空気殺菌器の必要性 室内の空気はカビの胞子だらけ
研究によれば、室内のカビ胞子の濃度は通常、1立方メートルあたり数百から数千個の範囲内である事が多いとされています。しかし、湿気が多い場所やカビが発生している部屋では、数万個に達する場合もあるとか。
目には見えないけれど、呼吸する度に空気中に漂うカビの胞子を肺に吸い込んでいると考えると、ゾッとしませんか?
室内のカビ胞子の濃度の具体例
ほんの一例ではありますが。
- 通常の住宅環境: 1立方メートルあたり約200~500個
- 湿気の多い環境やカビの発生源がある場合: 1立方メートルあたり1000~10000個以上
室内の空気中に漂うカビの胞子について
カビの胞子は、カビが繁殖する為に放出する微小な粒子で、空気中を漂いながら広がります。これらの胞子は目に見えないほど小さく、吸い込むと人間の健康に影響を与える可能性があります。
カビの胞子の発生源:
- 湿気の多い場所: 浴室、キッチン、洗濯室、地下室など湿度が高い場所でカビが発生し易いです。
- 漏水や水害: 水漏れや浸水が原因でカビが発生する事があります。
- 換気不足: 換気が不十分な室内環境では、カビの胞子が蓄積し易くなります。
空気中のカビによる健康被害
カビの胞子を吸い込むと、以下の様な健康被害を引き起こす可能性があります。
- アレルギー症状: カビの胞子に対するアレルギー反応として、くしゃみ、鼻水、目のかゆみ、喉の痛み等が発生する事があります。
- 喘息の悪化: カビの胞子は喘息患者にとって特に有害で、症状の悪化や発作を引き起こす可能性があります。
- カビ症: 特定の種類のカビ(例: アスペルギルス)は、免疫力が低下した人々に感染を引き起こす事があります。この感染症は肺やその他の臓器に深刻な影響を与える事があります。
- 毒性作用: 一部のカビ(例: スタキボトリス)は、マイコトキシンと呼ばれる有害物質を生成し、これが頭痛、記憶障害、神経系の問題などの症状を引き起こす可能性があります。
参考:厚生労働省 – 科学的根拠に基づく
シックハウス症候群に関する
相談マニュアル
風呂場の壁やタイルに黒カビや、結露で壁に面した家具の背面に青カビが生えていたりすると、ざっと見積もって室内の空気1立方メートル中にカビの胞子が10000個飛んでいるとか、普通にあり得ます。
また、エアコン(冷房運転)の内部もカビが生え易く、内部にカビの生えたエアコンを稼働させていたら、室内にカビの胞子を撒き散らしている様なものです。
エアコン内部のカビが生えやすい場所
エアコン内部にはカビが生え易い特定の箇所があります。これらの場所は湿気がこもり易く、カビの繁殖に適した環境となりがちです。
- フィルター
- エアコンのフィルターは、空気中のホコリや汚れを捕集する役割を果たしますが、これがカビの栄養源となり得ます。特にフィルターが湿っている場合、カビが発生し易くなります。
- 熱交換器(エバポレーター)
- 冷房運転中、エバポレーターには冷たい空気が通り、結露が発生します。この結露水がカビの繁殖を促進します。熱交換器のフィンや周辺には特に注意が必要です。
- ドレンパン
- ドレンパンは、結露水を集めて排水する為の部品です。水がたまり易く、掃除が行き届かないとカビの温床となります。排水不良や詰まりがあるとさらにカビが発生し易くなります。
- 送風ファン
- 送風ファンは空気を室内に送り出す部分ですが、この部分にもカビが生える事があります。特にファンが湿ったまま放置されると、カビが広がる原因になります。
- ダクトや通風口
- エアコンのダクトや通風口は、内部の空気の流れにより湿気が溜まりやすい場所です。ここにもカビが生える事があります。
参考:ダイキン – エアコンにカビが生える! 自分でできる掃除法やカビ対策を解説
如何でしょうか? ここまで読んでくれた方なら、最低でも一家に一台は、空気殺菌器が欲しくなって来ませんか?
