舟状骨に挿れたスクリューは基本は抜かないらしいので抜釘希望なら医師に強く要求する必要がある
今年(2024年)の3月に骨折した右手の舟状骨ですが、痛みは未だまだ残っているし、手首の可動範囲も狭まった儘で余り回復していませんが、骨折自体は癒合しました。
しかし、骨折十日目辺りで治療の為に挿れたスクリューは、その儘、骨の中に残留した状態でした。
骨折完治後のスクリューやプレート類は、絶対に抜釘する訳では無く、医師の判断や患者の希望に沿って、抜いたり抜か無い儘で放置したりします。
スクリューやプレートを抜釘するにしても残すにしても、何方にもメリット・デメリットが存在します。一般的に抜釘するしないの、メリット・デメリットは参考迄に以下の様に言われています。
骨折完治後の抜釘する選択のメリットとデメリット
抜釘とは、骨に埋め込んだ金属プレートやスクリューを取り除く手術の事です。
メリット
- 感染リスクの軽減: 金属が体内に残ると、まれに感染リスクが高まる可能性がある為、抜釘する事でそのリスクを軽減。
- 金属の違和感の解消: 天候や運動時に金属が違和感や痛みを引き起こす場合、それを解消出来る。
- 運動の自由度向上: 特定のスポーツや動きで金属が障害となる場合、取り除く事で制限が無くなる。
- 再手術の予防: 子どもや成長期の人では、金属が骨の成長を妨げる可能性があり、それを避けられる。
デメリット
- 手術リスク: 再手術に伴う麻酔や出血、感染、合併症のリスクがある。
- 入院や回復期間が必要: 手術後には一定期間の安静やリハビリが必要になる場合がある。
- 費用負担: 抜釘手術の医療費や、仕事を休む事による経済的負担。
- 傷跡の増加: 再度手術を行う事で新しい傷跡が出来る可能性。
結論
抜釘は、患者の状態や日常生活への影響を考慮し、医師と相談した上で決めるのがベストとの事です。
骨折完治後に抜釘しない選択のメリットとデメリット
自動車事故等で通院している場合、抜釘をする人は、抜釘後に症状固定とするのが一般的らしいです。
メリット
- 手術の回避: 再手術が不要で、麻酔や合併症のリスクを避けられる。
- 回復期間が不要: 手術後の安静やリハビリが不要で、日常生活に支障が無い。
- 費用負担がない: 抜釘手術に伴う医療費や経済的負担を回避出来る。
- 骨の安定性維持: 金属が骨の中に残る事で、弱くなり易い箇所を補強し続ける可能性がある。
デメリット
- 感染リスク: 体内に異物がある事で、将来的に感染や炎症のリスクが残る可能性がある。
- 金属アレルギーの発症: 時間が経つと金属アレルギーを引き起こす可能性がある。
- 違和感や痛み: 運動時や天候の変化で金属による違和感や痛みを感じる場合がある。
- 将来の抜釘が困難になる可能性: 時間が経つと金属が骨と癒合して取り除くのが難しくなる事がある。
結論
抜釘しない選択は、金属が身体に悪影響を与えていない場合には合理的ですが、長期的なリスクについては医師と十分に相談する事が重要です。
抜釘をするにしろしないにしろ、何某かのリスクは発生する可能性が存在する訳ですが、私としては抜かない事で将来的に発生するかも知れないデメリットを抱え続ける事の方が絶対に嫌でした。
舟状骨の中に入っているスクリューはチタン合金製で人体にとっての完全な異物なので、個人的にはそれが体内に残っていると言うだけで精神的違和感が非常に大きくて、骨の癒合後には、是が非でも抜釘手術で抜いて欲しいと、スクリューの挿入手術を受ける段階から医者に希望していました。
チタン合金と言うのは、骨との生体親和性が高く、骨と直接結合する性質があるので、挿れてから時間が経てば絶つ程、抜釘が困難になるので、抜釘不可になる前に早く抜いて欲しいと言う焦燥感もありました。
しかし、舟状骨骨折にチタン合金製のスクリューを挿れた場合、骨癒合後はその儘にして抜かずに済ませる事例が殆どらしく、担当医に抜釘して欲しいと希望を言っても「抜けない」、「無理に抜くと骨が砕ける危険性がある」と反対されました。
そこまで医師に反対されると普通は諦めるのでしょうが、自閉症スペクトラム障害持ちの私は思い込みが激しく、もう一旦、体内に金属が残るのが嫌と思ったら、骨が砕けるリスクがあろうとも抜釘して貰わないと気が済みませんでした。
それで只管、しつこく必死に絶対に抜釘して欲しいとせがんだら、担当医が折れて渋々と言った感じで手術施設のある総合病院への医療情報提供書(俗に言う紹介状)を書いてくれました。
