静電気測定器(テスター)が欲しい 市販品は高い 簡易的なチェッカーなら安易に制作可能なので自作 帯電除去以前に量と強度を視覚化したい

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DIYと自作

帯電していても見えない静電気 その強度を視認したい

 静電気は、物体間で電気のバランスが崩れる事で発生します。
 これは主に摩擦、接触、または分離といった物理的な作用によって生じるので、人間がちょっと身体を動かしただけで静電気は発生します。
 発生した静電気は人体や、身に付けている衣類等に溜まり帯電して行く訳です。

 そうなると、何処にどっちの極性の電荷がどれくらい溜まっているのかが、非常に気になり出します。
 WEBで調べてみると、静電気量と言うのは、表面電位計があれば測定出来るみたいです。
 静電気用の測定器が存在するのなら、多分市販されている筈です。
 こう言う時は取り敢えずAmazonの出品品を覗いて見るに限ります。
 手頃な値段で静電気の帯電を視覚的に理解出来る測定器が何か手に入らないかな? と期待してAmazonで探してみると……。

 うーん、在ったけど値段を見るとかなりお高い。
 いや、これでも静電気測定器の中では安い方なのですが。
 Amazonで見た限り、メーカー不明な中華直販の静電気測定器ですら価格2万円超えが、平均な相場価格の様です。
 そんな状況の中、基板や電子工作キットの販売で有名なメーカーであるサンハヤトが取り扱っていてこのお値段なのは、寧ろお買い得なのかも知れませんが……。

 測定器の類は沢山持ってて困る事は無いので、出来るだけ揃えたいのですか、金の無い人間にとって、この価格の出費はちょっと厳しいです。

 一応、対象に静電気が帯電しているか否か、帯電しているならその極性が正か負かを測れるだけの測定器は、安く販売されています。
 但し、この測定器では、帯電している静電気の強度は測れません。

 こんな簡易的な測定器でも在れば便利なのだろうし、値段を考えたらその程度の測定機能でも文句は言えないとは思いますが……。

 しかし、WEBで情報を漁ると、安物の簡易静電気測定器と殆ど同性能の簡易測定器が、トランジスターやFETを使用すれば簡単且つ安価な材料費で製作可能な事が判明しましたので、自作する事にしました。

静電気の発生

 静電気はどの様に発生し、どんな条件で起こり易いのかを明記しておきます。


静電気が発生する仕組み

  1. 摩擦による電荷の移動
     物体同士をこすり合わせると、電子が片方の物体からもう片方の物体へ移動します。
     この電子の移動によって一方が正に帯電し、もう一方が負に帯電します。
     例えば……。
    • プラスチックの定規を髪にこすると静電気が発生。
    • ウールの服と合成繊維が触れるとパチッとした感触を感じる。
  2. 接触と分離
     異なる物質が接触した後に引き離されると、電子が片方に移動して帯電する事があります。
     例えば……。
    • ビニール袋を開ける時のパチパチ音。
    • 服を脱ぐ時に発生する火花。
  3. 誘導
     帯電した物体が近づく事で、近くの別の物体内で電荷が移動し、静電気を感じる場合もあります。

静電気が発生しやすい条件

  1. 乾燥した環境
     空気中の湿度が低いと、静電気が発生し易くなります。
     湿気が少ないと物質表面に水分が少なくなり、電気が逃げ難いからです。
    • 冬場の乾燥した空気は静電気の大敵。
  2. 絶縁体の使用
     プラスチックやゴム等の絶縁体は電子を通し難いので、静電気が溜まり易い。
  3. 摩擦の増加
     異なる素材を摩擦させると静電気が起こりやすい。
     例えば……。
    • 合成繊維(ポリエステル)と天然繊維(ウール)。
    • ゴム底の靴とカーペット。
  4. 衣服の素材
     化学繊維は静電気を起こし易い傾向があります。
     一方、綿や絹などの天然繊維は起こり難い。
  5. 人体の条件
     静電気は体内の水分量や皮膚の乾燥度合いにも影響されます。
     乾燥肌や冷えた手足は静電気を溜め込み易いです。

対策方法

  • 室内の湿度を50%以上に保つ(加湿器を使用)。
  • 静電気防止スプレーを衣服に使う。
  • 静電気を逃がす為に金属製のもの(ドアノブ、カギなど)を触る。
  • 静電気が起こり難い天然素材の衣類を選ぶ。

 静電気は生活の中で身近な現象ですが、その原理を理解すると予防や対策も簡単になります。

NPN&PNPのトランジスターの組み合わせかN-ch&P-chのFETの組み合わせで静電気を測定する簡単回路

 WEBで自作の静電気測定器を調べると、秀逸なアイデアで創造された作品が幾つか見付かります。いや皆さん、凄いですね。

 静電気測定器の基本設計は大きく2種類あって……。導電塗料を塗った球の動きで静電気を調べる方法や、電子工作で測定回路を制作して測定する方法です。

 更に電子工作で測定回路を自作する場合にも、2種類の部品選択があって……。

  1. 静電気をトランジスターのベースから入力後にダーリントン接続で電流を増幅を増幅し、LEDの点灯でその存在を確認する回路を使用する。
  2. 電流は微小だか電圧だけは高い静電気をFETのゲートに入れて、電流を流しLEDの点灯でその存在を確認する回路を使用する。