当然、室内の空気をクリーンに保てる装置の需要はあるので、実はUV-Cを使った空気殺菌器は、普通に市販されていて、金を出せば直ぐに手に入ります。
空気殺菌器が欲しいのなら、これを買えば問題解決じゃないか、と思うでしょうが、UV-Cで空気を殺菌するだけの装置なら簡単に作れそうなので、最近何かをDIYしたい気分もあり、今回は工作を楽しむ為に自作を試み様と思います。
プラモデルを作るのが好きな人が、プラモデルを作りたくなる様な心境だと思って下さい。
届いたUV-C&Aを照射する殺菌LED 3535UVAC
通販で購入したのは3535UVACという商品です。こちらのLEDは、ワンチップにUV-CとUV-Aの発光体が一緒に載っかっており、2つを同時に照射可能な仕様となっております。
普通殺菌用の紫外線と言えば波長の短いUV-Cなのですが、最近UV-AにもUV-Cとは違う原理で殺菌力があり、UV-AとUV-Cを併用すると相乗効果でより殺菌力が高くなる、みたいな研究結果もあるので、3535UVACはその効果を狙ったLEDだと思います。
UV-A(紫外線A波)がカビや微生物を殺菌する原理
UV-A(紫外線A波)がカビや微生物を殺菌する原理は、紫外線が微生物のDNAにダメージを与える事にあります。以下に、詳しいメカニズムを説明します。
UV-Aの基本的な特性
- 波長範囲: UV-Aの波長は320~400ナノメートルの範囲にあります。
- エネルギー: UV-AはUV-B(280~320ナノメートル)やUV-C(100~280ナノメートル)に比べてエネルギーが低い為、殺菌力はやや弱いです。但し、長時間の照射や高強度のUV-Aは、殺菌効果を発揮する事が出来ます。
UV-Aによる殺菌のメカニズム
- DNA損傷:
- UV-Aは、微生物のDNAに吸収されると、主に二重結合を持つ分子に作用します。これにより、DNAの構造に損傷が生じます。具体的には、チミンダイマーと呼ばれる異常な結合がDNA中に形成され、DNAの複製や転写が正しく行われなくなります。
- 酸化ストレスの誘発:
- UV-A照射によって、細胞内で活性酸素種(ROS)が生成されます。これらの活性酸素種は、細胞膜やタンパク質、DNAにダメージを与え、微生物の機能を阻害します。特に、カビや細菌などの微生物にとって、酸化ストレスは致命的なダメージを与える事があります。
- 修復不能なダメージ:
- DNA損傷や酸化ストレスが修復不能なレベルに達すると、微生物は死滅します。カビや細菌の成長や繁殖が阻害され、結果として殺菌効果が得られます。
UV-Aの殺菌効果の限界
- 波長の影響: UV-AはUV-BやUV-Cに比べて殺菌力が弱いため、十分な効果を得るには長時間の照射が必要です。
- 表面効果: UV-Aは主に表面の微生物に効果を発揮し、内部に浸透する能力はほとんどありません。そのため、表面殺菌に適していますが、浸透力が必要な場合にはUV-Cなどが使われることが多いです。
実用例
UV-Aは、UV-BやUV-Cと組み合わせて使用される事が多く、例えば空気清浄機や水の浄化装置などで、微生物の抑制や殺菌に利用されています。また、UV-Aの照射によって生成されるオゾンも殺菌効果を補助する役割を果たす事があります。
3535UVACを使えば、空気中のカビの胞子をかなり効率的に殺菌出来るのではないかと、その効果に大いに期待しております。
3535UVACはSMD-LEDなので小さくはんだ付けが辛い 単純なニコイチなのでLED-AとLED-Cは別回路
3535UVACに興味を持った方の為に、参考になる様にデータシートから一部のデータを抜粋してみました。
Vf | currents If(max) | nm | |
UVC | 5~8V | 40mA | 260~280nm |
UVA | 3~3.8V | 20mA | 390~410nm |
使用方法 | 消毒滅菌、紫外線検出、通信技術、エア滅菌水滅菌、医療処置、皮膚病治療 |
データシート参考:https://jp.made-in-china.com
データシートを見て貰えば判ると思うんですが、このSMD-LEDはUVA-LECとUVC-LEDをただワンチップ上にニコイチしてあるだけです。
グランド共通ですらありません。因って、電源にそれぞれを並列に繋ぐ必要がありそうです。
USB電源での利用を予定しているので、USBの5VをDC-DC昇圧回路で一旦6Vくらいに昇圧してから、抵抗で電圧降下と電流の調整をして行く方法を使うのが良さそうです。
DC-DC昇圧コンバーターは、家に何時買ったのか、どんなICを使っているのか不明なモジュールが幾つかあったので、取り敢えずそれを使ってみようと思います。
駄目なら新たに購入する必要がありますが、DC-DC昇圧コンバーター程度なら、必要ならAmazon等で簡単に手に入ります。
この入手のお手軽さは、今の時代、本当に便利になったと思います。
制作は次回以降に続きます。