車のUVカットガラスをすり抜けるHEV光線! 市販品(ダイソー等)での対策を検証

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生活

車のガラスがUVカットでもHEVは透過する

 私の車のフロントガラスはUV(紫外線)カット仕様で、サイドの窓にも透明のUVカットフィルムを貼ってあります。万全とまではいかずとも、それだけで70 点くらいの光線対策はできていると思っていました。
 しかし、「HEV(高エネルギー可視光線)はどうなのか?」と気になり、スマートフォンに接続して光のスペクトルを計測できる分光器を購入した記念に、車のガラス越しに、車内へ透過してくる光のスペクトルを実測してみました。

 すると……非常にショックな結果が出ました。有害とされる380〜420 nm帯のUV・HEVを、車のガラスは直射日光に比べればマシとはいえ、かなり透過させていたのです。

フロントガラス

サイドガラス


ブルーライト(HEV光線)が人体に及ぼす影響

 ブルーライトとは、おおよそ380〜500 nmの波長を持つ可視光線の中でもエネルギーが高い領域で、特に380〜420 nmの範囲は「高エネルギー可視光線(HEV)」として分類されます。
 長時間の暴露は以下のような健康リスクが指摘されています。

  • 眼への影響:網膜の光酸化ストレスを高め、加齢黄斑変性や白内障のリスク因子になると考えられています。
  • 肌への影響:真皮層まで届き、コラーゲンの破壊や色素沈着(シミ・そばかす)を促進する可能性があります。
  • 体内リズムの乱れ:メラトニン分泌を抑制し、睡眠の質を低下させる作用も知られています。

 屋外の直射日光はスマホやPC画面よりも桁違いに強いブルーライトを含むため、運転時や長時間の屋外活動時には物理的な遮光対策が重要です。


 測定は8月の午後2時過ぎ。天候は雨で、空一面に雲が広がっていましたが、それでも380〜420 nm帯の光線が車内にかなり降り注いでいることがわかりました。
 スペクトル分布図の縦軸(μW/cm²)の数値を比較すると、UVフィルムを貼ったサイドガラスの方がカット効率は高く、フロントガラスはサイドガラスの約3 倍近くHEVを透過させていました。

 そういえば、車内に置いておいた段ボール箱が時間とともに色褪せたり、ビニール袋が光劣化でボロボロになったりしていました。嫌な予感はしていましたが、今回の測定で理由がはっきりしました。


 結論:UVカットガラスの車でも、駐車中は窓に日除けを設置したほうが無難です。
 そして、運転中のドライバー自身も日光皮膚炎(日焼け)や眼病を予防するには、プラスαのUV・HEV対策が必須です。


UVカットガラスだけでは不足。運転中のUV・HEV対策は必要

顔を守れば日焼けと眼病の予防に

 車のフロントガラス越しに容赦なく降り注ぐ380〜420 nm帯の有害光線。
 何の対策もせず昼間に運転すれば、頭部や腕の露出部がUV・HEVにさらされ続けます。その結果、肌には日光皮膚炎が、眼の内部組織には光ダメージが蓄積していきます。

 運転中も屋外活動と同じように、防光アイテムでしっかり守る必要があります。


鍔広帽子とフェイスガードマスク

 簡単な方法は鍔(つば)の広い帽子をかぶること。目元に影ができ、直射光から守れます。
 ただし、太陽が低い位置にある朝夕は、斜め・水平からの光には無防備です。

 そこでおすすめなのが、顔全面を覆える装備です。鼻から下〜首元まで覆える通気性の良いフェイスガードマスクや、スポーツ用バンダナなどは、380〜420 nm帯を完全には遮れなくても、軽減効果は十分期待できます。UVカット機能付き製品も多数あります。


UVカットサンバイザー

 特に効果的なのは、フルフェイスヘルメットのシールドのように顔全体を覆うUVカットサンバイザーです。
 380〜420 nm帯を完全には遮断しませんが、透過光エネルギーを大きく減らせます。

 ただし、100 均やホームセンターでは季節商品扱いのため、5〜6 月から店頭に並び、本格的な夏が訪れる7月頃には品切れになりやすいです。夏前以外の時期には在庫がない場合が多く、通販(Amazonなど)なら年中入手できます。

(顔全面を覆うバイザーは安全運転に支障がない範囲での使用をお願いします。)


サングラスだけでは顔全体の防御には不十分

 サングラスは眼の保護には有効ですが、顔の日焼けまでは防げません。また、瞳孔が開いた状態で横から光が入ると、かえってリスクが高まります。


サンバイザー等のHEVカット性能を414nm LEDで検証

テスト条件

  • 光源:414nm LED
  • 距離:約5cm(目測)
  • 測定器:CMOSセンサー型分光器
  • 比較方法:光源とセンサーの間に遮光物を挟んで透過光強度を計測
  • 参考値:遮光なし=約350μW/cm²(基準値)

