市販充電器で充電不可になった二次電池復活用のトリクル&パルス充電器の自作 Ni-MH&Li-ion&006P電池……非推奨だが一次電池も充電可能

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DIYと自作

深放電して充電出来無くなった二次電池の蘇生は案外上手く行く自作充電器

 元々は何かのバッテリーパックとして使われていたジャンクの組充電池を纏め買いして後に分解、セル毎にバラすと、その儘で普通に充電出来て内部抵抗も低く未だ充分に現役で使えるセルと、深放電で危険的領域の低電圧に陥っていて充電不可能状態のセルの2種類に別れます。
 電圧確保に4本とか6本とかのセルを直列に組んであるバッテリーだと、その中の1本に異常が発生しただけで、バッテリーパックとしてはもう正常動作しなくなったりするので、バラすと正常なセルが結構な数、入手出来る訳です。
 自分もそうですが、家に18650リチウムイオン電池のストックが大量にある人は、大体がジャンクバッテリーを買って来て分解して、中身の正常なセルだけを選択して単体の電池として利用していると思われます。

 さて、ジャンクバッテリーをバラした場合、何もしなくても正常に動作するセルは兎も角として、問題は異常セルをどうするかです。
 面倒臭いので、駄目なセルには早々と見切りを付けて、ゴミの日に出したり、家電量販店の廃棄電池回収ボックスに放り込んだりして捨ててしまうのも1つの手ではあります。
 しかし、液漏れしていたりするあからさまに駄目なセル以外は、トリクル&パルス充電器を使うと、結構復活する場合も多いので、私は捨てる前に一度蘇生を試しています。

 尤も、仮に復活したからと言って、内部抵抗が大きくなり過ぎていたり、容量が少なくなってしまっていたりで、既に電池としての寿命が来ていて、マトモな用途には使用出来無くなっている場合も多いのですが。

 逆に、復活させたら何の問題も無く使用出来る場合も多々あります。
 そもそも、多少内部抵抗が高くなっていても、LEDライトの電源程度になら充分に利用出来るセルも少なくありません。

 市販の充電器で充電出来なくても、その儘捨ててしまうのは正直、貧乏性で物を溜め込み物を捨てられない人間である自分には、とても勿体無い気がしますので、一度は蘇生を試す事にしています。

 尚、市販の充電器で充電出来無くなった電池セルを充電する自作充電器に関しての初期案の回路図は、過去記事にあります。

おすすめはしないがトリクル&パルス充電器は一次電池(使い捨てのアルカリ電池等)も充電可能

 普通は使い捨てる一次電池(アルカリ電池等)も、微小電流をパルス状に流してやると実は割と安全に充電出来たりします。パルス状でも無くても、流れる電流を微小にしてやれば一応は大丈夫の様です。
 基本、電圧可変や、定電流モードを持っている実験用等と銘打たれて市販されている電源があれば、設定次第で電池の充電器としても利用出来ます。

 そもそも一次電池用の充電器に関しては、昔から聞いた事の無い様なメーカー製の市販品が、実際、地味に市場には出廻っていました。
 メーカー非推奨ではあるものの、一次電池も取り敢えず充電可能である事実は、一部の人間には知られており、ひっそりと実際に充電して再利用されているみたいです。

 一次電池の長所は、容量が充分にある時の電圧が1.5Vと、定格が1.2Vである二次電池のニッケル水素充電池等よりも高い処です。
 電気製品に因っては、この電圧の差で、ニッケル水素充電池だと最初から電池切れの警告ランプが点きっぱなしになり正常に使用出来無い製品も一部あり、仕方無く使い捨てのアルカリ電池を使用せざるを得ない場合もあるので、一次電池(アルカリ電池等)を充電して再利用したくなる機会も、あるにはあります。

 実はAmazon通販で、Amazonが配送する商品の中にも、正式に一次電池対応と謳っている充電器が存在し、購入出来たりします。
 お値段は、普通の二次電池用の充電器と比べるとお高めですが。

