キノコ系ホラー映画「Gaia」2021 日本未公開
「Gaia」は2021年に公開されたアメリカのエコロジカルホラー映画で、監督はジャコ・バウアーが務めています。本作は、人間と自然の関係に鋭い視点を投じた恐怖映画……らしいです。
実はこれ、ありそうで余り無い貴重なキノコ系ホラー映画です。偶々その存在を知って、これは是非見なければと、日本語字幕版はないのに海外版DVD(国内Amazonで売ってました)で無理して鑑賞しました。
正直、英語は苦手なのに英語音声英語字幕で見たので、大雑把にしか内容を把握していません。
これまで、超常的なキノコが出てきて人類に対してなんかヤバい系のホラー映画といって、パッと思い浮かぶタイトルは、「マタンゴ(1963)」と「恐怖!キノコ男(2006)」くらいでしたが、今回「Gaia」が公開されたお陰で、もう一個増えて計3つになりました。
ああ一応、「デス・トリップ(2007)」という映画も、キノコっちゃキノコがテーマな映画なんですが、毒キノコを食べた学生がトリップしてどうのこうの事件が起きるのがメインな話で、ホラー好きが求めているのは、変なキノコが存在してそれ自体がなんか暴れる……そんなノリと内容の作品で、真のキノコ・ホラーと呼べるのはそういう作品だけだと思うので、この映画は仲間外れにします。
尚、内容を理解するのにwikipediaに掲載されたあらすじを参考にしています。
「Gaia」の大雑把なあらすじ
物語の舞台は、広大で神秘的な南アフリカの森の中です。森林管理官のガビ(モニーク・ロックマン)は、定期的なパトロール中に事故で負傷し、森の奥深くで意識を失います。目を覚ました彼女は、オフグリッド生活を送るバレンド(カレル・ネル)とその息子ステファン(アレックス・ヴァン・ダイク)に助けられます。最初は歓迎されたガビでしたが、次第に彼らの行動や信念に不審を抱くようになります。(ステファン→スティーブンかも?)
バレンドとステファンは森と一体化することを信じ、独自の宗教的な儀式を行っています。彼らは「母なる創造と破壊の女神」に祈りを捧げ、森の中に生息する奇妙な生物や巨大なキノコと共生しています。ガビは、バレンドが「現代世界の娼婦や偽りの女神」を激しく非難し、狂信的な説教を行う姿を目撃します。
ガビは森の中で次第に恐ろしい現実に直面します。バレンドが信仰する「菌類の神」は、人間をも取り込む恐ろしい存在であり、ガビ自身もその影響を受け始めます。彼女の体には菌類が生え始め、幻覚や奇妙な夢に苛まれます。ガビは、森から脱出しようとするも、ステファンがバレンドの影響下にあるため困難を極めます。
クライマックスでは、バレンドがステファンを「菌類の神」に捧げようとする儀式を行おうとしますが、ガビがそれを阻止しようと奮闘します。最終的に、ステファンがバレンドに反逆し、彼を刺します。ガビも菌類に侵食され、自身の死を願うようになります。ステファンはガビの望みを聞き入れ、彼女を解放します。その後、ステファンは都市へ戻り、森の恐怖を広める菌類が彼の食事の残りにまで影響を及ぼしていることを示唆するシーンで物語は終わります。
感想込みの詳細ネタバレ(未見の人はご注意を!)
