ハイター(次亜塩素酸ナトリウム)主流から、人肌に優しい次亜塩素酸水に変更
次亜塩素酸ナトリウムを多用する生活
日々の生活の中で私は、これまで次亜塩素酸ナトリウム(界面活性剤が入っていないタイプのハイター)を多用してきました。
たとえば、布マスクや雑巾などの消毒・漂白、床の拭き掃除、フェレットのトイレの洗浄など、用途はさまざまです。
中でも一番よく使っていたのは、お風呂の残り湯の再利用です。独居なので毎日お湯を張り替えるのが正直面倒で、入浴後の残り湯にハイターを少量加えて塩素濃度を最低でも0.1 ppm以上に保つようにしていました(参考までに、一般的な水道水の塩素濃度は約0.4 ppmとされています)。
ちなみに、厚生労働省の「循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアル」によると、浴槽水の遊離残留塩素濃度は0.4~1.0 mg/ L程度が望ましいとされています。プールの水質基準でも、ほぼ同等の塩素濃度が求められています。
単位の補足
- 0.001 g = 1 mg(ミリグラム)
- 1 mg/L = 1 ppm(水1リットル中に1mg含まれると1 ppm)
たとえば、水100 Lに0.3 gの成分を入れると、1000 mL × 100 = 100,000 mL中に300 mg入るため、3 ppmという濃度になります。

ハイターのメリットと限界
ハイターは、1.5 Lで約160円という圧倒的なコスパの良さが魅力で、私はこれをカインズホームセンターで購入し、長年愛用していました。
ただし、ハイターは漂白を主目的としている製品なので、その効果は他の殺菌剤よりも強力です。しかし、殺菌やウイルス対策など「消毒」を主目的に使いたい場合には、どうやら粉末のジクロロイソシアヌル酸ナトリウムから作る次亜塩素酸水のほうが向いているとの情報を見つけ、試しに購入してみました。
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムが優れている点
特に風呂の残り湯に使用する場合、ハイターには安定化剤として微量の水酸化ナトリウム(強アルカリ性成分)が含まれており、人肌への刺激性がやや気になります。

