負電圧? PNPトランジスタやPch-FETで電子回路を設計すると混乱するよね?

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DIYと自作

PNPトランジスタのデータシート見て負電圧って何? って思うよね

 昔、古本屋で買った70年代に発行された「初ラ」や「ラ製」を見ながら、電子回路の事をよく理解せずにゲルマニウムトランジスタで電子回路を作っていた頃は、2SB54とか2SB56とかのPNPトランジスタが主流で、それらを何も考えずに普通に使っていた。
 そりゃまあ、雑誌に紹介されている回路図を見てそのまま組むだけだから、やってる事はキット作りとかと一緒で、トランジスタの特性を気に掛ける事は余り無かった。

昔の電子工作ファンの愛読雑誌

初ラ初歩のラジオ 1948年7月創刊 – 1992年5月休刊(刊行:誠文堂新光社)
ラ製ラジオの製作 1954年創刊 – 1999年休刊(刊行:電波新聞社)

 しかし、時は流れ、トランジスタはゲルマニウムからシリコンへ変わり、自分で回路を設計する様になり、基本使うのはNPNトランジスタをばかりだが、偶にPNPトランジスタを使う必要が出て、データシートを見ると、負電圧ってなんだよと悩む様になりました。

参考:画像は秋月電子商会の東芝2SA1050のデータシートから拝借

 このね、例えば……Veboが-5Vって、何で負電圧? とか、データシート見る度にずっと思っていました。

 NPNトランジスタの場合は、C(コネクタ)からE(エミッタ)方向へ電流が流れるのでVeboが5Vとかの表示になる訳です。これはもう見れば一目瞭然で、直ぐ理解出来ます。
 でもPNPトランジスタになると、E(エミッタ)からC(コネクタ)方向へ電流が流れるのでVeboが-5Vとなる……正直、えっ何言ってるの? みたいな感じで、全く意味不明でした。

Pch-FETのデータシートも同様で負電圧って何? と戸惑う 

参考:画像は秋月電子商会のPchパワーMOSFET 60V16.7A MTB060P06I3のデータシートから拝借

 画像は、CYStech製のPch MOSFETであるMTB060P06I3のデータシートです。
  FET(Field Effect Transistor)=電界効果トランジスタです。
 こちらもやはり、Vgs-60Vとか、Id-16.7Aとか、パッと見て判り難い負電圧や負電流の値が表記されています。
 この思考実験かと思うような負の領域の電力表記に関して、私は長らく理解が及びませんでした。

難しく考えなければ…… 或る日突然理解出来た

 上の図はよくあるトランジスタでのスイッチング回路です。左がNPNで、右がPNPになります。矢印が外側向きがNPN、矢印が内側向きがPNPです。
 何方の回路もSWをONにするとLEDが点灯します。
 NPNトランジスタの場合は、SWをONにするとB(ベース)E(エミッタ)間に約0.6Vの電圧が掛かりC(コネクタ)E(エミッタ)間に電流が流れる様になりLEDが点灯します。これはまあ普通に理解出来ます。
 しかし問題はPNPです。最初の頃、PNPトランジスタだと、SWをONにすると何故、B(ベース)E(エミッタ)間に約ー0.6Vの電圧が掛かるというのかが理解出来ませんでした。負の電圧、行き成り何処から出て来たんだよ? と疑問に思って頭が混乱しました。
 トランジスタの解説でよく書かれている、電流を吸い込むだとか、吸い出すだとかも意味不明でした。

 けれども或る日、複雑に考えず、E(エミッタ)の電圧を0Vと考えれば良いのかと気付いて、やっと何とかPNPトランジスタを使える様になりました。
 因みにE(エミッタ)とは、回路図では矢印の付いている端子です。その反対側がC(コネクタ)で、|の後ろにあるのがB(ベース)です。
 要するに、E=0Vと考えれば、PNPの場合、BをGND側に繋げばBE間が約0.6Vとなるから、Eから見たらBには約ー0.6Vの電圧が掛かってるって事になるだろう、と言う事でした。
 やっぱり思考実験としか思えないんですが、取り敢えず何とかギリギリこれでPNPトランジスタでの回路を設計出来る様になりました。

 電子回路の設計は、これはこんなもんと単純に割り切って理解するのが重要みたいです。

FETもS(ソース)が0Vと考えたら何とかなった

 上の図は、FETを使ったスイッチング回路です。左がNchで、右がPchになります。
 スイッチングとして使うのならトランジスタよりも単純なFETですが、こちらもS(ソース)の電圧が0Vと考えたら、正負の電圧の掛かり方が何となく判り、回路を理解出来る様になりました。
 FETの端子はS(ソース)、D(ドレイン)、G(ゲート)です。矢印が付いているのが(ソース)、その逆がD(ドレイン)、||の後ろにあるのがG(ゲート)です。
 普通のトランジスタと違い、矢印が内側向きがNchで、外側向きがPchです。
 FETはGS間に電圧を掛けるとDS間がONになり電流が流れます。
 スイッチとして使うだけなら、トランジスタよりもEFTの方が使い易いです。

 FETとオペアンプと組み合わせると定電流回路や可変電流回路が簡単に作れるので、個人的にFETを利用する機会は多いです。

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