殺菌用254nmVU-Cランプ(GTL3)届く 現物を見たら点灯させるのが割と面倒臭い仕様だった

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このVU-Cランプ 電圧: DC 10Vで点灯可能だが光るのはフィラメント片方だけ 実質±10Vの両電源が必要だった

 前の記事で購入したと書いた殺菌用254nmVU-Cランプは、後で知ったんですがGTL3という商品名らしく、製造販売元が三共電気というメーカーでした。
 この紫外線ランプGTL3の詳細を知りたくて、WEBでデータシートはないかと探してみたのですが、残念ながらそんな気の利いた存在は見付りませんでした。
 ただ、代わりといえる程、碌なデータは掲載されていないのですが、一応カタログっぽいものだけはありました。特に何の参考にもなりませんでしたが。

 さて、私が購入した楽天のお店ではこのランプ、商品の仕様として電圧: DC 10v (9.5-13V)、DCの場合は300mA定電流のドライバが必要、そんな説明書きが添えられていました。
 なので勝手に、DC-DC昇圧回路を使ってDC10Vを作り、定電流回路を噛ませば、モバイルバッテリー等のUSB電源で点灯させられるな、と安易に考えて購入しました。
 しかし、実物を見るとこのランプ、元々はAC電源用みたいで、裸電球と一緒で、DCで点灯させると2本あるフィラメントの片方だけしか光らない事に気付きました。
 正直、楽天で見付けた瞬間に反射的に購入していた事もあり、現物が手元に来るまでそれに気付かないとは、自分の頭がかなりボケていました。
 要するに、このランプをちゃんと点灯させようと思ったら…

+10V ── 仮想GND ── ー10V

 こんな感じの疑似交流というか、両電源が必要になると言う事です。

 いやあ、そうなると激しく面倒臭いです。オペアンプを使用する時も、面倒なので極力単電源でしか使わない人間なので、出来れば両電源は使いたくないです。
 そうすると、どうやってこのGTL3を単電源で点灯させるか……、少し考えた末、DCモーターの正転、逆転を単電源で制御する場合に使われる「Hブリッジ回路」でフィラメントを片方づつ、交互に点灯させれば良いのじゃないか、という結論に至りました。

手持ちの部品で組むHブリッジ回路

 DCモーターの正転、逆転の切替と書けば、何となくどういうものか想像は付くと思いますが、しかし、名前を聞いて「Hブリッジ回路」ってなんぞや? と思った人も沢山居ると思います。
 その回路を文章だけで説明するは難しいので、取り敢えず回路図を描いたので、見て下さい。

 上の回路図は、GTL3のお尻側がプラス、横側がマイナスとして、FET(電界効果トランジスタ)をスイッチとして使った場合の「Hブリッジ回路」です。FETではなく、普通のトランジスタでもスイッチとして使えます。
 この回路の場合、Pch-FET-AとNch-FET-Aを同時にオンにすると、GTL3に+10Vの電圧が掛かり、Pch-FET-BとNch-FET-Bを同時にオンにすると、GTL3に-10Vの電圧が掛かる事になります。
 Aをオン&Bをオフ、Aをオフ&Bをオンの状態を交互に切り替えて行けば、GTL3のフィラメントを交代で両方とも、点灯させる事が出来る筈です。
 多分、この「Hブリッジ回路」と「定電流回路」を組み合わせれば、モバイルバッテリーでGTL3を無事に点灯させて、ポータブルUV-C殺菌灯が完成すると思います。

 因みに、定電流回路は、作り方は様々あるんですが、出来るだけ簡単に済ませようと考えています。
 恰度、家には50円程度買えるレギュレーターLM317の買い置きが沢山あるので、これを使った簡単な回路にすれば良いかな、と考えています。
 LM317は、本来の使い方は電圧の降下なんですが、OUT端子とADJ端子の間に抵抗を一個咬ますだけで、簡単に完成する定電流回路としても使えます。
 噛ます抵抗のサイズは、(R=1.25÷流したい電流A)で求められます。
 何でこれで定電流回路になるか、その詳しい理屈に関しては、私は全く理解しておりません。
 割と有名な回路なので、知っている人は多いと思いますが、何故そうなるかを理解して使っている人は、少ないのではないでしょうか。私は何時も余り考えずに利用しています。

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手持ちの部品だけで殺菌用254nmVU-Cランプ(GTL3)の点灯用モジュールを完成させられるか?

 Hブリッジを組むには、専用のドライバICを使うのが楽なんですが、態々通販で探して買うのも面倒です。
 そもそもの前提として、部品は或る程度纏め買いしないと、掛かる送料が馬鹿にならないので、今回は手持ちの部品だけで何とかしようと思います。
 ……とはいえ、普段余り使わない、負電源に対する理解が浅いと頭が混乱してくる、Pch-FETやPNP型トランジスタを使用した電気回路の制作は苦手です。
 電子工作で一般的に多く利用されるのは、多分Nch-FETやNPN型トランジスタの方です。その証拠に、Pch-FETやPNP型トランジスタは入手性が悪く、更にNch-FETやNPN型トランジスタと比べると値段も高いです。

 我が家にも、電気工作で頻繁に使用するNch-FETやNPN型トランジスタの買い置きは複数ありますが、Pch-FETやPNP型トランジスタは殆どありません。
 取り敢えず、部品箱の中から使えそうな部品を探す処から始めたいと思います。ーー>次回へ続く