森林管理官のガビとウィンストン(アンソニー・オセイエミ)は、川をカヌーに乗って進んでいました。
ガビはドローンを使って森の中を調査しています。森に入ったまま行方不明になった失踪者がいて、その調査をしているらしいです。
森の中で原始的な生活を送る2人の男、バレンド(父親)とステファン(息子)。森の中を飛んでいるドローンをステファンが発見し、叩き落とします。
ドローンを落とされたガビは、森の中にゴミ(壊れたドローン)を放置しておけないと、ウィンストンと一旦別れ、ボートから降りて独り森の中に踏み込みます。
森の中を彷徨するガビは、バレンドとステファンが獲物を捕るために仕掛けた罠に掛かってしまい、脚を木の杭で貫かれ負傷します。
痛みに悲鳴を上げ、困り果てたガビは、ウィンストンに無線で助けを求めますが、ウィンストンは応答してくれません。
やがて日が落ち、暗くなった森林の中を、拾った木の枝を杖にして立ち上がり、脚を引き摺りながらも何とか歩き出したガビは、森の奥に小屋を見付けます。
少し時間は戻ります。
ガビが罠に貫かれた時に上げた悲鳴を、実はウィンストンは遠方で耳にしていました。
ガビの身を案じるウィンストンは、無線で連絡を取ろうとしますが、ボートに置いてあった無線機を探すと、何時の間にかボートに浸水があり、不幸にも無線機は水浸しになっていました。
通話を試すも動作不良で無線機は使えません。ウィンストンは覚悟を決め、段々と暗くなる森の中へと踏み入り、ガビを探します。
小屋に辿り着いたガビは、戸を叩いても誰も居ないので無断で中に入り込み、傷の痛みに耐えながら体を休めます。
するとそこに、バレンドとステファンが帰ってきます。バレンドはガビに「仕掛けた罠を破ってくれたな」と詰め寄るも、最終的には親切に、謎の薬草を使ってガビを手当してくれます。
「母なる創造と破壊の女神」に祈りを捧げ食事を始める2人は、ガビにも同じ食べ物を振る舞ってくれますが、それはカブトムシの幼虫めいた生きた昆虫と森で狩った獲物の肉でした。
バレンドは「ご馳走だぞ」と言いますが、ガビは口を付けられません。
その頃、夜の森でガビを捜し回っていたウィンストンは、全身にキノコが生えた人間めいた2本脚歩行する怪物と遭遇し、驚いて逃げ出したのですが逃げ切れず、振り切れたと勘違いして樹の幹に背中を預けて一息付いたところを、背後から伸びてきた菌糸に絡め取られてしまいました。
この時点では、怪物はちらっとしか出て来ていまませんが、吸い込んだら肺が汚染されそうな毒々しい胞子を撒き散らしながら登場し、菌糸を伸ばし人間を背後から絡め取って襲うという細かい芸を披露し、造形も中々です。
他の映画、「恐怖!キノコ男(2006)」の初代プレイステーション並の低品質なポリゴンで描かれたキノコ人間も、チープさが一周回って中々良かったのですが、キノコ系のホラーなら、やはり子供の頃に見たらトラウマになりそうなくらい、リアルで不気味なキノコ人間が暴れるのを見たいものです。
その点に関しては、「Gaia」は充分合格でしょうか。
翌日、バレンドとステファンは狩りに出かけ、ガビは独り小屋に残って療養しています。
無線でウィンストンに連絡を取ると少しだけ繋がりましたが、応答したウィンストンの様子がかなり変です。その後、通信は途絶えました。
ガビは、何か行動を起こさなければと、勝手に小屋の中で焚き火を始めました。
すると、立ち昇る煙を見て慌てて帰ってきたバレンドが、火を消し「昼間に火を焚くな」とガビを叱ります。
ガビはウィンストンに見付けて貰う為に「火を焚いた」と説明します。
バレンドは「(ウィンストンの下へ)明日連れて行ってやる」とガビに言いました。(余計な真似すんな)とばかりに、目が怒ってました。
その日の夜、ガビは小屋の中で無線でウィンストンに連絡を取ろうとしますが応答はありません。
ガビは、バレンドと会話を交わします。
話の中で、昔バレンドは都会に住んで植物の病理学の研究者だった事、科学技術者だった奥さんのリリーが骨癌で死んだ事、バレンドは森に住んでから森の中で神に出逢った事、ガビは様々な情報を得ます。
話ながらバレントがガビの傷の包帯を取ると、昨日は杭が脚を貫通して穴が空いていた筈なのに、その傷はもうすっかり塞がって完治していました。
ガビと年の近いステファンが、ガビに興味を持ったのか手作りのペンダントを送ります。
その後、3人が就寝すると、小屋の壁の隙間から菌糸が伸びてきて、ガビを狙い襲おうとします。
それに気付いたバレンドがガビを菌糸から助け、バレンドとステファンは武器を取り、臨戦態勢に入ります。
小屋の中にキノコの生えた人間めいた怪物が侵入してきました。バレンドとステファンが応戦します。