因みにその総合病院というのは、私が希望して、本来なら入院が必要な鼻口蓋管嚢胞の開窓手術を、掛かり付けの精神科で医療情報提供書を作って貰って本人の精神状態的に入院は無理と交渉したら、融通を利かせて外来(日帰り)で行ってくれた素晴らしい病院です。
手術は基本入院だが頼み込めば外来で日帰りさせてくれる素敵な総合病院で抜釘の手術を受ける
こうして、主治医に抜釘希望の医療情報提供書を書いて貰った私は、総合病院を受診し、手の専門の医師に、スクリューが体内に残っているのを受け入れられないので、是非、抜釘をお願いしますと頼み込みました。
総合病院の医師は、「舟状骨に挿れたスクリューは基本抜かないんだけどな」と言いつつも、鼻口蓋管嚢胞の手術の時に提出した精神科の医療情報提供書の助けもあって、何とか抜釘の手術を了承してくれまして、その日CTを取った後に、手術の日程が約一週間後と決まりました。
一応、「スクリューと骨の結合が酷いと抜けないかも知れないから、その時は流石に諦めてね」と医師から免責事項を言い渡されて、若干の不安は残るものの、何とか手首の中の異物を除去して貰える迄に漕ぎ着けたのだと思うと喜びも一入、この時は本当に嬉しかったです。
抜釘手術の当日
手術当日は、手術開始予定時間の1時間前には来院して下さいと言われていたので、その通りに病院に行きました。
かなりギリギリで病院に到着すると、殆ど待たされずに手術着に着替えてから、手術室へと移動しました。
かなり大きな総合病院なので、手術室も個人開業の病院とは比べ物にならないレベルで機材が揃っており立派でした。
手術は、肩と肘への伝達麻酔(末梢神経ブロック)を施す事から始まりました。
これは、末梢神経周囲に局所麻酔薬を投与して麻酔を掛ける方法です。抜釘手術は全身麻酔で行う病院もあるみたいですが、それだと入院が必要になるので、伝達麻酔で処術して貰えるのは有り難い事です。
ただ、この伝達麻酔は、末梢神経周囲に針を指して、薬を入れる時に、一瞬だけズギューン! と凄まじい激痛が走ります。
この時の衝撃は、本当に強烈です。その後は、麻酔が効いて、段々と腕から感覚が失われて行くのてすが。
スクリューの挿入を行って貰った個人病院では、伝達麻酔でかなり大量の麻酔薬を注入されて腕の感覚が完全に喪失しましたが、総合病院の医師は麻酔薬の量をかなり繊細にコントロールして、切開時の痛みがギリギリ麻痺する程度に抑えてくれたので、腕の感覚は微妙に残っていました。
麻酔薬を使い過ぎないこの技術、実に素晴らしい職人芸と称賛したくなる程の見事さでした。
麻酔薬を大量に打たれると、痛みを完全にシャットダウン出来る反面、術後に麻酔が抜け切る迄に時間が掛かるし、後で気持ち悪くなったり頭が痛くなったりするので、注入量を少なくしてくれるのはとても有り難かったです。
手術の本番
麻酔が効いたら「痛かったら麻酔を追加するので言って下さいね」と声を掛けられて手術開始です。この時、痛くは無いのですが、皮膚を切開される感覚はちゃんと残っていました。
ザクッザクッと自分の手首の肉を切り開かれる非日常的な独特の感覚は、こう言う時にしか感取出来ません。
尤も、人の一生の中で一度もそんな機会が訪れないで済むのであれば、それが一番なのですが。
その後、薄くて長い金属の板の様な形状のドライバーを、切開した穴から手の中に突っ込まれました。
術中は、ベットの隣にリアルタイムで映像が出るX-rayモニターが置かれていまして、私はずっとこれを眺めていました。(アイキャッチ画像の様な画像がリアルタイムで動く)
見られるのなら、患部の処置も見学したかったんですが、流石にこれは感染症予防用の仕切りの衝立みたいな布で遮られて見えませんでした。
しかし、ドライバーの先端が肉に潜り込む様は、モニター越しの生中継で確り視聴出来ました。
……で、麻酔のお陰で皮膚の切開程度では痛みを感じなかったのですが、流石にドライバーの先端が肉の中を切り進んで行く状況だと、かなり痛みを感じました。
下手に痛そうな顔をして麻酔を追加されるのは嫌だったので、平気な顔を装っていましたが、冷や汗が吹き出しそうなレベルでかなり痛かったです。
舟状骨からスクリューを抜く作業は、ドライバーの先端をスクリューの先端にピタッと嵌めるのが一番難しいらしいです。
然れど、私の運が良かったのか、先生の腕が良かったのか、割とすんなりとドライバーの先端はスクリューに嵌ってくれました。この時、執刀医が「何か奇跡的に一発で嵌ったね」と漏らしたので、本当に予想外にすんなり旨く行った様です。
地獄のネジ回し!
