パソコンを購入して感じるUSBポートへの不満
USB(Universal Serial Bus)は、多種様々なデバイス間を接続する標準的なインターフェースとして、各種の電子機器で幅広く採用されています。
当然パソコンに何らかの外部装置を接続する為の手段としても使われています。しかし、パソコンの購入者がUSBポートに不満を感じる部分は意外に多く、幾つもあります。
- ポートの数:多くの購入者はUSBポートの数が不足していると感じます。特にメーカー製小型パソコンやノートパソコンでは、周辺機器を多数接続する場合にポートが足りなくなることが多いです。
- ポートの種類:USB-A、USB-C、Thunderboltなど、さまざまな種類のポートがあり、必要なポートがないと不満に感じることがあります。特に最新のUSB-Cのみのモデルでは、旧型のUSB-A機器が使えない場合があります。USBの種類
- 配置:ポートの配置が使いにくい場合も不満の原因となります。例えば、すべてのポートが片側に集中していると、ケーブルの取り回しが難しくなることがあります。背面にしかポートが無いと抜き挿しが不便です。
- 速度:USBポートの転送速度が低いと、大容量のデータ転送時にストレスを感じることがあります。特に、USB 2.0とUSB 3.x系の違いは大きいです。旧式のパソコンを使っているとUSBの規格が古かったり、CPUパワーが不足すると速度が低下しがちです。
- 耐久性:頻繁に抜き差しすることが多いUSBポートは、壊れやすい部分でもあります。ポートの耐久性が低いと、故障の原因となり不満が生じます。頻繁に抜き差しするとポートが接触不良を起こす事もあります。
- 電力供給:USBポートからの電力供給が不足していると、外付けハードディスクやその他の電力を必要とするデバイスが正常に動作しないことがあります。主流であるUSB 3.x系でも0.9Aが上限です。
USBポートの困難は延長ケーブルやUSBハブで凡そ解決する
パソコン本体のUSBポートの不満は、延長ケーブルやUSBハブで手軽に解決しましょう。
ポートの数が足りない→USBハブで増やせば良い
USBハブは、1つのUSBポートを複数のUSBポートに拡張するためのデバイスです。これにより、1個のポートを複数に増やせるので、限られた数のUSBポートしかないコンピュータやノートパソコンでも、複数のUSBデバイスを同時に接続する事が可能になります。
USBハブがあれば、USBのポート不足に関しての問題は簡単に解消します。
USBハブの種類
- バスパワー式USBハブ
特徴:電源を外部から供給せず、接続されているコンピュータからの電力のみで動作します。小型で持ち運びに便利ですが、多くの電力を必要とするデバイスを同時に接続すると、電力不足になることがあります。 - セルフパワー式USBハブ
特徴:外部電源アダプターを使用して電力を供給します。これにより、2.5インチの外付けハードディスクやプリンターなど、より多くの電力を必要とするデバイスを安定して動作させることができます。 - 両方対応のUSBハブ
特徴:外部電源アダプターを接続すればセルフパワーとして動作し、電源を外部から供給しなければバスパワーとして動きます。
主な用途と利点
- ポートの拡張:ノートパソコンや一部のデスクトップパソコンにはUSBポートの数が限られているため、USBハブを使用することでポートを増やし、複数のデバイスを同時に接続できます。
- デバイスの管理:USBハブを使用すると、デバイスの接続と取り外しが簡単になり、ケーブルの整理がしやすくなります。
- 利便性の向上:USBハブをデスク上の使いやすい場所に配置することで、頻繁に使用するデバイス(USBメモリ、マウス、キーボードなど)の接続が便利になります。
USBハブの選び方
- ポート数:必要なポート数を考慮し、十分なポート数より+1程度多いポートを持つハブを選びます。
- 電源供給:外部電源を使用するデバイスが多い場合は、セルフパワー式のUSBハブを選ぶと良いです。
- USB規格:接続するデバイスの転送速度に応じて、USB 3.x系対応のハブを選ぶことで、快適なデータ転送が可能になります。マウスやキーボードを接続するだけならUSB2.0でも問題ありません。
- デザインとサイズ:持ち運びや設置場所に応じて、コンパクトなものやデザイン性の高いものを選ぶことも重要です。
USB-Aのポートがない→USB-CをUSB-Aのメスに変換すれば良い
メーカー製のミニパソコンやタブレット等では、USB-Aのポートが標準搭載されていない場合があります。
その場合は、USB-CをUSB-Aのメスに変換する延長ケーブルや、USB-C対応でUSB-Aポート搭載のハブを使えば問題は解決します。
USBポートの配置が悪くて使い難い→USBハブか延長ケーブルで解決