 で、この様な充電器を使用すれば、実際に一次電池が充電可能かと言えば、ちゃんと充電出来るでしょう。
 別に専用の市販品を購入しなくても、自作の充電器でも、汎用の実験用電源ででも、充電電流を流し過ぎなければ普通にアルカリ電池の充電は出来るので、特別驚く事ではありません。

 ただ、アルカリ電池等の一次電池の繰り返し充電は、非効率なのでおすすめしません。
 理由としては、充電出来ても電力が回復するのは数回(上手く充電しても、精々が 5回くらい)の話で、メーカーが充電する事を考えて作って無いので、充電中に電池から液漏れしたり、膨らんだり、下手したら爆発するかも知れないからです。
 ただ、1回か2回充電して再利用するのは、50%程度の性能が復活するので、アリと言えばアリかも知れません。
 尤も、一次電池は充電しても電圧が上昇するだけで、容量自体はそんなに回復しないので、充電に掛ける時間に対しての効率は悪いです。

 興味本位で知識欲を満たす為に、危険を承知で一次電池の充電を自己責任で試してみるのは良いのですが、そうでないなら、特別にコスパが優れているでも無く、二次電池で正常動作する電気製品を使う場合なら、元々充電可能なそちらを買って繰り返し使った方が無難です。

 ただ、角形の積層乾電池である006P電池なんかは、二次電池であるニッケル水素電池のを買うと高価なので、一次電池の電圧を回復させて何回か使い回せれば助かる気がします。

自作充電器(実機製作)

回路図にP-chFETの型番が書いてないですが、秋月で買うのならIRLML2246TRPBF辺りで大丈夫です。私は小さいSMDが嫌いなのでAOD403を使いました。

 前に回路図と回路シュミレーターでのシュミレートだけしかやって無かった自作のトリクル&パルス充電器ですが、実機をリアルで製作しました。(アイキャッチの画像のやつです。現状、剥き出しの基板状態ですが)
 別に難しい事はしていませんが、最初の回路図とは仕様がかなり変更になりました。
 無安定マルチバイブレータでパルスを発生させて、Pch-FETを介してトランジスターで組んだ定電流回路で充電対象の電池に電流を流しているだけの充電器です。
 初期設計では、充電時のC(Capacity)レートを微小にして、高速でオン・オフを繰り返すパルス制御で優しく電池を充電してやるだけの単純な仕様でしたが、製作時の思い付きで充電時の電流を変更可能に拡張しました。
 流す電流の多寡を3段階で、更にパルス有り無しも同様に選択可能にしました。

 充電する電池の状態に因って、充電用の電流を20mA、120mA、250mAの3種類で使い分けられる様にしてみました。
(トランジスター式の定電流回路は、使用した部品の個体差の影響が強く、温度補正とかも無いので、ピタッと狙った期待通りの電流値になりません。割と誤差が出ます。20mA、120mA、250mAと言う値は、実機製作後に電流を測ったら、そのくらい流れていたと言う話です。)
 パルス無しだとその儘の強さの電流が流れ、パルス充電だとデューティ比が50%としたら、実質的に入る電力はその半分になります。
 実質、20mA、120mA、250mAとパルス有る無しで6種類の充電状態が選択可能です。

 完全に0Vに迄、深放電してしまった電池を復活させるなら、最小電流で丸一日くらい繋ぎっ放しで放置して置けば、復活する余力を残した電池なら、市販品の充電器で充電可能な程度の電圧に迄、回復してくれます。
 そんなにゆっくり待てない無い場合は、120mAまたは250mAに1〜2時間繋いで、電圧が回復する兆しがあるか否か、確かめる事も可能です。
 しかしまあ、仮死状態の電池を蘇生させるのなら、パルス有りの20mAを使った方が多分安全で、蘇生成功率も上昇する様な気がします。