薄く細い板状のドライバーの先端がスクリューに嵌った後に何をするかと言うと、日曜大工で使うツールめいた医療用の電動ドライバーで、それを逆回転させて木材に打ち込んだネジを抜くのと同じ様にスクリューを抜き取るのです。
……と言っても、骨と結合しつつあるスクリューはそう簡単に動きません。錆びて木材から抜けなくなった木ネジみたいな状態です。
なら、そんな時はどうするのか? インパクトドライバーの如く、打撃と迄は呼べるのかどうかは不明ですが、電動ドライバーのオン・オフを繰り返してスクリューに振動を与えて、骨とスクリューを力技で分離する訳です。
当然最初、スクリューは全く回転しません。しかし、骨の内部にはその衝撃がダイレクトに来るので、この時が痛いのなんの。骨の中にズキン、ズキンと洒落にならない強烈な激痛が断続的に響く訳です。
これで更に、今度は手術衣が湿る程にどっと冷や汗が吹き出します。苦痛を堪えるのに呻き声を上げそうになりましたが、麻酔を追加されたく無かったので、ここは頑張って我慢しました。
必死に気を紛らわせました。脳内の独り言で(落ち着くには……そうだ、素数だ。こんな時には素数を数えるんだ。2、3、5、7、11、17,19……あれ、次は何だっけ?)そんな阿呆な事を呟きながら、ジッと痛みを堪えておりました。
やがて、実際はそんなに長くないのでしょうが、体感的には結構な時間が経過した後、スクリューがやっと動き、最初の一回転をしました。
この初動迄が長いのですが、一度動いてしまえば後は順調で、もうその儘、幾許の時間も掛からずにスクリューは完全に抜けました。
骨の中をスクリューが抜けていく時もかなり痛かったですけど。
スクリューが抜けた後は、骨に穴が空いた状態になるので、これが塞がる迄は「再骨折し易いから注意してね」と言われて傷口を縫合して貰い、中から出てくる血や謎の体液を吸収するポリウレタンフォームみたいなのを貼り付けて貰い、無事に手術室から退出しました。
抜いて貰ったAcumed社の圧迫調整固定用スクリュー アキュトラック 2 マイクロ
術後の状態 凄くイソジン臭い
抜釘手術が無事終わり身も心もスッキリする
手術後は15分程別室で様子見の休憩をしてから、特に問題も無ったので、直ぐに帰して貰えました。
お土産に自分の舟状骨に挿っていたスクリューはちゃんと貰って来ました。
スクリューは中心が空洞状になった小さいネジです。インプラント扱いなので、こんなもんが実費で1万くらいします。とてもクソ高いです。
極力少量で済んだ麻酔は、術後30分くらいですっかり効果が切れて、腕の感覚も直ぐに戻って来ました。
有り難い事に、気持ち悪くもならず、頭痛にもなりませんでした。
こうして、骨の中の異物も無事に排除出来たので、心身共にスッキリ、サッパリ出来ました。
謂うなれば「スゲーッ爽やかな気分だぜ。新しいパンツをはいたばかりの、正月元旦の朝のよーによォ〜〜〜ッ!」な感じでしょうか。
これで、気持ち的にも骨折が完治したと思える様になりました。……まあ、手首の痛みは消えてないんだけど。
肥厚性瘢痕にはヘパリン類似物質軟膏
手首の手術痕、特に掌側が膨らみ「肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)」になっており、今現在も痛みが続いております。
冬になって空気が乾燥する所為なのか、夏よりもピリピリする痒みと痛みが強くなって来ました。
肥厚性瘢痕の下では、未だ弱めの炎症が続いているみたいです。
その状態を改善する為に「ヘパリン類似物質軟膏」を病院で処方して貰いました。
ヘパリン類似物質軟膏は、皮膚の炎症を抑え、新陳代謝を促し、傷痕部分の組織の修復を助けてくれるそうです。
どの程度の効果が期待出来るのかは不明ですが、風呂上がりに塗ると、塗らないよりも患部が楽になる気がします。
これで肥厚性瘢痕そのものが改善してくれると助かるのですが。