すべてのポートが片側や背面に集中していて、周辺機器を接続する時に苦労する場合は、やはりUSBハブや延長ケーブルで、使い安い位置にポートを設置すれば解決します。
USB2.0しかないので転送速度が遅い→PCI-Expressを利用してUSB3.x系を増設
USB3.0搭載のパソコン用のマザーボードが発売されたのは2009年です。インテルならCore iシリーズが発売された頃からぼちぼちとUSB3.0を、マザーボード上にオンボードで標準搭載したパソコンが出回り始めます。旧式のパソコンを使っている場合、USBポートが2.0しかない用意されてない場合があります。
ようやく世界で初めて「USB3.0」に対応したマザーボードが発売へ – GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20091102_asus_usb3/
そんな時には、パソコンのマザーボード上にあるPCI-Express端子に挿入して使う、USB3.x系のポートを増設するインターフェースボードを利用する事になります。
まだ使える旧式パソコンに、ストレージを沢山繋げてNAS(ネットワークHDD)として利用しようかな、という時等に使えます。
USBポートの耐久性が心配→延長ケーブルやUSBハブ経由で周辺機器を繋ぐ様にすれば解決
周辺機器の接続に頻繁に抜き差しをしてUSBポートを酷使すると、耐久度的な問題で端子が摩耗して接触不良を起こす可能性があります。もし耐久限界が訪れて、オンボード上のUSBポートが使えなくなったら大問題です。
しかし、延長ケーブルやUSBハブを挿して、それ経由で周辺機器を使う様にすれば、オンボード上のUSBポートの耐久度が低下する心配は殆どありません。
実はUSBハブにUSBハブを挿してもポートを増やせる(メーカー非推奨)
周辺機器が増え過ぎて、最初に買ったUSBハブだけではポート数が足りなくなった。
そんな時、USBハブ上のポートに買い足したUSBハブを更に増設しても、実は殆どの場合は、2重に繋げたハブでも普通に周辺機器が使えます。
但し、この様な使い方は基本的にメーカー非推奨です。何らかの不具合が生じて接続した周辺機器が認識しなかったり、誤動作を起こす危険性があります。更に、HDD等を接続した場合、転送速度が著しく低下する可能性も高いです。
しかし、自己責任で試してみると、案外問題無く使える場合も多いです。
USB資料
USBの種類
- USB Type-A
- 特徴:最も一般的なUSBコネクタで、コンピュータや多くの周辺機器で使用されています。
- USB Type-B
- 特徴:プリンターや外付けハードディスクなどのデバイスに使用される四角形のコネクタです。
- USB Mini-B
- 特徴:主にデジタルカメラや古い携帯電話で使用される小型のコネクタです。
- USB Micro-B
- 特徴:スマートフォンやタブレットで広く使用されていた小型コネクタです。
- USB Type-C
- 特徴:最新のUSBコネクタで、リバーシブルであり、高速なデータ転送と電力供給が可能です。USB 3.1以降の規格で広く採用されています。
USBの歴史と速度
- USB 1.0 (1996年)
- 転送速度:1.5 Mbps(Low-Speed)、12 Mbps(Full-Speed)
- 特徴:初めて登場したUSB規格で、主にキーボードやマウスなどの低速デバイスに使用されました。
- USB 1.1 (1998年)
- 転送速度:12 Mbps(Full-Speed)
- 特徴:USB 1.0の改善版で、互換性の向上とバグ修正が行われました。
- USB 2.0 (2000年)
- 転送速度:480 Mbps(High-Speed)
- 特徴:転送速度が大幅に向上し、外付けハードディスクやプリンターなどの高帯域幅を必要とするデバイスがサポートされました。
- USB 3.0 (2008年)
- 転送速度:5 Gbps(SuperSpeed)
- 特徴:さらに高速なデータ転送を実現し、電力供給能力も向上しました。青色のコネクタが特徴的です。
- USB 3.1 (2013年)
- 転送速度:10 Gbps(SuperSpeed+)
- 特徴:USB 3.0の改良版で、データ転送速度がさらに倍増しました。また、Type-Cコネクタの導入により、リバーシブルな接続が可能となりました。
- USB 3.2 (2017年)
- 転送速度:20 Gbps(SuperSpeed+)
- 特徴:複数の転送レーンを使用することで、さらに高速なデータ転送が可能となりました。
- USB4 (2019年)
- 転送速度:40 Gbps
- 特徴:Thunderbolt 3との互換性を持ち、より高速なデータ転送とディスプレイ出力が可能になりました。
これらの種類と歴史を通じて、USBは進化を続けています。