一方、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを水に溶かして作る次亜塩素酸水には水酸化ナトリウムが含まれておらず、肌に優しいという特長があります。
また、ハイターの主成分である次亜塩素酸ナトリウムは時間の経過とともに分解されてしまい、塩素濃度が徐々に下がっていくという欠点があります。開封直後と、1~2ヶ月経った後とでは、同じ量を使っても効果に差が出てしまいます。
浴槽に使うには「濃度の安定性」がカギ
こうした性質のせいで、ハイターを使って風呂の残り湯の塩素濃度を一定に保つのは意外と難しいです。
濃度が薄ければ殺菌効果が不十分になりますし、逆に濃すぎれば肌荒れや浴槽への悪影響が出てしまいます。
私は以前、淡水魚を飼っていたことがあるので、残留塩素濃度を測定する試験紙(試験ストリップ)が家にあり、それを使って塩素濃度をチェックしています。少し面倒ではありますが、毎日風呂の水を全部交換するよりははるかに楽です。
粉末タイプに変えてからのメリット
液体のハイターから、粉末のジクロロイソシアヌル酸ナトリウムに切り替えてみて感じたのは、濃度の安定性が段違いに良いという点です。
粉末は時間が経っても劣化しにくく、必要なときに必要な量だけ溶かして使えるため、投入量を決めてしまえば毎回同じ濃度を保つことができます。
つまり、毎回試験紙で塩素濃度をチェックしなくても済むという大きなメリットがあるわけです。
補足:次亜塩素酸ナトリウム vs 次亜塩素酸水の違いまとめ
特徴 | 次亜塩素酸ナトリウム(ハイター等) | 次亜塩素酸水(ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムから生成) |
---|---|---|
主な用途 | 漂白・強力な殺菌 | 安定した消毒・肌に優しい殺菌 |
安定性 | 分解が早く濃度変化しやすい | 粉末なら劣化しにくく濃度調整が楽 |
肌への刺激 | 水酸化ナトリウム入りで刺激あり | 水酸化ナトリウム不使用で刺激が少ない |
コスト | 非常に安価 | やや高価だが高コスパ |
効果は似ていても別物:次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水
長年錯覚していた
私は昔、ハイター(=次亜塩素酸ナトリウム)と次亜塩素酸水は同じようなものだと思っていました。どちらも塩素系の消毒剤だし、漂白や除菌にも使えるので「名前の違いだけかな?」くらいに思っていたのですが、調べてみると効果は似ていても、化学的にはまったくの別物でした。
成分と性質の違い
名称 | 主成分 | 性質 | 特徴 |
---|---|---|---|
次亜塩素酸水 (HClO) | 次亜塩素酸(HClO) | 酸性〜中性 | 人体への刺激が少ない。漂白作用はない。即効性あり。 |
次亜塩素酸ナトリウム (NaClO) | 次亜塩素酸イオン(ClO⁻) | 強アルカリ性 | 強い漂白作用。安定剤として水酸化ナトリウムを含む。刺激性あり。 |
次亜塩素酸水のほうが肌に優しい
次亜塩素酸水(HClO)は酸性〜中性の水溶液で、人体への刺激が非常に少ないのが特徴です。肌に触れてもヒリヒリせず、漂白作用もほとんどありません。除菌目的であれば、スプレーなどで空間噴霧しても安全性が高いとされています。
一方、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)は強アルカリ性で、主に漂白剤(ハイターなど)として使われています。原液(たとえば家庭用ハイターで約6 %)が皮膚や粘膜に触れると、炎症や火傷のような症状を起こす可能性があるため注意が必要です。
これは、次亜塩素酸ナトリウムが安定化のために微量の水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を含んでいることにも起因しています。水酸化ナトリウムは非常に強いアルカリ性を持ち、高濃度では劇物指定されています。
使用感は似ていても、安全性には差がある
両者とも殺菌効果は高いですが、文献や各種実験によると、次亜塩素酸水の方が殺菌スピードが早く、反応性も高いとされています。
特に噴霧して使うような場合は、空中の浮遊菌やウイルスに即座に反応するので、病院や介護施設でも使われています。
粉末から作れる次亜塩素酸水は便利
次亜塩素酸ナトリウム(ハイターなど)は液体で市販されていますが、次亜塩素酸水は粉末状のジクロロイソシアヌル酸ナトリウムから簡単に作れます。
これは水道水に適量を溶かすだけで、用途に応じた濃度の次亜塩素酸水が作れるので、長期保存が可能で取り扱いも簡単です。
ハイターなど液体タイプは開封後に時間とともに濃度が下がっていく(分解が進む)ため、しばらく経つと効果が安定しなくなるのに対し、粉末は保存性が高く、劣化しにくいという利点があります。
風呂の残り湯には、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムがおすすめ
私のように風呂の残り湯を何度か再利用したい人間にとっては、塩素濃度の安定は重要です。
その点、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムには水酸化ナトリウムが含まれていないので、肌への影響が少なく、残り湯の殺菌に使うには最適です。
とはいえ、ハイターに含まれている水酸化ナトリウムの量はごく微量なので、日常的に少量を薄めて使っている限りにおいて、私自身の体感ではそこまで悪影響は感じませんでした。
ただ、安全性の面で言えば、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムのほうが安心して使えるというのは間違いないと思います。
水酸化ナトリウムの性質と注意点
水酸化ナトリウム(NaOH)は、濃度5 %以上では劇物扱いになります。非常に強いアルカリ性を持ち、皮膚や目に触れると危険です。

この性質を利用して、台所や浴室の排水管用パイプクリーナーなどに使用されています。たとえばAmazonでも、水酸化ナトリウム4 %以上含有のかなり強力なパイプクリーナーが販売されており、商品説明に「髪の毛すら溶かす」と書かれているような製品もあります。

ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムはどこで買う?
Amazonで買うのが手軽で確実
私がAmazonで購入したジクロロイソシアヌル酸ナトリウムの粉末タイプ(150 g)は、980円でした。
※これはAmazon自身の配送商品ではなく、マーケットプレイス出品者のものです(2025年7月時点)。Amazon発送の商品だと、多少値段が上がる傾向があります。
150 gもあればかなり長く使えます。たとえば風呂の残り湯や家庭用プールに使う場合、水100 Lに対して0.3 g前後を加えると、清浄効果が期待できる塩素濃度になります。
計算上は、水1 Lに対して約3 mg(=0.003 g)の使用量です。


濃度の目安と換算例
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム製品のラベルや説明書を見ると、以下のような目安が書かれていることが多いです。
入れる量 | 得られる濃度(次亜塩素酸) |
---|---|
1 Lに0.4 g | 約200 ppm |
1 Lに0.1 g | 約50 ppm |
これを参考にすると、50 ppmの次亜塩素酸水を100倍に薄めると0.5 ppmとなり、風呂水のような100 Lスケールでも十分な消毒効果が期待できます。
私の家の浴槽はやや小さめで、入浴時の容量が約120 Lほど。商品説明には、風呂や家庭用プールの水には100 Lに対して0.3 gと書かれているので、入浴後に粉末を0.3 gだけ投入すればOKです。すると、直後の濃度は1.5 ppmになります。
時間とともに塩素濃度は下がっていくので、翌日試験紙で塩素濃度を測ったところ、約1 ppmでした。
※使用しているのは、かつて淡水魚を飼っていたときの水槽用試験紙。精密ではないものの、目安としては十分です。
ちなみにこの試験紙、短冊状なので縦に3分割すると1本で3回使えるという節約技も。魚飼育時代の残りが100枚近くあるので、まだまだ現役です。
当時はまさか、風呂の水の塩素濃度測定に使う日が来るとは思っていませんでした。