 回路に関しては、出力部分を複数に増やした所為でゴチャゴチャになりました。
 初期の想定と異なって、JFETを使わずにトランジスターの定電流回路にしたので、部品数も増えてます。

 充電回路を組むのに中って、トランジスターのNPNとPNPのどっちを使用するか迷ったのですが、許容損失(PD)の大きいPNPトランジスターの手持ちが殆ど無ったので、結局NPNを使う事にしました。
 NPNを使う場合、コレクタ接地(エミッタフォロワ)の定電流回路になります。
 入手性やコストを考えたら時代はNPNトランジスターなので、NPNのエミッタフォロワは様々な回路に、割と一般的に多用されていると思われます。
 ただこの回路、((電源の電圧−充電する電池の電圧)✕電流)分の電力がトランジスターに掛かり、熱として捨てられるので、PDの大きなトランジスターに、更にヒートシンクを付けるくらいして使わないと、あっさり灼けて一瞬で壊れる危険性があります。
 電源に12Vを使う場合には、特に注意が必要です。

定電流回路 NPN&PNP

試しに、NPN(左)PNP(右)で組んでみた定電流回路。結論的には、どっち使っても良い。
ならばNPNトランジスターを使った方が入手性が高いし値段も安く済む!

 回路シュミレーターで試してみた定電流回路です。
 電流を流す用途のトランジスターのエミッタ側に入った電流制御用の抵抗で、流す電流の値が決まります。抵抗値の計算は、(0.7÷流したい電流)で求められます。
 上の回路ですと大凡35mAくらいの定電流が流れます。但し、期待値との誤差は結構出ます。

 この充電器ですが、定電流回路なので、5〜12Vくらいの電源が別途必要になります。
 AC-DCアダプターでも、安定化電源でも、何なら古いPCから抜き取ったATX規格やSFX規格の電源を使い廻しても大丈夫ですが、何かしらの安定した電圧と電流を供給してくれる電源を用意して下さい。
 リチウムイオン電池やニッケル水素電池を充電する場合は5V電源でも大丈夫です。
 積層乾電池で9Vの006P電池を充電する場合は、12Vの電源が必須です。
 006P電池の充電器はそんなに一般的では無いので、この充電器で、ニッケル水素電池の006P電池の充電を試しましたが、問題なく充電出来ました。
 006P電池の場合、一次電池でも積極的に充電して2、3回は使い廻したい処です。006P電池って容量が少ない癖に高価で割高感があるので、余りポンポン買いたくないので。

 それと、最近出廻り初めている、リチウムイオン電池でステップアップコンバータが内蔵されてタイプの006P電池は、この充電器では充電出来ませんので、ご注意を!
 勿論、中身がリチウムイオン電池で内蔵のステップダウンコンバータで1.5Vに降圧しているタイプの単3電池を始めとする乾電池も、充電出来ません。

 尚、この充電器は基本、市販充電器で充電不可になった電池の復活用なので、この充電器で或る程度電圧が回復したら、最後まで充電せずに、後は市販の充電器で充電する必要があります。
 別の記事にて、一次電池の充電を試したレポートを書いてみる予定です。

駄目なリチウムイオン電池を充電してみたら電圧は回復した

 充電器の試運転として、ジャンクのリチウムイオン電池を充電してみました。
 これは、市販の充電器に入れると、エラーが表示されるでも無く、全く認識しない電池です。もうこういうのは電池としては完全に終わっているのですが……。

 駄目なリチウムイオン電池の電圧を測定すると214mVでした。0.214Vです。完全に死んでいます。

 250mAをパルス充電で1時間程流してから、その後に電圧を測定すると……一時的に2.84V迄に回復していました。
 市販品充電器ではどうしようも無かった電池ですが、自作充電器を使うと電力は一応、多少なりとも入った様です。

 ……と言っても、このリチウムイオン電池は見せ掛けの電圧が上昇しただけで、実用に耐えるレベルには復活しませんでした。寿命が完全に終わってしまっている電池は、流石に捨てるしかありません。

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