ネッククーラーで首元を冷やすと涼しくなる
夏の風呂上がり等、身体が火照っている時に首元に冷たいものを押し当てると体温が下がって汗が引く。
首元を冷やすと涼しく感じる理由は、首元の血管を通じて全身に冷たい血液が循環する為です。
具体的なメカニズムは……
- 首元は大きな血管が集まる部位:首元には大動脈や静脈が集まっており、これらの血管を冷やすことで、体温調節が効率的に行われます。
- 血液の冷却:冷たい物を首元に当てると、首の血管を通る血液が冷やされます。この冷やされた血液が全身を巡ることで、体全体の温度が下がります。
- 体温調節のセンター:首の後ろ側には視床下部が位置しており、ここは体温調節の中心です。首元を冷やすことで、視床下部の温度が下がり、体全体の温度感覚が調整されます。
- 表皮の冷却:首元は露出している部分であるため、直接冷却効果を感じやすい部位です。首を冷やすことで皮膚の温度が下がり、冷たさをより直接的に感じることができます。
これらの要素が組み合わさることで、首元を冷やすと体全体が涼しく感じるのです。
ネッククーラーは、効率的に首元を冷やしてくれるので、例えば、室内でクーラーを使っていてもまだ暑い時等に、クーラーの設定温度を下げる事無く体感温度だけをピンポイントで下げてくれるので、夏を乗り切るには色々な場面で活躍してくれる便利なアイテムです。
ネッククーラーには色々な種類がある
バッテリー内臓の半導体を使った本格的な製品や、一先ずお試しで使ってみるのに恰度良い手頃な安価で買える製品もあります。
首元に風を当てて涼しくする首掛け扇風機等もありますが、これには冷却機能が備わっていないので、ネッククーラーとは少し違います。
安く買えるPCM素材タイプ
ネッククーラーで一番お手頃なのは、最近見掛ける様になったPCM(Phase Change Material)素材と呼ばれる相変化材料を使った、首に引っ掛けて使う輪っか状の製品です。
PCM素材は一定の温度範囲で固体と液体の相転移を繰り返す物質です。一般的に、融解する事で熱エネルギーを大きく吸収し、凝固する事で熱エネルギーを大きく放出します。
ケミカルカイロやネッククーラー等に利用されています。
中でも、ネッククーラーに使用されているのは約28度で凍結するタイプのPCM素材で、これで作られたリングを首に掛ける事で、PCM素材が固体→液体になる時に熱を奪ってくれるので身体を涼しく冷やしてくれます。
冷却効果はPCM素材が完全に溶けきるまでなので、長時間連続しての使用は不可能です。その分、お手頃価格で購入出来ます。PCM素材が溶けた後は、冷やせば再度固まり、固まったら再び使用出来ます。
風呂上がりの火照った身体を冷やしたり、夏の夜にちょっと散歩に出掛ける時など、短時間での使用に向きます。
よく冷える長時間使えるペルチェ素子使用タイプ
ペルチェ素子(Peltier素子)は、熱電効果の一つであるペルチェ効果を利用したデバイスです。ペルチェ効果とは、二種類の異なる金属や半導体を接合し、そこに電流を流すと、接合部で熱の吸収や放出が起こる現象のことを指します。これにより、片側が冷却され、もう片側が加熱されます。
その構造と原理は、
- 二種類の異なる半導体材料(n型半導体とp型半導体)が使用されます。
- 電極がそれぞれの半導体材料に接続されています。
- これらの半導体材料が交互に配置され、一方の端は「冷却側」となり、もう一方の端は「加熱側」となります。
電流がこれらの半導体を通過する際、キャリア(電子やホール)の移動に伴い、熱が移動します。具体的には、n型半導体では電子が多く、p型半導体ではホールが多いため、電流が流れると電子やホールが移動し、それに伴って熱も一緒に移動します。これが冷却効果を生み出す仕組みです。
ペルチェ素子は上記の性質を持ち、電流の制御によって精密な温度制御が可能なので、例えば、電子機器の冷却、CPUの冷却、カメラの冷却等など、小型冷却装置として広く使用されています。
そんなペルチェ素子を利用した、電気式のネッククーラーも存在します。
冷やすには勿論、電力が必要となるので、PCM素材を使ったネッククーラーよりも値段が高くなりますが、よく冷えるし、大容量のバッテリーを使えば長時間に亘り冷却効果が持続します。
夏に高温の中で作業する時等は、高性能なペルチェ素子式のネッククーラーが役に立ってくれます。
また、ペルチェ素子は冷却側と加熱側が同時に発生するため、加熱側の熱を効果的に放散する必要があります。因って、通電中はペルチェ素子の加熱側にヒートシンクを付け、出来れば小型ファンなどで強制冷却して放熱しなければなりません。熱管理が大切です。
ペルチェ素子式のネッククーラーは、夏の暑さ対策には最適です。
ネッククーラーを買う時の注意点
適当に選んで買ってしまってから後悔しない様にして下さい。
サイズや重量の確認
冷却部分が首元の動脈や静脈の辺りに確り接触しないと涼しくならないので、買う前に予め自分の首周りをメジャーで図る等して、自分にあったサイズの物を選びましょう。或る程度のサイズ調整の出来る製品だと、安心です。
また、首に引っ掛けて使う性質上、余り本体が重いと肩が凝ったりしますので、ネッククーラー本体の重量にも注意しましょう。
ペルチェ素子式の場合バッテリー容量も重要
ペルチェ素子式の場合、通電していないと冷えませんので、バッテリー容量が小さいと動作時間が短くなります。
長時間使いたい場合、バッテリー容量の大きな製品を選びましょう。
ペルチェ素子式の場合は給電方式にも注意
バッテリー式の場合、バッテリー充電用の端子の形状も確りチェックしましょう。
USB給電なら端子がtype-cなのか、Micro USB Type-Bなのか、確認しましょう。
偶に、海外製の安い製品だとDCジャック形状だったり、専用の特殊形状だったりする事もあります。汎用性が乏しい製品だと、専用ケーブルが破損したら終わりになるかも知れません。
室内でネッククーラーを使い続けたい場合は、常時給電式を選ぶと便利です。