「新リバイアサン リフト/The Rift」1990 感想とあらすじ 深海SFホラー

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映画

「新リバイアサン リフト/The Rift」始めに

『新リバイアサン リフト』(原題:The Rift、スペイン1990)は、深海調査を背景に、人工的に生み出された植物的存在が引き起こす恐怖を描いたSFホラーです。
 ジャンルとしては、リバイアサンなのに深海よりも、いわゆる“植物ホラー”の系譜に属する作品として楽しめます。
 深海探査ものを期待すると肩透かしを食らうかもしれませんが、人体にも寄生する植物系クリーチャーの恐怖を求めるなら絶対に刺さる作品だと思います。

 邦題の「新リバイアサン」は、当時公開されていた『リバイアサン/Leviathan』(1989)の成功に便乗したマーケティング戦略を想像させます。しかし実際には内容的な関連性はまったくありません。むしろ植物ホラーとしての独自性を前面に出していたほうが、作品本来の魅力がより伝わったのではないでしょうか。それなら私は、もっと早く観ていたと思います。

 ところで、邦題で続編偽造する作品が出る程、「リバイアサン/Leviathan」は、興行収入がそんなに良かったのでしょうか? 個人的に嫌いではないB級映画でしたが、化物が中々出てこないのがつまらなかった記憶があります。 ザ・デプスと間違えていた。リバイアサンは肉体変貌系ホラーでかなりいい作品だった。

「新リバイアサン リフト/The Rift」簡単なあらすじ

 著作権への配慮のため(不特性多数へのネタバレの自粛)、ネタバレありあらすじの詳細はnoteに移します。

 本作は、軍の作戦中に深海で消息を絶った潜水艦を探索するため、新たな潜水艦が派遣されるところから始まります。
 深海という極限環境の中、乗組員たちは予想もしなかった危険に直面し、次第に任務そのものの真相に疑念を抱いていきます。閉ざされた状況下で緊張と混乱が高まる中、生存のための決断を迫られるサスペンスSFホラーです。

 逃げ場のない潜水艦という閉鎖環境の中で、そして海底洞窟内で、極限状況に追い込まれながら、得体の知れない植物が乗組員たちをじわじわ追い詰めていきます。触れただけで命取りになる未知の存在を前に、生存のための選択、そして軍の思惑が絡む陰謀が裏で動き、状況は絶望的な様相を呈していきます。
 生存率が限りなく低下していく中、それぞれが究極の決断を迫られることになります。

 ──といった形で物語が始まり終わる、『新リバイアサン リフト/The Rift』は、軍事陰謀と未知の生命体というテーマを組み合わせ、閉ざされた深海での恐怖とサバイバルを描いた作品です。

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植物ホラーとしては合格点なのに適当な邦題のせいで不遇な扱いを受ける残念な映画

リバイアサンて何だよ?

 映画の邦題に採用されている「リバイアサン(Leviathan)」とは、古代の文献や伝承に登場する巨大な海の怪物を指す名称です。旧約聖書のヨブ記などに記述が見られ、力強く恐ろしい海の象徴として描かれています。しばしば巨大な蛇や竜、あるいは海獣の姿で表現され、制御不能な圧倒的存在として恐れられてきました。

 現代では、映画・文学・ゲームなどで、

・深海に潜む未知の巨大生命体
・人類の理解を超えた脅威
・巨大兵器や潜水艦の名称

 といったイメージとして用いられることが多く、深海の恐怖や未知への畏怖を象徴する言葉として広く知られています。

 この作品には潜水艦が登場し、舞台も海中。そして1989年公開の『リバイアサン/Leviathan』の存在がある。だから日本の配給会社は、この映画に『新・リバイアサン』という続編めいた邦題を付けてしまったのでしょう。

 しかし原題は『The Rift』。映画の大半は海中シーンとはいえ、『リバイアサン』から連想される“海の化け物”はほぼ登場しません。むしろジャンル的には完全に寄生植物ホラー であり、その気になれば舞台が海中でなくても成立します。
 当然、深海クリーチャー映画を期待して観たファンは「海の怪物まったく出ねーじゃないか!」となります。

 その結果、この作品は「タイトル詐欺」「駄目な方のリバイアサン」と叩かれてしまうことに。
 邦題の文句は配給会社に言えぇ!! ……と言いたくなる、配給側の命名戦略で作品が振り回された典型例です。

 もしかしたら、同じ“タイトル詐欺”でも、海底神殿ルルイエやダゴンといった神話生物が登場する映画だったなら、リバイアサンが出てこなくても、一部のファンからは褒め言葉として「タイトル詐欺」と呼ばれたのかもしれませんね。

 邦題とは、時に罪深いものです。


不気味で生理的嫌悪を伴う“植物ホラー”としてなら、この映画は十分に優秀

 人体に寄生する、視覚的にも強烈で生理的な不快感をもたらす植物が登場するホラー映画というのは、実はありそうであまり多くありません。ジャンルとしてニッチであるにもかかわらず、この映画はその分野で印象的な存在感を残しています。
 近いジャンルの作品を挙げるなら、私が鑑賞した中では――

  • 『クリープショー/Creepshow』(1982)第2話「ジョディ・ベリルの孤独な死」
  • 『ハビタ 新種生命体/Habitat』(1997)
  • 『パラサイト・バイティング 食人草/The Ruins』(2008)
  • 『Gaia』(2021)

 といった作品が比較対象になるでしょう。
 もちろん、私が知らないだけでまだ他にも存在する可能性はあります。

 こうして年代順に並べてみると、寄生植物ホラーというジャンルが長い期間をかけて進化し、形を変えながら作られ続けていることが分かります。
 その中でも『The Rift』は、時期的にも内容的にも興味深い位置にある作品と言えるでしょう。1990年の作品なのに、かなり頑張っていると思います。


「新リバイアサン リフト/The Rift」に登場する植物クリーチャー

 海底洞窟内で姿を現す未知の植物は、食虫植物を思わせる触手状の蔦のような形態をしており、人間を含む生命体に対して攻撃的に反応します。その存在は乗組員たちにとって深刻な脅威であり、わずかな接触さえ命の保証がないほど危険なものとして描かれています。
 極限の緊張と恐怖の中、乗組員たちは任務の遂行を強いられることになります。

 この領域に生息する植物は、外見だけでは無害に見える動かない種類でさえ、軽い接触が致命的な結果に直結する可能性を秘めています
 さらに増殖スピードも異常なほど早く、状況は瞬く間に制御不能へと向かいます。

 SFXを駆使した古き良き実写特撮による生々しい質感と粘度あるビジュアル表現は、B級ホラーならではの強烈なインパクトを放ち、観客に強烈な印象を残します。


まとめ

 深海サバイバルでもなく、海洋怪物映画でもなく――
寄生植物ホラーとして観れば『新リバイアサン リフト/The Rift』は十分に評価されるべき作品 だと思います。
 邦題のせいで誤解され不遇な扱いを受けた残念な例ですが、ジャンル的な魅力は確かに存在します。

 この記事を書いた2025年12月現在、国内の主要ストリーミング配信サービスでは視聴できません。
 ただし、過去の作品が復刻されて配信に追加される例もあるため、今後 Amazonプライム・ビデオで取り扱われる可能性はゼロではありません。
 映像ソフトの入手手段としては、Amazonなどで国産VHS版の中古が出品されていることがあります
(ただし流通数は少なく、入荷は不定期です)

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