その戦闘は激しく、バレンドは腕に切り傷を負いました。
ステファンがキノコ怪物を後ろからナイフで刺して撃退しますが、その時に飛び散った返り血をガビは頭から浴びてしまいます。
ガビの浴びた血をステファンが拭き取ります。
バレンドが先程の怪物について説明を始めます。「ホモ・サピエンスを好むキノコで、寄生した人間の目、口、肺などを食べて筋肉は残して後で利用する」
そしてバレンドが、森に住む奇妙な生物や巨大なキノコを崇拝している事が判明します。
翌日、ガビとステファンは、より一層親しくなりました。
ガビは文明の利器を知らないステファンにスマホの画面を見せて、昔に撮った自分の写真を表示します。ステファンは、興味深く写真を眺めます。
するとバレンドが、「そんな忌々しい物をステファンに見せて惑わせるな!」と怒り出し、取り上げたスマホを床に叩きつけて壊します。
バレンドが小屋を出て行き、ステファンもそれに続きます。
小屋で一人になったガビは、バレンドの書いた文書を発見し、人間を「捕らえられた猿」に例える記述を読みます。
その頃、バレンドは森の木の虚に供物を捧げる儀式を行い、そこで急成長したキノコを2本摘み取り、1本は自分が食べ、もう1本をステファンの口に含ませます。
バレンドとステファンが小屋に帰ってきます。
何時の間にか、ガビの腕に小さなキノコが生え始めていました。
バレンドはそれを見て、ほくそ笑みました。
逆にステファンはガビを心配します。
昨日の約束通り、バレンドはガビをウィンストンの下(恐らく乗ってきたカヌーの場所)への案内を始めます。
道中、ガビはバレンドに「何故、キノコ人間が居るのにこの森に住んでいるのか? 何故、あなた達は感染しないのか?」と尋ねますが、バレンドは答えません。
バレンドの後ろについて歩くガビ。暫く歩いていると、ガビは地面にウィンストンのライトが落ちているのを見付けます。
近くにウィンストンが居る筈と、ガビは付近を探し始めます。
バレンドは「ここは奴らのテリトリーだ」とガビに注意しますが、ガビは聞き入れません。
ガビは走り出し、バレンドが後を追いかけます。
ガビはやがて、全身を菌類に覆われた状態で、樹の幹に背中を預け頭を項垂れガックリしているウィンストンを発見します。
ウィンストンの身体からは、いろいろな種類のキノコが大量に生えていました。
近寄ると、ウィンストンはまだ辛うじて生きていました。
しかし菌類に激しく寄生されており、キノコ人間になるのは時間の問題に見えました。
ウィンストンはガビに「殺してくれ」と頼みます。ガビにはその願いを叶える勇気がありません。
代わりに、バレンドが自分の矢の尖端をウィンストンの口元に差し出すと、ウィンストンはそれを咥え、上半身を前に倒し喉を突いて自殺します。
その後、キノコ人間が近付いてきたので、バレンドとガビは逃げ出して小屋に戻ります。
不気味系キノコ・ホラー映画のネタバレを書いていると、唐突に、子供の頃に毒々しい作画を見て割とトラウマになった、白川まり奈の「侵略円盤キノコンガ」を読み返したくなって来ました。曙文庫で発刊され、当時の定価280円。気持ち悪さ抜群のキノコ系ホラーマンガです。ご存知でしょうか? ゲテモノ・カルト系の恐怖漫画が好きなら、きっと気にいるし面白いですよ。
その夜、小屋で眠っていたガビは悪夢を視て目を覚まします。すると、脚に小さなキノコが幾つか生え始めていました。ガビは泣きそうな顔でキノコを毟ります。
ガビはバレンドに「あなたは菌類の感染を防ぐ薬を持っているでしょ。分けて下さい」と頼みますが、バレンドは無視します。
バレンドは独り小屋を出ていきます。2人で残されたガビとステファンは小屋の中で会話をします。そこで、ステファンは「(死んだ)自分の母親は森に居る」とガビに教えます。
翌日、小屋の外でバレンドは、森の木の虚に供物を捧げる儀式で手に入れてきたキノコをステファンの口の中に入れていました。
キノコを口に含んだステファンは、それを嚥下せずに小屋へ走ります。
小屋の中ではガビが、自分の脚に生えたキノコが大きく成長しているのを見て悲壮な表情を浮かべています。
そこへステファンが駆け込んできて、ガビに口移しでキノコを与えます。「それを飲み込んで」とステファン。その言葉を信じ、ガビはキノコを飲み込みます。
すると、驚くべき現象が起こりました。なんとガビの足に生えていたキノコが活力を失い干からびてしまいます。
映画中で詳しい説明はありませんが、どうも、森の儀式で手に入るキノコを食べる事で、ホモ・サピエンスを好むキノコへの抗体が身体に生まれるみたいです。
