オルタネーターの寿命が近付きバッテリー充電能力低下 電力不足でセル回らず
車のバッテリーである鉛電池の電圧は、満充電時で12.8V、容量0%の状態だと10.8V辺りまで低下します。
車のエンジンが動いている状態だとバッテリーには14V程度の電圧が掛かり、バッテリーに電流が流れ充電されます。
エンジン停止時のバッテリー電圧が11V台にまで下がっていると、セルモーターが回らず、車のエンジンが掛からなくなります。
鉛電池には当然寿命もあり、劣化が進んで来ると電力を蓄える力が衰え、やがて車のエンジンを始動する力が無くなります。そこまで来るとバッテリーの交換時期です。
また、バッテリーが正常でも、車のオルタネーターが劣化して来ると、オルタネーターの発電量が少なくなり、バッテリーが充分に充電されなくなり、結果としてバッテリーが上がります。
私の愛車も、何時の間にかオルタネーターの(発電用の)ブラシが擦り減って来ていたらしく、先日夜間にライトを付けて走行していたら、電力消費が発電量を上回る状態だった様で、バッテリーを充電する電力が足りておらず、出先で一回エンジンを切って1時間後くらいに再度エンジンを掛けようとしたら、電圧低下でセルが回らなくなっていました。
その時、車に取り付けてある電圧計を確認したら、なんと10.8Vで、完全にバッテリーが上がった状態でした。
不幸中の幸いで、訪れていたのが知人宅だったので、知人に頼んでブースターケーブルで電力を分けて貰うと、エンジンは直ぐに掛かりました。
その後、エンジンが冷えており、アイドリングが高めの状態で電圧計を見ると、12V半ばの電圧がありました。
バッテリーは今年の春先に交換したばかりなので、バッテリー上がりの原因がバッテリーの寿命とは考え難いので、どうも原因はオルタネーター臭いなと考えつつ、その日は恐々と帰路に着きました。
家に帰る途中、電圧に注意しなから走行していると、走行中ならば13.5Vくらいまでは電圧が上がるのですが、信号待ちで停まりエンジンがアイドリング状態になると11Vを切ってしまうという、危機感で冷や汗が出る状況でした。
試しに、ライトを消して車幅灯だけにすると少し電圧が上がります。停車中にアクセルを少し吹かし、エンジンの回転数を1500RPMくらいまで上げると、電圧が何とか12Vを超えます。
夜にライトを点灯した状態で走ると電力不足でバッテリーが上がる。昼間走行する分には消費電力が少ないので問題が起きない。
これは、オルタネーターのブラシが消耗して、発電量が下がり始める典型的な初期症状です。こうなるともう、オルタネーターを交換するしかありません。
オルタネーター交換までの繋ぎに リチウムイオン電池式充電器を作る
車のオルタネーターは、車種にもよりますが、私の古い年式の愛車の場合、リビルト品を買えばそんなに高いものではありません。そして、交換の為の作業は、車の修理の中では割と楽な部類です。
……とはいえ、部品を発注してから届くまでの時間と、届いても、週末にしか交換する為の作業場を借りる事が出来なかったので、その間を、死に掛けたオルタネーターで凌ぐのはとても不安です。
まあ、昼間走る分には暫く大丈夫だし、夜は信号で停まったらライトを消して車幅灯だけにして、少しアクセルを吹かし気味にしてやれば、バッテリー上がりは回避出来るとは思うのですが、しかし、何時爆発してもおかしくない爆弾を抱えてる様な気分で、実に恐ろしいです。
万が一の場合に備えての保険は必要な気がします。気休めではありますが、安心の為に、1本3.7Vのリチウムイオン電池4本を直列に繋げて、もし何処かでバッテリーが上がっても、その場でエンジンが始動出来る程度に充電可能な様に、急場凌ぎの充電器を突貫で自作しました。
前々から、電池式の充電器を作る気はあった……というか、寧ろ、非常時に備えて作ろう作ろうとは思っていたのですが、面倒臭くて先送りにして手を付けていませんでした。
切羽詰まらないと中々やる気が出ないので、まあ、今回の事で制作意欲が湧いたのは良かったです。
車のバッテリーは、ルームランプすら点かないくらい迄、完全に放電し切ってしまえばもうどうしようもありませんが、セルが弱々しく回るけどエンジンが始動しない程度の軽度の放電で、バッテリーが極端に劣化していなければ、ちょっと充電して電圧を上げてやれば、普通にエンジンが掛かるレベルに復活します。
12Vの鉛電池を充電するには、14V程度の電圧を掛けてやれば良いだけで、電源は別に何でも構いません。
それこそ、即興で1.5Vのマンガン電池を10本直列に繋いで15Vにした程度の、簡単な電源でも大丈夫です。
ただ、使い捨てではなく、どうせ作るのなら何度でも再利用可能な方が良いので、今回は家に大量に余っている充電式の18650リチウムイオン電池4本使い、直列に繋いで14.8Vの電源とする事にしました。
別にリチウムイオン電池でなくとも、ニッケル水素充電池を14本直列に繋いで16.8Vとかの電源にしても良いのですが、ニッケル水素充電池は1本の電圧が1.2Vなので、必要となる数が多くなり過ぎて邪魔臭いです。
取り敢えず、家にある部品を適当に見繕って、充電器を作成しました。
充電回路は↑の図の様な感じで滅茶苦茶簡単です。何の捻りも無い、電子回路の本とかを見れば紹介されている定番の定電流回路です。
一応、リチウムイオン電池を使い潰すつもりは無いので、電流は0.5A程度しか流れない様にしました。低電圧保護回路は、作るというか付けるのが面倒なので省きました。
かなりの手抜きなので、バッテリーに繋いだ儘での長時間の放置は、リチウムイオン電池が痛むので危険です。
時間を見て、リチウムイオン電池が過放電にならない程度で、バッテリーから外す必要があります。
この程度の簡単な充電器でも、程度にもよりますが、余程深刻な状態でなければ、車のセルを回せる程度には充電可能です。
携帯を心掛けると、軽度のバッテリー上がり程度なら何とか対処可能なので、万が一の時の保険になります。
材料に関しても、電池ボックスとトランジスター2個と抵抗だけですから、簡単に作れます。
私は家にあった(秋月電子通商で買った)トランジスターを使ったので、2SC1815と2SD2012を組み合わせましたが、似た様な特性の物なら型番は適当に選んでも大丈夫だと思います。
電流を流す用のパワートランジスター(右側)は、2SD2012以外を使うなら、Icが2A以上、VcboやVecoが20V以上ある物を選べば良いと思います。
トランジスター自体が、電力を0.4Wくらい消費して熱に変えるので、Pcは最低でも1W以上は欲しいです。
注意! これは飽く迄もバッテリー充電器
自作した車用のバッテリー充電器ですが、これは本当に唯の充電器でジャンプスターターではありません。
車のバッテリーに繋いだ状態で、30分程度放置すれば、車のバッテリーはゆっくりと充電されますが、この充電器を繋けば即、セルを回してエンジンを始動出来る訳ではありません。
何故なら、0.5Aしか電流が流れないからです。その程度の電流では、セルモーターは回りません。
飽く迄も、万が一のバッテリー上がりが起こっても、自走して帰宅出来る様にする為に、救済処置的に使う充電器です。
18650リチウムイオン電池が余っていれば、簡単に製作出来ますが、ジャンプスターターでは無いので注意して下さい。