PNP型トランジスタとNPN型トランジスタ

 トランジスタには大きく分けてPNP型とNPN型の2種類があり、それぞれの動作原理や用途が異なります。以下に違いを説明します。

1. 構造と動作原理

  • NPN型トランジスタ:
    • 構造: N型半導体、P型半導体、N型半導体の順に層が形成されています。
    • 動作: ベース(P型)に電流が流れると、エミッタからコレクタへ電流が流れます。一般的に、電子の流れを利用して動作します。
    • 特徴: 電流が「流れやすい」方向はエミッタからコレクタです。
  • PNP型トランジスタ:
    • 構造: P型半導体、N型半導体、P型半導体の順に層が形成されています。
    • 動作: ベース(N型)に電流を引くと、コレクタからエミッタへ電流が流れます。一般的に、正孔の流れを利用して動作します。
    • 特徴: 電流が「流れやすい」方向はコレクタからエミッタです。

2. 回路での使用法

  • NPN型:
    • ベースに正の電圧をかけて動作させる為、一般的なデジタル回路やスイッチング回路で広く使われます。
    • 電源の負側を共通にした回路で使う事が多いです。
  • PNP型:
    • ベースに負の電圧をかけて動作させるため、負の電圧供給が必要な場合や特定の回路設計で使用されます。
    • 電源の正側を共通にした回路で使う事が多いです。

3. 用途と選択

  • NPN型:
    • 一般的に多くの電子回路で使用される標準的なトランジスタです。
    • スイッチング動作や増幅器など、幅広い用途に対応しています。
  • PNP型:
    • 特定の用途や回路設計で使用されます。例えば、負電源を使用する場合や、逆相のスイッチング回路が必要な場合などです。

 NPN型とPNP型トランジスタの選択は、使用する回路や求められる機能によって決まります。一般的には、NPN型の方が広く使われていますが、特定の用途ではPNP型が適している場合もあります。

 また、NPN型とPNP型トランジスタの性質は、電流の「吐き出し」や「吸い込み」によっても説明出来ます。それぞれのトランジスタがどのように電流を扱うかを、以下で説明します。

1. NPN型トランジスタ

  • 電流の吐き出し:
    • NPN型トランジスタは、コレクタ(C)から電流を「吸い込み」、エミッタ(E)へ電流を「吐き出す」タイプです。
    • ベースに少しの電流を流すことで、エミッタからコレクタに向かう主電流が流れ、これにより電流がエミッタから回路に吐き出されます。
    • 具体的には、トランジスタがオンの状態になると、コレクタからエミッタに向かって電子が流れ、その結果、エミッタが電流を吐き出す(正電流が流れ出す)役割を果たします。

2. PNP型トランジスタ

  • 電流の吸い込み:
    • PNP型トランジスタは、エミッタ(E)から電流を「吸い込み」、コレクタ(C)へ電流を「吐き出す」タイプです。
    • ベースに少しの電流を流すと、エミッタからコレクタに向かって電流が流れ、エミッタから回路に電流が吸い込まれます。
    • 具体的には、トランジスタがオンの状態になると、エミッタからコレクタに向かって正孔が流れ、その結果、エミッタが電流を吸い込む(正電流が流れ込む)役割を果たします。

まとめ

  • NPN型: 電流を「吐き出す」トランジスタ。エミッタから電流が回路へ流れ出します。
  • PNP型: 電流を「吸い込む」トランジスタ。エミッタが回路から電流を吸い込みます。

 このように、NPN型は電流を外部に供給する(吐き出す)動作をし、PNP型は外部から電流を引き込む(吸い込む)動作をするという点で異なります。

FET(電界効果トランジスタ)のNチャネル(Nch)とPチャネル(Pch)

 FET(電界効果トランジスタ)には、Nチャネル(Nch)とPチャネル(Pch)の2種類があり、それぞれ電流の「吐き出し」と「吸い込み」によって動作が異なります。以下に、NchとPchのFETの違いを説明します。

1. Nチャネル(Nch)FET

  • 構造と動作原理:
    • 構造: N型半導体のチャネルを持つFETです。チャネルの両端にドレイン(D)とソース(S)があり、中央にゲート(G)が配置されています。
    • 動作: ゲートに正の電圧を加えると、チャネルにキャリア(電子)が集まり、ドレインからソースへ電流が流れます。ゲート電圧を増加させると、チャネルが広がり、より多くの電流が流れるようになります。
  • 電流の動作:
    • Nch FETは、**ドレインからソースに向かって電流を「吸い込む」**動作をします。
    • 電流はドレインからソースへ流れるため、Nch FETは一般的に、ソースがグラウンド(低電圧側)に接続される回路で使用されます。

2. Pチャネル(Pch)FET

  • 構造と動作原理:
    • 構造: P型半導体のチャネルを持つFETです。構造はNch FETと同じですが、キャリアとして正孔を利用します。
    • 動作: ゲートに負の電圧を加えると、チャネルにキャリア(正孔)が集まり、ソースからドレインへ電流が流れます。ゲート電圧が負の方向に増加するほど、チャネルが広がり、電流がより多く流れるようになります。
  • 電流の動作:
    • Pch FETは、**ソースからドレインに向かって電流を「吐き出す」**動作をします。
    • 電流はソースからドレインへ流れるため、Pch FETは一般的に、ソースが電源(高電圧側)に接続される回路で使用されます。

まとめ

  • Nチャネル(Nch)FET:
    • 電流の「吸い込み」: ドレインからソースに向かって電流を吸い込む動作。
    • 主にソースがグラウンドに接続される回路で使用。
  • Pチャネル(Pch)FET:
    • 電流の「吐き出し」: ソースからドレインに向かって電流を吐き出す動作。
    • 主にソースが電源に接続される回路で使用。

 FETもNchとPchで電流の方向と動作が異なるため、回路設計においてどちらを使用するかが重要なポイントになります。

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