そのお陰でバレンドとステファンは、菌類に感染せずに森の中で無事に暮らせているのかも知れません。憶測ですが。
ガビとステファンはより一層親密になります。ステファンはガビに矢の打ち方を教えます。
ステファンはガビを森の中に連れて行き、そこで「動く木」になっている自分の母親の事を見せます。
ステファンの母親は菌類に完全に覆われており、一本の枝に嵌った結婚指輪だけが人間だった頃の痕跡を残しています。
この母親の木は、バレンドが供物を捧げてキノコを得ていた木だと思います。
でも菌類に感染して何故デカいキノコじゃなくて、動く木になっているんでしょうか? この辺は、どういう設定になっているんでしょうか。全く不明です。
場面は小屋の中に移ります。ガビは、重度の自然崇拝主義者であるバレンドと、意見をぶつけ合い対立します。
その夜、バレンドが調合した謎の薬をガビが吸い込むと、ガビの意識はトリップします。
気付けばガビの精神は、全裸で母親の木の前に立っていました。
やがてガビはステファンと媾合し、バレンドが母親の木と媾合する姿を眺め、口に矢の尖端を咥え込みが、口から血を流し死に掛けているステファンの姿を見ます。
トリップが終わると、ガビは小屋の床で目を覚まします。ガビの鼻から血が出ていました。
ガビは15分程トリップしていましたが、夢の中では彼方此方を彷徨い、何日も経過した末に戻ってきた様に感じました。
バレンドはガビに尋ねます。「夢の中で彼女は何を話したか?」と。
彼女とは、母親の木の事です。ガビは矢で死に掛けていたステファンの姿を思い出し、再び意識を失います。もしかしたら、このシーンも夢なのかも知れません。
再度ガビが覚醒すると、外はもう明るくなっていました。側にはバレンドが居り、「彼女は何を望んでいる?」と尋ねます。
シーンが変わり、夜の森。
バレンドは母親の木に祈りを捧げています。母親の木と精神的な会話を交わし、ステファンを殺せというメッセージを受け取ったのでしょうか? 「彼は無実だ」と言いながら、バレンドは悲壮な表情を浮かべます。
昼間、小屋の前で薪割りをするステファン。その後、ステファンとガビは縄を編むバレンドの眼前でイチャ付き始めます。
ガビはステファンにこっそり「ここから出ましょう」と、バレンドに気付かれない様に囁きます。
翌早朝。皆が寝ている時、バレンドが独り起きて小屋から出ていきます。
そのタイミングを狙っていたガビは、「今のうちに出て行きましょう」とステファンを促します。ステファンはそれに応じ、ガビと一緒に小屋を出ます。
早朝の森を2人で歩くガビとステファン。間が悪く、小屋に帰ってきたバレンドと鉢合わせます。「何処に行くつもりだ息子よ」バレンドに問い掛けます。
出ていく邪魔はさせないと、ガビはナイフを構え、バレンドを威嚇します。
「その女はお前を連れ出して奴隷として売ろうとしている。着いて行ったら死ぬまで働かされ、働かなければ食われる」
バレンドは、ステファンがガビと一緒に出て行くのを止めようと、適当な話をでっち上げ説得します。
バレンドがいろいろと捲し立て続けますが、ガビはそれを無視してステファンにさっさとこの場を立ち去ろうと促します。
しかし、バレンドが歩き出したステファンの背中へ向かい「彼女は決して離れる事を許さないぞ」と声を掛けると、ステファンの足が止まります。
「母さんを放り捨てて離れるのか?」バレンドが母親を引き合いに出したのが決め手となり、ステファンはとうとう引き返してしまいます。
その場に取り残されたガビは、仕方無く独りで森を出て行きます。
バレンドとステファンの2人は小屋に戻りました。
ガビもまた、森の中を進んでいた足を止めて、一瞬の逡巡の後、小屋に引き返します。
小屋から出掛けるバレンドとステファンの2人。その様子を、ガビは隠れて見ていました。
森を歩きながらステファンは尋ねた。「お父さん、何処へ行く?」バレンドは答える。「我々は犠牲を払わなければならない」
バレンドがステファンを母の木への生贄にしようと考えているのを薄々察していたガビは、小屋に入ると弓と矢を手にとって2人の後を追った。
バレンドは母の木の前で、ステファンを生贄に捧げるつもりでいた。
ガビは2人を追う途中でキノコ人間に遭遇しそうになり、隠れてやり過ごし、再度2人の後を追う。
母の木の前で、ステファンを生贄に捧げる為、ナイフで背中から斬り付けるバレンド。
正に、油断すると背中からバッサリだぜ! とはこの事。偉人の残した古い格言の如く、ステファンは背中を斬られます。
母の木の枝が動き、ステファンを身体を拘束します。
バレンドが薪割り用の斧を振り上げて、ステファンを殺そうとした時、ガビが追い付き、矢でバレンドを撃ちます。
