100均セリアの電気小物は優秀だった 個人的には神商品 AC100Vニッケル水素充電器
注意!
この記事はセリア推しみたいになっておりますが、類似品はダイソーでも発売されていました。大体、セリアに並んでいる商品の同等品は、ダイソーにもあります。
物価上昇の煽りを受けて、何時の間にか店舗から姿を消してしまいましたが、セリア(箱違いで中身同じのがダイソーにもありました)で販売されていた「ニッケル水素電池用充電器」は、販売価格100円でこんなの作れるの? 原価幾らなの? 利益出るの? と心配になるレベルで、良く出来た最高の製品でした。
是非、物価が落ち着いたら復刻して再販して欲しいものです。可能性は低いでしょうが、強く期待しています。
私の記憶が正しければ、この充電器、普通に購入出来た頃は、購入者のレビューで、充電が遅いとか、電圧監視機能等当然付いていないので満充電でも充電が止まらないとか、割と否定的な評価が多かった気がします。
ハッキリ物言わせて貰いますと、この充電器は、充電器として見ると確かに性能的には最低の機能しかない、安かろう悪かろうな商品でした。
しかし、部品的な価値や改造素体として見ると、部品コスト的にもとても100円では収まらない、お得感の高い素晴らしい充電器でした。
この充電器は、AC100V用なので、分解すると、部品としては不完全ではあるもののコンセントプラグが手に入ったし、非力ではありましたが、何と交流用の降圧トランスまで入手出来たのです。
この充電器の存在を知った時には、部品取り品としてのコスパの良さに、狂喜して見掛ける度に買い漁ったものです。
電圧監視なんて付いてないが故に普通の充電器ではエラーが出て充電不可なニッケル水素電池も普通に充電出来たセリアの充電器
セリア(ダイソー)のニッケル水素電池用充電器は、AC100Vをトランスで降圧して、抵抗で電流を制限して、交流の時間と共に極性が入れ替わる特性を利用して2本の電池を交互に充電するという、至極簡単な構造でした。
手抜きと言えば手抜きの、本当に最低限の充電能力しか無い充電器でしたが、100円という販売価格で販売する為に、コストを抑え少ない部品数でミニマムに纏められた芸術品の様な素晴らしい回路でもありました。
上の画像は、充電器の内部回路です。いや、凄いですよね。LEDのVFと抵抗で流れる電流を決めてニッケル水素電池の充電電流にするという、無駄の無いシンプルな設計です。
正直、100円以下の予算でこれのコピー品を自作しろと言われても絶対に無理です。
赤色LEDのVFが1.6Vとすれば、そこからダイオードのVFの0.6Vを引いて、約1Vの電圧が2.7Ωの抵抗で約370mAの電流に制御され、交流なので片方の電池に通電しているのは1/2以下の時間となり、実質的には公称の135mAhという充電速度になるのでしょう。
因みにこのトランス、無負荷だと12V以上の電圧になるので、充電式の006P電池の充電器を自作する時にも流用出来ました。
そして、この充電器では、電圧監視等の機能が一切無いので、自然放電で過放電して0Vになってしまった様な、他の充電器ではエラーが出て充電不可になったニッケル水素電池すら、普通に充電出来ました。
(逆に言えば、電池が満充電になっても充電し続ける危険な充電器です。)
更に、過放電で使え無くなった電池も、セリア充電器で一度、或る程度の電圧まで充電してやると、あら不思議、復活して、以後は普通の充電器でもエラーが出ずに再度充電可能に戻ったりしました。
正に、深放電して仮死状態になってしまったニッケル水素電池をResurrection(復活)させる、救世主的な充電器でした。
……と、言ってもその儘で使用すると、充電電流が大き過ぎてちょっと不味かったので、基板の抵抗を大きな値の物に取り替えて、充電時の電流を最初よりもずっと少なくする改造を行ってから、使用するのが無難でしたが。
二次電池の充電には、トリクル充電と言う、自然放電で失われる程度の電力を、微量な電流で常に補って電池の電圧を維持する方法があります。また、パルス充電と言う、充電用の電流を連続してでは無く断続的に流す事によって、二次電池を労りながら充電する方法もあります。
セリアの充電器は、片波整流なので自然とパルス充電モドキとなっており、且つ、元々トリクル充電に近い小電流による充電方式が採用されていましたが、これを更に微小電流化する事で、過放電状態の電池へ、割と安全に強制的な充電を施せる仕様へと、簡単に改造出来たのです。
例えば、2000mAhの容量のニッケル水素電池を、抵抗の取り換えにより、パルス形式で更にMAX10mA程度の微電流で、ゆっくりと気長に充電する仕様に変更してしまう訳です。この場合、充電速度は0.005C以下となります。
