安いのにCV・CC対応!実験用にもピッタリな昇降圧モジュール
格安でも使いやすい可変式安定化電源が欲しい
実験用に使える、安価な可変昇降圧モジュールを探していたところ、良さそうな製品を見つけたので購入してみました。
このモジュールはスイッチング電源と組み合わせることで、市販の安定化電源のように電圧・電流を自由に可変できるようになる便利なアイテムです。
価格は手頃ですが、必要な情報をディスプレイにわかりやすく表示してくれる仕様で、定電圧(CV)・定電流(CC)両対応。性能的にも、趣味の電子工作や簡易実験用には十分すぎるレベルのモジュールです。
製品仕様(SK40 / SK90)
これが、気になって購入した昇降圧モジュールです。
- 入力電圧:6.00~36.00V
- 出力電圧:0.5~36.00V
- 出力電流:SK40:0~4.5A/SK90:0~5A
- 出力電圧精度:±0.3%
- 出力電流精度:±0.5%
- 出力電力:SK40:最大40W/SK90:最大90W
- 電圧分解能:0.01V
- 電流分解能:0.001A
現在の入手状況とレビュー状況(2025年5月時点)
この製品はAmazonでも購入可能ですが、残念ながらAmazon配送(プライム対応)の商品はまだ出ていないようです。
レビューもいくつか付いていますが、そのほとんどが海外ユーザーによるもので、日本語でのレビューは、少なくともこの記事執筆時点では見当たりません。
モデルの種類と購入理由
このモジュールには、冷却ファンの付いた「SK90」と、ファンなしの「SK40」という2種類が存在します。
正直なところ、両者の違いが冷却ファンの有無だけなのか、それとも内部仕様も異なるのかははっきりしません。もしかしたら、SK40に自前でファンを取り付ければ、SK90相当になるのかもしれませんが、その点は現時点では不明です。
また、Amazonの商品ページには記載されていませんが、「SK120」という上位モデル(最大出力120W対応)も存在しているようです。
今回は、冷却ファン付きのSK90を購入しましたので、その使い方や実際の使用感について紹介していきたいと思います。
SK90購入にあたり参考にしたAmazonレビュー
日本語レビュー皆無!? 参考にするのは英語レビューしかない
この商品、評価は高くレビュー数もそこそこあります。ですが、私が見ているのはAmazon.jpのはずなのに、なぜか英語ばかり。レビューを書いているのは、どうやらほとんどが外人さんようです。
おそらく日本国内では、まだあまり知られていない製品なのかもしれません。
そこで今回は、私が購入前に参考にした英語レビューを簡単に意訳してご紹介します。
(※原文をしっかり読みたい場合は、Amazonの商品ページのレビュー欄をご覧ください)

販売ページにより同商品の価格差があるので注意
ちなみに、評価のついているSK90は3,000円ほどしますが、レビューが一切ない別ページの商品だと、2,000円台前半で購入できるケースもあります。
出品者が異なるだけで型番的にも外観的にも同じ商品と考えられるので、価格重視ならそちらも検討の価値ありです。

購入前に読んだレビュー抜粋(意訳)
★★★★☆ 可変DC-DC昇降圧コンバーター(0.5~36V、CC/CV)
- 自作ケースや既存のパネルに組み込みやすい構造。
- 小さなディスプレイだが視認性は良好。
- 調整ノブの操作感は良いが、左側のゴム製ボタンが少しグラつく。
- ソーラーパネルを入力に、バッテリーを出力にして動作確認。期待通り使えた。
★★★★★ バッテリー駆動の実験用電源として使用
- コンセント不要のポータブル電源が欲しくて購入。
- L字アルミ材に固定し、面ファスナーで単三電池パック(スイッチ付き)と接続。
- ゴム足で角度を調整し使いやすさアップ。性能・使い勝手ともに満足。
★★★★★ 多少の慣れは必要だが、期待通りに動作
- USB-C PDコントローラーと組み合わせ、12V LiFePO4バッテリーの充電制御に使用。
- 入出力電圧が表示され、動作確認がしやすい。
- 説明書の情報がやや不足気味。プリセット機能のON/OFF操作に注意が必要。
- 視認性の高いLCD表示が好印象。カラーディスプレイより好み。
★★★★☆ 条件付きで問題なく動作
- 説明書はなし。商品ページの説明を頼りに使う必要あり。
- 初回は出力が出ず焦ったが、電源を変えて再テストしたら正常動作。
- オシロで見ると、35μsごとに0.5〜1V程度のスパイクあり。
- 出力4.83V設定で、平均4.97V・最大5.18Vと良好な範囲。
- LCフィルターを自作で加えられるなら、かなり使える製品。
★★★★★ 全ホビイスト必携のDC電源モジュール!