矢はバレンドに刺さりますが致命傷にはならず、バレンドは斧を振り回し反撃して、逆にガビは殺されそうになります。
その時、母の木の拘束を自力で解いたステファンが、バレンドを止める為、背中から羽交い締めにします。二人は揉み合いになります。
しかし、ガビが人心地つけたのは一瞬でした。先刻ガビが遭遇したキノコ人間が現れ、ガビに菌類塗れの黒い血を浴びせます。
ステファンがキノコ人間を殴りガビを助けます。そのまま、ステファンが今度はキノコ人間と揉み合いになります。
その隙に、自由になったバレンドがガビを再び殺そうとします。バレンドが斧を振り上げた時、なんとかキノコ人間をあしらったステファンが、バレンドを背中からナイフで刺します。
ステファンはバレンドに止めを刺そうとしますが、なかなか踏ん切りが付きません。
そうこうしている間に、またキノコ人間が襲ってきます。ガビはステファンに逃げる様に促し、2人は逃げ出します。
バレンドだけがその場に取り残されました。
小屋に帰り着いたガビとステファンの2人。ガビは裸になり身体に付着したキノコ人間の血を水で洗い流します。
翌朝、バレンドはキノコ人間に襲われたらしく、菌類に感染して背中からキノコが生えて苦しんでいました。
バレンドは母の木に自分の血を捧げ、菌類を抑える薬となるキノコを要求しますが、母の木はその要求には応えません。
ガビも菌類に感染したらしく、その身体にキノコが生え始めます。キノコだらけになり小屋の床に寝転がるガビを、ステファンは愛しそうに抱きしめます。
昨晩、背中を怪我した状態でキノコ人間と揉み合っているにも拘わらず、何故かステファンにはキノコが生えません。
やがて、全身を菌類に覆われキノコだらけになってしまったガビは、朦朧とする意識の中、ステファンに慈悲を求めます。
直接の描写はありませんでしたが、恐らく、ステファンはその願いを受け入れ、ガビの命を解放したのだと思います。
そしてラストシーン。
森を捨てて都会に出たステファンが、ハンバーガーショップで食事を摂っていました。
ステファンはハンバーガーを食べ残し、トレーをそのまま机の上において店を出ます。
ステファンの食べ残したハンバーガーには、凄い速度でカビが生えて増殖して行きます。
物語はここで終わりますが、これはこの後、菌類が都会の人間に牙を剥き、感染拡大が始まる事を匂わせているのでしょうか?
ステファンも間違いなく菌類に感染している様に思えますが、しかし身体にキノコが生える気配は一向ありません。
これは言外に、菌類の神がステファンを運び屋として利用し、菌を撒き散らす役目を与えたのだ、とでも映像的メッセージで伝えているでしょうか?
そもそもステファンの母親が今現在、生物としては死んでいるのか生きているのか、何があって何をどうやって、どんな経緯でどんな手段を使って、菌類に覆われた木になったのか、凄く気になります。
正直、全体的にディテールのはっきりしない部分が多い映画です。
詳細は視聴者の皆さんのご想像にお任せします、というスタイルなのでしょうか。
あらすじとネタバレ参考、wikipedia掲載のプロットを参考に肉付けして記事を書いています。
https://en.wikipedia.org/wiki/Gaia_(film)
私的な「Gaia」考察
キノコ・ホラー映画として見れば「Gaia」は割と面白かったです。
キノコ人間は結構はっきりと姿を見せて、そこそこ登場場面も多かったし、キノコが人間に生えて身体を覆い尽くす様も気持ち悪くて良かったです。
しかし、根幹的な部分でこの映画のテーマとか、メッセージとかが、一体何かを訴えているのかは、よく判りませんでした。
尤も、私が制作者の意図を読み取れなかっただけで、もしや本来は、環境破壊と人間の自然への関わりと影響をテーマにした、深いメッセージ性を持つ映画だったのかも知れません。
美しい映像と恐怖が巧妙に織り交ぜられ、視覚的なインパクトもありますし、視聴者に哲学的な問いを投げかける作品として撮影されたと説明されたら、ああそうなんだ成る程ね、と頷いてしまいます。
とはいえ、この手の映画を好き好んで見る私の様な人間は、気持ちの悪い表現が視覚的に楽しめれば、もうそれだけで満足です。
映画監督が一体何を視聴者に訴えかけているのだろうか、とか余り難しく高尚な考察はしない気がします。
最後に凄くどうでもいい話なのですが……。
この映画の、菌類が人間を侵食していく映像にワクワク出来た人間なら、X-ファイルのシーズン4、第11話「カビ」というエピソードもきっと楽しめると思います。
もし未見であるならば、機会があったら是非鑑賞してみて下さい。