ダイソーでも買えるが……実はそれほど安くない?
ダイソーで買える商品と内容
実はダイソーでもジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを含む商品が買えます。価格はもちろん110円(税込)です。
ダイソーでは、以下のような商品名で販売されています。
- 「パイプ用洗浄剤(落ち落ちV)」
- 夏季限定:「家庭用プールの水浄化剤」
形状はすべてタブレット状で、「パイプ用洗浄剤」には大粒、中粒、小粒の3種類が存在します。
内容量的に一番お得なのは大粒タイプで12 g × 4錠(計48 g)です。
中粒タイプは忘れましたが、小粒タイプは0.55 g × 36錠(計19.8 g)です。昔は0.55 g × 48錠(計26.4 g)だったので、近年の物価上昇でじわじわと内容量が減少しているようです。
大粒タイプに関しては、昔はどうだったか記憶にありません。ただ、50 g以上の製品もあったのは憶えています。
家庭用プールの水浄化剤は、5 g × 2錠(計10 g)だったと記憶しています。
なぜダイソーは“見かけほど”安くないのか?
一見すると「Amazonで買うよりダイソーの方が安くない?」と思ってしまいますが、実はそう単純ではありません。
理由1:タブレットには発泡剤が含まれている
ダイソーのタブレットは、風呂の入浴剤のように泡が出るタイプです。これは、発泡剤(重曹やクエン酸)を配合しているためであり、1錠の中身がすべてジクロロイソシアヌル酸ナトリウムではないのです。
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム粉末なら、水100 Lに0.3 gで済みます。一方、プール用のタブレットには『水500~600 Lに対して5 g(1錠)』と説明されているため100 Lなら約1 gとなり、その分量から推測すると、恐らく全重量の3割程度ではないかと考えられます。
つまり、「12 g×4錠入り」=合計48 gの商品でも、そのうち有効成分であるジクロロイソシアヌル酸ナトリウムは約30 %(=約14.4 g)にすぎません。10パック買って1100円払ってようやくAmazonの150 g粉末に匹敵する程度です。
理由2:粉末で使いたい場合は削る必要あり
タブレットは固形なので、風呂水用に少量だけ使いたいときは、砕いたり削ったりして粉末にする必要があります。
フードプロセッサーがあれば簡単に粉末状になりますが、ない場合は手作業で削る必要があり、かなり面倒です。

結論:まとめて使うならAmazon、少量試したいならダイソー
購入先 | 内容量(正味) | コスト(目安) | 手軽さ | おすすめ用途 |
---|---|---|---|---|
Amazon | 150 g(粉末) | 約980円 | ○(そのまま使える) | 継続使用、管理が楽 |
ダイソー | 約14〜15 g(換算) | 110円 | △(粉末にする必要あり) | お試し用、少量使用、1錠全部使う |
ちなみに、Amazonのレビュー欄では「ダイソーで買ったほうが安い」という声もありますが、成分の含有量や手間を考慮していないケースが多いように感じます。
個人的には、一度にある程度使う予定があるならAmazonで粉末タイプを買った方が断然楽です。計量も正確で、調整もしやすく、なにより粉末にする手間がありません。
まとめ:安全に、便利に、風呂水を再利用するために
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムは、本来はプールや浴槽の消毒用として広く使われている塩素系薬剤ですが、正しい知識とごく少量の使用で、家庭の風呂水を衛生的に保つことが可能です。
特に、夏場の水道代節約や防災用の生活水確保など、「風呂の残り湯を活用したい」という場面では非常に有効です。粉末タイプならAmazonで比較的安価に手に入り、水100 Lに対して0.3 g程度と使用量もわずかですから、コスパも上々です。
一方で、使い方を誤ると危険な薬剤であることも確かです。濃度が高すぎると肌荒れの原因になったり、金属を腐食させたりするリスクもあります。くれぐれも「入れすぎ注意」、そしてお子さんやペットの誤飲・誤使用防止のためにも、保管には十分に注意してください。
便利なものほど、正しく使えば大きなメリットになります。この記事が、「お風呂の残り湯をもっと有効に使いたい」という方の参考になれば幸いです。