- 約20ドルでこの性能は驚異的。90W出力、CC/CV対応で非常に汎用性が高い。
- バッテリー容量測定にも活用できる(Ah、W、温度、時間の測定機能あり)。
- Fluke製DMMで測定したところ、電圧ブレなしの5.007V出力を確認。
- 星5では足りない! 星6をつけたいほどの満足度。
★☆☆☆☆ 危険な設計? ケース組み込み時の注意点
- ケースに入れると、インダクターがヒートシンクに接触しショートする可能性あり。
- 出荷時点でもインダクターとヒートシンクの隙間はわずか1〜2mm。
- 4台購入したがすべて同じ構造で返品。
- 長期使用を考えると、安全性に不安あり。初の★1評価として投稿。
レビューを読んでの私の結論
すべて英語レビューでしたが、機械語翻訳を参考にして読んでみると意外と分かりやすく、製品の特徴や使いどころがよく見えてきました。
とくに「出力電圧にスパイクが乗る」という情報は、昇降圧モジュールの構造上ある程度は仕方ない部分ですが、事前に知っておけてよかったです。
また、ケース内でインダクターがショートしそうという指摘もありましたが、大きめのケースを使えば回避できる問題だと思います。これだけで★1評価にするほどの欠点ではないかな、というのが私の印象です。
以上を踏まえて、私としては――
電子工作や実験用として使うには、コスパも機能も十分な「良い可変電源」だと判断し、購入に踏み切りました。
SK90を実際に使ってみた結果
届いた状態・セットアップ・第一印象まで
製品は、無地の段ボール小箱に入って届きました。中身は本体と緩衝材だけで、紙の説明書などは一切なし。箱の上には「ZK-SK90」という型番が印刷されており、どうやらこれが正式な型番のようです。
私は、AliExpressで配布されていたクーポンを使い、税込1,790円で購入しました。AliExpressといえば、商品の取り扱いの悪さ梱包の杜撰さに定評がありますが、今回は箱が少し凹んでいた程度で、海外配送としては比較的まともなコンディションで到着しました。


SK90はあくまで「電圧・電流可変のモジュール」
この製品は、単体では動作しない昇降圧型の電圧/電流可変モジュールです。
つまり、別途DC電源(ACアダプターやスイッチング電源など)が必要になります。
今回は、同じくAliExpressで987円で購入した12V10Aのスイッチング電源を使いました。
SK90の最大出力は5A・90Wなので、入力側に120Wクラスの電源を用意すれば、余裕もありちょうど良い組み合わせになります。



セットアップも簡単! 電源ケーブルは自作
SK90とスイッチング電源を接続するためのDCケーブルは別途自分で用意する必要がありますが、配線が完了し、スイッチング電源の電源を入れれば、SK90は自動で電源オンになります(※これは初期設定状態です)。
これで、ただのスイッチング電源が、電圧・電流が調整可能なラボ用電源に早変わり!
基本操作は感覚的でもなんとかなる
本体の左側には、操作ボタンのようなものが4つ縦に並んでいます。マニュアルが付属していないため、最初は何が何だか分かりませんでしたが、直感的に操作してみると、電圧と電流の調整くらいなら簡単に可能でした。
液晶ディスプレイも明るく視認性が良く、操作レスポンスも悪くありません。
価格以上の満足感
今回の構成では、モジュール本体が1,790円、スイッチング電源が987円で、合計わずか2,777円。
それでいて、ちゃんとした可変式の実験用DC電源として使えるのですから、驚きです。
一昔前なら、こんな価格でこの性能の電源を手に入れるなんて、考えられなかったことです。
SK90の操作パネルを理解する
見た目の構成と基本操作
SK90の操作パネルには、左側に4つのボタン、右側にロータリーエンコーダー付きのツマミ、その下に丸い出力ON/OFFボタンがあります。
左側のボタンは上から順に以下のように並んでいます:
[M/↑]
[V-SET]
[I-SET]
[OK/↓]
右側にはロータリーエンコーダーと、その下に丸ボタン(出力ON/OFF)があります。
ボタンの役割まとめ(基本操作)
付属マニュアルもなく、Amazonの商品ページも詳細に触れていないため、最初はどう操作するのか戸惑います。そこで、AliExpressの商品画像などを参考に、主な操作内容を以下にまとめました。
左側のボタン
- [M/↑]
- 短押し:入力電圧/出力電圧の表示切り替え
- 長押し:詳細設定インターフェースに入る/終了する
- [V-SET]
- 短押し:電圧設定モードのオン/オフ
- (詳細設定モード時):データグループの選択