ダイソーのサンバイザー(ミラータイプ)

  • 価格:330 円(旧110 円)
  • 材質:塩化ビニル樹脂
  • HEV強度:約50 μW/cm²
  • カット率:約85 %
  • 光を反射するため効果が高い。角度調整付き。

ダイソーのサンバイザー(グレー)

  • 価格:220 円(旧110 円)
  • 材質:塩化ビニル樹脂
  • HEV強度:約120 μW/cm²
  • カット率:約65 %
  • 吸収型で反射効果はないため、ミラータイプより低性能。角度調整付き。

ダイソーの雨よけバイザー

  • 価格:220 円(旧110 円)
  • 材質:ポリプロピレン(可視光はほぼ透過)
  • HEV強度:約350 μW/cm²
  • カット率:0 %
  • 元々雨天の視界確保用。HEV対策としては不可。

何処かのホームセンターで買ったサンバイザー

  • 価格:800 円くらい
  • 材質:不明だが恐らく塩化ビニル樹脂
  • HEV強度:約220 μW/cm²
  • カット率:約37 %
  • 長期使用による劣化の可能性あり。

車用サンバイザー(フロントガラス内側設置)

  • 価格:681 円
  • 材質:AS樹脂
  • HEV強度:約140 μW/cm²
  • カット率:約60 %
  • Amazonで購入。型番PF-682。西日対策にも有効。実質、UVカットガラスと併用になるので効果的。

セリアのストール(ライトグレー)

  • 価格:110 円
  • サイズ:20×150 cm
  • 素材:ガーゼ生地(通気性高)
  • HEV強度:約160 μW/cm²
  • カット率:約54 %
  • 薄手でも意外に効果あり。口の周りに巻いて使用。鍔広帽子との併用がおすすめ。

検証からの結論

414 nm LEDを用いた簡易検証:各アイテムのHEV透過強度とカット率(基準=遮蔽物なし約350 μW/cm2
アイテム 価格 材質・仕様 実測HEV強度
(μW/cm2
カット率 メモ
遮蔽物なし(基準) 414 nm LEDを約5 cmで照射 約350 0 % 基準値
ダイソー サンバイザー(ミラー/角度調整付・UVカット) 330 円 塩化ビニル樹脂、反射タイプ 約50 約85 % 反射で高効率。サイズ感◎
ダイソー サンバイザー(グレー/角度調整付・UVカット) 220 円 塩化ビニル樹脂、吸収タイプ 約120 約65 % ミラーより劣るが十分実用
ダイソー 雨よけバイザー 220 円 ポリプロピレン(可視光高透過) 約350 0 % HEV対策には不向き
ホームセンター製 サンバイザー(グレー・UVカット) 800 円くらい 材質不詳(長期使用品) 約220 約37 % 経年劣化の影響の可能性
車用サンバイザー(フロントガラス内側設置) 681 円(Amazon格安品) AS樹脂(前面に追加設置するタイプ) 約140 約60 % 西日にも有効、併用推奨
セリア ストール(ライトグレー) 110 円 ガーゼ生地 20×150 cm 約160 約54 % 薄手でも意外と効く。併用向き
測定条件:CMOSセンサー型分光器/光源414 nm LED/照射距離約5 cm(目測)/ カット率は (1 − 実測 / 350) を目安に算出した概算値です。
注意:簡易比較のための参考値です。個体差・経年劣化・角度依存・実使用環境(日射角、雲量、反射光)により結果は変動します。

 このように、ミラータイプのサンバイザーや通気性のある布類は、完全遮断はできなくてもHEV曝露を大きく減らせます。
 運転中の光線対策は、季節や天候に関係なく「常時装備」がおすすめです。


最後に

 今回の簡易検証でわかったのは、車のUVカットガラスではHEV(高エネルギー可視光線)を完全には防げないということです。
 とくに日差しが強い時間帯や西日が差し込む状況では、目や肌に負担がかかる可能性があります。

 幸い、ダイソーやセリアなどの身近なアイテムでも一定のカット効果が確認できました。
 ミラータイプのサンバイザーや薄手のストールの併用など、ちょっとした工夫で日常の運転環境を快適かつ安全に近づけられます。

 光対策は「やらなくてもすぐ困らない」ため後回しにしがちですが、目や肌の健康状態は日々の積み重ねで悪化していくものです。
 今日からできる対策をひとつでも取り入れて、長く快適なドライブを楽しみましょう。


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