子機器や作業環境では、このようにその場で帯電量をチェックできるのは大きなメリットです。
この動画が、静電気テスターの購入をお考えの人の参考になれば幸いです!
イオンバランスプレートの装着と測定方法
FMX-003には、「イオンバランスプレート」が付属しています。このプレートは本体側面のロックボタンを押すことで簡単に取り外し可能です。
- 静電気の測定時:イオンバランスプレートを本体後方に取り付け
- イオンバランス測定時:プレートを前方に装着
と、測定内容に応じて取り付け位置が変わります。
イオンバランス機能の実力は?
「イオンバランス」とは、大気中に存在する陽イオンと陰イオンの偏り具合を測定する機能です。
たとえば、マイナスイオン発生器や加湿器などの近くで測定すると、陰イオンに偏ったバランスを検知します。
この機能を使えば、「本当にマイナスイオンが発生しているのか?」という疑問に対して、数値で客観的に確認することが可能です。家電の効果を確かめたい方には面白い活用法だと思います。

イオンバランス測定モード
静電気テスターFMX-003によるイオンバランス測定
下の動画では、「静電気テスター FMX-003」を使って、マイナスイオンを発生させる空気清浄機のイオンバランス(+イオンと-イオンの偏り)を実際に測定してみました。
使ったのは、オウルテックの空気清浄機「Cleanliness γ(OWL-ACL01R-BK)」。マイナスイオン発生機能付きのモデルです。
FMX-003を空気清浄機に近づけると、テスターの数値が徐々に陰イオン(マイナス)側に偏っていくのが確認できます。
これは、空気中にマイナスイオンがしっかり放出されている証拠であり、イオンバランスの「見える化」ができた瞬間でもあります。
「マイナスイオンってホントに出てるの?」と懐疑的に思っている方には、ぜひ見ていただきたい内容です!
付属の電池にちょっとした驚きも?
FMX-003の電源は、006P型の9V角型乾電池を使用します。
私が初期ロットで購入した際、商品説明には「リチウムイオンバッテリー」と記載があり、これは誤記かと思いましたが、なんと実際にリチウムイオンタイプの9V電池が同封されていました。
006P型のリチウムイオン電池は単体で購入するとやや高価なので、これは正直かなり嬉しいサプライズでした。
残念ながら現在は、テスト用のマンガン乾電池のみ付属となっており、当時のリチウム電池の付属は初期特典だった可能性が高いです。

付属のリチウムイオン006P-9V角電池はUSB-TYPE-Cで充電可能
車のアルミテープチューンにも使える? FMX-003の応用力
車の「アルミテープチューン」にも静電気テスターが役立つ?
車のボディにアルミテープを貼ることで、静電気を大気中に放電し、走行安定性やハンドリング性能の向上を狙うチューニング方法が、いわゆる「アルミテープチューン」です。
このチューンのポイントは、「どの部分に静電気が帯電しているかを正確に知ること」にあります。
そのため、静電気テスターは非常に相性の良いアイテムとなります。
アルミテープチューンとは? その原理を簡単に解説
車の走行中、車体には空気との摩擦などで静電気が帯電します。この静電気が空気の流れを乱し、車の挙動に微細な影響を与えるとされています。
「アルミテープチューン」は、この車体に溜まった静電気を効率よく放電することで、車の空力特性を安定させ、ステアリングの応答性や乗り心地の改善を狙うカスタム方法です。
アルミは導電性が高く、テープ状で好きな場所に貼れるため、誰でも手軽に静電気対策ができるのが特徴です。
EG1でも活用されていた実績あり
FMX-003が登場する前、格安テスターの定番だった「EG1」のレビューや口コミには、
「アルミテープチューンの際、帯電箇所が一目瞭然になりとても便利だった」
という声がいくつも見られました。
FMX-003は、そのEG1とほぼ同等の性能を持ちながら価格は1万円以上も安価なので、アルミテープチューンに使う静電気テスターとしても非常にコスパが高い選択肢となっています。
私の用途と、FMX-003の幅広い活用性
ちなみに、私は主に「電子機器の基板を扱う際の静電気チェック」を目的にFMX-003を購入しましたが、使ってみると性能的にも十分満足できるもので、車のアルミテープチューンを考えている方にも自信を持っておすすめできます。
手の届く価格で、ここまでしっかり「静電気の見える化」ができる製品はなかなか貴重です。
FMX-003は静電気対策を“見える化”する、頼れる相棒
手頃な価格で実用性抜群のFMX-003
静電気テスター「FMX-003」は、これまで価格の面で手が出しづらかった本格的な静電気測定器の中でも、手頃な価格と実用性を両立した注目のモデルです。
DIYや応用用途にも対応可能
DIYレベルでの電子機器の静電気対策はもちろん、車のアルミテープチューンのような応用用途にも対応できるコストパフォーマンスの高い一台と感じました。
静電気の“見える化”で対策精度がアップ
「静電気が“見える化”できれば、対策の精度も格段にアップする」そんなニーズを感じている方には、FMX-003は非常におすすめです。
安心感と性能の高さを実感
市場に流通してからの時期が短いので、まだレビューが少ない製品ですが、私自身が使ってみて実感した安心感と性能の高さは、きっと他の人にも伝わるはず。
気になっていた方は、ぜひチェックしてみてください!
おすすめポイントまとめ表
特徴 | 内容 |
---|---|
測定方式 | 非接触・数値表示・バックライト付き |
測定範囲 | 0~±20kV(高レンジ) |
追加機能 | イオンバランス測定モード搭載 |
コスパ | EG1より1万円以上安価で同等性能 |
用途 | 基板作業、車の静電気対策、DIY測定など多用途 |

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