- [I-SET]
- 短押し:電流設定モードのオン/オフ
- (詳細設定モード時):前の項目に戻る
- [OK/↓]
- 短押し:表示モードの切り替え
(例:出力電力 → 容量Ah → エネルギーWh → 時間 → 温度 → 連続表示 → 最初に戻る) - (V/I設定中):設定保存用のデータグループ選択
- (詳細設定モード時):次の項目へ進む
- 短押し:表示モードの切り替え
右側:ロータリーエンコーダーと出力ボタン
- ロータリーエンコーダー(ツマミ)
- 短押し:桁の切り替え(どの位を調整するか)
- 長押し:ロック/アンロック
- 回転操作:値の増減(右:増加/左:減少)
- 丸ボタン(出力ボタン)
- 短押し:出力のオン/オフ
- 長押し:電源オフ(シャットダウン)
よく使う基本操作:電圧・電流の設定
SK90を使ううえで最もよく使う操作は、出力電圧と電流の設定です。
- 電圧の設定:
[V-SET]
ボタンを押すと電圧設定モードに入り、ツマミで数値を調整。
再度[V-SET]
を押すと設定を確定します。 - 電流の設定:
[I-SET]
ボタンで同様に電流の設定ができます。
定電流(CC)モードが必要な場面で便利です。 - 値の変更はツマミの回転で行い、押して桁を移動できます。
また、00〜10までの11個のデータグループにプリセット保存が可能で、電源を切っても設定内容は保持されます。
SK90の詳細設定インターフェース(システム設定)
各種保護設定やキャリブレーションが可能
[M/↑]
ボタンを長押し(2秒)することで、SK90の詳細設定インターフェースに入ります。このモードでは、保護機能の各種しきい値や、動作モードなどを細かく設定できます。
以下は、その主な設定項目と意味です。
データグループ設定(Cd00〜Cd10)
[V-SET]
ボタンでデータグループを選択(Cd00 = グループ0)
基本パラメーター
- OUP(Over Voltage Protection)
出力過電圧保護:初期値37V - OCP(Over Current Protection)
出力過電流保護:初期値4.6A - LUP(Low Input Voltage Protection)
入力低電圧保護:初期値5.5V - OPP(Over Power Protection)
出力過電力保護:初期値41W - OAH(Over Ah)
過容量保護(Ah):デフォルトはオフ - OPH(Over Wh)
過電力量保護(Wh):デフォルトはオフ - OHP(Timeout Protection)
タイムアウト保護:デフォルトはオフ - OTP(Over Temperature Protection)
過熱保護:デフォルト90℃ - PON(Power On Output)
電源オン時に出力ONにするか:デフォルトはオン
システムパラメータ
- ADD(通信アドレス)
ディスプレイと電源ボード間の通信設定。ZK-SK90は通信機能あり。デフォルト001 - LED(バックライト)
0~5の明るさ設定。0で消灯、5が最も明るい(初期値) - SLP(自動画面オフ時間)
1〜60分まで設定可能。SLP=01で1分無操作で画面オフ - BEEP(操作音)
ピーピー音のオン/オフ切り替え(初期値オン) - ZERO(電流ゼロ補正)
無負荷でも微小電流があるときにゼロ点補正可能(200mA未満) - FRD(出荷時設定にリセット)
ボタン長押しで初期化 - CALU(出力電圧キャリブレーション)
電圧がズレているときの補正 - CALI(出力電流キャリブレーション)
電流がズレているときの補正
※アルファベット(V)が表示上(U)に見えている可能性もあります。
この詳細設定を活用することで、過負荷防止や長時間運転の安全対策がしっかり行えます。特に電子工作やバッテリーチャージなど、安全性と正確さが求められる用途に便利な機能が揃っています。
SK90は多機能&高コスパな万能DCコンバーター
ZK-SK90は、非常にコンパクトなボディながら、定電圧・定電流の切り替え、各種保護機能、プリセット保存、電力計機能など、多彩な機能を搭載した高性能なDC-DC昇降圧モジュールです。
操作にややクセはありますが、ボタンやツマミの意味と操作の流れを把握すれば、自作バッテリーパックの充電やLEDの点灯試験、モーター駆動、ポータブル電源作成など、幅広い用途で活躍してくれるでしょう。
今後、実際に使ってみた具体的な使用例や活用アイデアも、別記事などで紹介していく予定ですので、ぜひチェックしてみてください。