急速充電の真逆で超鈍速充電です。
完全に寿命が来ているニッケル水素電池は、流石にどうやっても復活しませんが、セリア充電器のこのトリクル&パルスという充電方式が効果的なのか、過放電で一時的に休止状態に陥っているだけのニッケル水素電池であれば、この充電器を使うだけで結構元通りに復活しました。
その儘、電池BOXとして使える筐体付きなので、本当に便利な充電器でした。
トリクル充電とパルス充電
トリクル充電とパルス充電は、充電池の寿命を延ばし、過充電を防ぐ為に用いられる充電方法です。
トリクル充電
トリクル充電(トリickle充電)は、バッテリーを満充電の状態に保つ為に、非常に低い電流でゆっくりと充電を続ける方法です。
満充電後も自然放電により電圧が少しずつ低下する為、少量の電流を流して常に電圧を一定に保つようにします。
この方法は、バッテリーが常に使われる訳では無い待機電源や、非常時用の電源に適しています。
パルス充電
パルス充電は、短時間だけ高い電流を流し、その後に一時停止する事を繰り返して充電する方法です。
この充電方法では、充電中に休止期間を設ける事でバッテリー内の化学反応を安定させ、発熱を抑える事が出来ます。
また、バッテリー内部に溜まり易い結晶(サルフェーション)を除去する効果もある為、充電効率が高まります。
0V電池の蘇生は不可能ですが、普通に充電する時の充電器には、色々なサイズのリチウムイオン充電池からニッケル水素/ニカド電池まで充電可能で、電池の内部抵抗も計測出来るマルチ充電器が便利です。
100均ニッケル水素充電池充電器の代わりになる何か
仮死状態のニッケル水素電池をResurrection(復活)させるのに、100均のニッケル水素電池充電器の利用は、抵抗の取替は必要でしたが、とても効果的でした。
しかし、100均からこの充電器が姿を消してしまった今、似た様なResurrection効果を持った代用品は何かないのでしょうか?
価格の高い市販品を探せばあるかも知れませんが、残念ながら、今の100均では代用品は見付かりません。でも、似た様な充電器なら自作可能です。
安いトランスが入手困難(50円程度で買えるトランスなんて見た事が無い)ですから、AC100Vで駆動する充電器は流石に無理ですが、USB5V辺りを電源にするのなら、割と何とかなります。
何かしらの発振回路……有名処で選べば、無安定マルチバイブレータなんかを使って、トリクル&パルス充電を再現してやれば、大体似た様な性能の充電器が自作出来ます。
充電する単3電池用のBOXが必要な場合は、Amazon等で手軽に購入出来ます。しかしまあ、仮に電池BOXを1個買うにしても100円以下ではまず買えないので、100均製品の偉大さを思い知らされます。
無安定マルチバイブレータでトリクル&パルス充電
100均のニッケル水素電池充電器の代用品になりそうな充電器です。
上の回路図は、家にある部品で組んでみた、Resurrection充電器です。トランジスターの型番は、日本人に愛される国産品の2SC1815&2SA1015とかに入れ替えても問題は無いです。
Lチカ(LEDチカチカ)でお馴染みの無安定マルチバイブレータに、定電流ダイオード(CRD)とトランジスターを組み合わせた微小電流用の定電流回路ですが、CRDを持っていないので、代用でJEFTを使っています。
この回路だと、左右の電池に交互に10ma程度(矩形波状の充電波形となるので実質充電流量はその半分)の電流が流れ、トリクル&パルス充電となります。
これで充電すれば、0V電池を蘇生するのに使えると思います。この充電器で半日から1日くらい充電して、ニッケル水素充電池の電池の電圧が或る程度復活したら、その後は普通の充電器で充電して下さい。
因みに、0V電池の蘇生に成功した後に普通の充電器で充電すると、一時的に阿呆程の電力が入ります。2000mAhのニッケル水素充電池に4000mAくらい充電出来たりします。
勿論、蘇生後の一回のみの話ですが。
復活直後のニッケル水素電池の充電
また、無安定マルチバイブレータってなんぞや? と思った方はネットで検索してみて下さい。ここで説明はしませんが、一杯詳しい解説が見付かると思います。
トリクル&パルス充電時のシミュレート
一応、片側しか使ってないけれど、深放電しで1V迄電圧が下がってしまったリチウムイオン電池を充電するのをシミュレートしてみました。
上図の右下の電源が充電する電池だと思って下さい。
上の様な感じで、デューティ比60%(くらい?)で約10mA(シミュレートでは8.1mA)の電流が電池に流れます。見た限りではちゃんとトリクル&パルス充電になっています。