 皆さん、これらの計測器を基本に自己アレンジを加えて個人的に使い易そうなのを制作するみたいです。
 電子回路を制作して測定する場合、静電気が正の極性ならNPNまたはN-chFET、負ならPNPまたはP-chFETが反応するので、2種類の石か必要になる様です。

 私は、コストが安く簡単そうなトランジスターで測定回路を組んでみる事にしました。
 それも、昔試作して上手く動作せずに放置してあった基板から外したトランジスターの再利用で、新たに買い足した部品は一切無しの状態で製作しました。
 ……と言っても、取り敢えず作ってみたのは、負の静電気の測定部分だけですが。

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静電気(負だけ)測定回路

 上の回路図の様に、実際に出来作りました。
 トランジスターの種類が混じっていたり、部品選択が適当なのは、目に付いた場所にあった部品で適当に間に合わせたからです。

 回路図を見て貰えば一目瞭然ですが、トランジスターの3段階ダーリントン接続で、電流増幅率が倍率ドンで倍、更に倍の倍になっております。これで、微々たる静電気の電流を、かなりの大きな値まで増やせます。
 アンテナで拾った負の静電気の電流を仮に0.1μAだとすると、トランジスタのhfeが×100なら、1個目で10μA、更に2個目のhfeの×100で1mA、そして3個目のhfeの×100を加えれば、LEDだって点灯させられる100mAだ――っ!!
 別にゆで理論ではなく本当に電流増幅されます。

 元ネタの回路図ではコネクタ側の抵抗と直列にLEDが入っていましたが、電圧計を挿れた方が、静電気量が多い=数字が大きくなる……訳だから、視覚的に判り易い測定結果になるんじゃないかと思って、取り敢えずテスターを繋いで試してみました。
 テスターに表示される電圧が、そのまま静電気の電圧とはなりませんが、これは中々測定器っぽさが強まって良い様な気がします。

 家にあったプラパイプを軍手で擦ってから、それをトランジスターのベースに近付けたら、負の静電気が発生していたらしく、電圧計がちゃんと反応してくれました。
 その様子を撮りました。興味が有る方は、下の動画を見て下さい。

 負の静電気測定回路は正常に動作してくれているみたいですので、この後に正の方用の測定回路も作る予定です。

 取り敢えず、静電気の正負表示用に赤と青のデジタル電圧計が欲しいです。

静電気の正負の極性

 静電気の正負は、物質間で電子が移動する方向によって決まります。
 ある物質は電子を放出し易く、別の物質は電子を受け取り易い性質を持つ為、どちらが正または負に帯電するかは、物質の性質や組み合わせによって異なります。


正と負どちらが溜まり易いか

  • 負に帯電:電子を受け取り易い物質は負に帯電します。これは一般に、電子を引き寄せる力が強い(電気陰性度が高い)物質です。
  • 正に帯電:電子を放出し易い物質は正に帯電します。これは一般に、電子を保持する力が弱い(電気陰性度が低い)物質です。

物質の性質による帯電傾向(摩擦帯電列)

 摩擦帯電列(トライボエレクトリックシリーズ)は、物質がどちらに帯電しやすいかを示したリストです。
 このリストでは、上位の物質が正に帯電し易く、下位の物質が負に帯電し易いです。

摩擦帯電列の一例
  1. 正に帯電しやすい物質
    • ガラス
    • 毛皮
    • ウール
    • 髪の毛
    • ナイロン
  2. 負に帯電しやすい物質
    • ポリエステル
    • PVC(塩化ビニル)
    • テフロン(フッ素樹脂)
    • ゴム

具体例

 具体例を以下に簡単に明記しておきす。

正に帯電する場合
  • 毛皮とプラスチックの棒
    毛皮でプラスチックの棒をこすると、毛皮が電子を放出して正に帯電し、プラスチック棒が電子を受け取って負に帯電します。
  • 髪の毛とプラスチックの定規
    髪をプラスチックの定規でこすると、髪の毛が正に帯電し、定規が負に帯電します。
負に帯電する場合
  • ガラスとシルクの布
    ガラス棒をシルクでこすると、ガラス棒が電子を放出して正に帯電し、シルクが電子を受け取って負に帯電します。
  • PVC(塩化ビニル)とウール
    PVCの棒をウールでこすると、PVC棒が負に帯電し、ウールが正に帯電します。

帯電しやすい物質の組み合わせ

 摩擦帯電列で物質間の距離が大きい程、帯電する力が強くなります。
 例えば……。

  • ガラス(正)とテフロン(負):強い静電気を発生。
  • ウール(正)とPVC(負):摩擦による顕著な帯電。

応用例

  • 静電気発生装置(バンデグラフ起電機)
    異なる物質の摩擦を利用して高い電圧を発生させます。
  • 帯電防止製品
    摩擦帯電列に基づいて適切な素材を選び、静電気の発生を抑制します。

 物質の帯電傾向を理解する事で、静電気の発生をコントロールしたり、応用技術を発展させる事が出来ます。

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