18650電池ボックス(一本用)は最初硬いが使っている間に程好いホールド力になる
18650リチウムイオン電池は1本あれば単3電池3本分に等しい3.7Vの電圧を得られるので、電子工作のDIYで遊ぶ時の電源として、手軽に利用出来る乾電池としてはかなり優秀です。
一昔前は一般的でない18650電池をセットするボックスをどうするのかに悩みましたが、最近では18650用の電池ボックスも一般的になり普通に安く出廻っていて、入手も簡単になっているので、その辺りの問題は略片付いています。
18650電池用の電池ボックスは、1本用、2本用、3本用、4本用と多種が存在していますが、個人的には1本用が一番使い勝手に優れていると思います。
また、電池ボックスのバネはその儘、電池用の電極としても使用されていますが、このバネには、板バネ式と渦巻きバネ式の2種類の形状の品が存在します。
そして絶対的におすすめなのは、渦巻きバネ式の電池ボックスです。板バネ式の商品は、電池のホールドが硬過ぎて非常に使い難いので、買わない方が良いと思います。
電池ボックスで18650電池を使用する一番の利点は、やはり手軽に電池交換が可能な事でしょう。
このお陰で、18650電池の予備を持ち歩けば、自作電子機器(モバイルバッテリー等)の出先での電力切れを、回避可能になります。
電池ボックスは、渦巻きバネ式でも購入直後は樹脂がかなり硬く、ちょっとキツキツで抜き差しに苦労しますが、段々馴染んで来て程好いホールド力になります。
ただまあ、やはりその儘だと抜くのに難儀するので、私の場合は、電池を入れる前に適度な長さに切った装飾用のリボンを電池ボックスと電池の間に挟んでおります。
電池を抜く時は、リボンで挟む様にしてプラス電極側を持ち上げてやれば、簡単に抜けます。
装飾用のリボンはAmazonで買えますが、何でも良いのならダイソー等の100均でも買えますので、一巻買って置くと良いと思います。
18650電池用に限らずバネ式電池ボックスの全般に普遍的に存在する欠点
渦巻きバネ式の電池ボックスは電池の抜き差しがし易くて便利なのですが、昔から存在する単3用等の商品を含め、基本的にこの系の電池ボックスは、接触抵抗が高いのが弱点です。
逆に板バネ式は接触抵抗が低めですが、電池の抜き挿しが、絶望的に困難を極めるので、結局な話、選択肢としては渦巻きバネ式を選ぶしか無く、この接触抵抗の高さが電池ボックスを使用する場合に常に問題になります。
接触抵抗が高いとどんな問題が生じるのかと言うと、不必要な抵抗が電池と負荷の間に挟まる事で、それが邪魔をして本来なら電池のスペック的には流せる筈の電流の最大値よりも下の電流値しか流せなくなったり、最大電圧が下がったりします。
例えば、18650電池であれば本来なら2A程度の電流を取り出せる筈なのですが、渦巻き式バネの電池ボックスを介する事で、精々が7〜800mA程度迄しか電流を取り出せなくなります。
更に、元よりリード線付きの電池ボックスの場合、配線が付いているのは直ぐに使えて便利で良いのですが、電極にカシメで線を留めてあるだけなので、使っている間に何時の間にやら接触不良が発生したりします。
質の悪い事に、普段はちゃんと電気が流れているのに、ちょっと動かしたりすると一瞬だけ接触不良を起こしたりと、原因の解明が非常に面倒臭い不具合症状が断続的に発生したりします。
また、リード線付きの電池ボックスは、どうせ接触抵抗で大電流は流せないと言う前提が在るからなのか、元々付いている配線が非常に細く頼りない場合が殆どです。
電気配線と言うのは細過ぎると、細そさで流せる電流が更に少なくなり、無理な電力を流せば発熱して煙が出たり燃えたりもします。
そして、この18650電池ボックスシリーズの恐ろしい処は、4本用でも1本用でも付いている配線の太さが変わらなく細い、と言う設計部分でしょうか。
ちょっと考えたら判りますが、同じ0.5Aの電流を流したとしても、セル1本なら3.7Vなので電力的には1.85Wですが、4本だと14.8Vになるので7.4Wに跳ね上がり、より熱が安易に発生し易くなります。
その結果として気付いたら、配線が燃え出したり、電池ボックスが溶けたりしてしまいます。
可能性だけでは無く油断すると、実際に配線が燃えたり電池ボックスが溶けたりと言ったトラブルが多発するので、本当に気を付けましょう。
配線の太さ(AWG、SQ、直径)と流せる電流の最大値の関係
配線の太さ(AWG、SQ、直径)と流せる電流の最大値の関係を以下に纏めて参考表にしました。
尚、配線の選定には、用途や許容電圧降下も考慮する必要があります。
一応、SQ0.01辺り0.17Aくらいを流せると覚えておけば、線の直径から面積を求めて流せる電流の最大値がざっくり計算出来ます。
配線サイズと最大電流表
AWG(米国規格) | SQ(平方ミリメートル) | 線の直径(mm) | 最大電流(A)* |
---|---|---|---|
32 | 0.032 | 0.202 | 0.53 |
30 | 0.051 | 0.255 | 0.86 |
28 | 0.081 | 0.321 | 1.4 |
26 | 0.129 | 0.405 | 2.2 |
24 | 0.205 | 0.511 | 3.5 |
22 | 0.326 | 0.644 | 7 |
20 | 0.518 | 0.812 | 11 |
18 | 0.823 | 1.024 | 16 |
16 | 1.31 | 1.291 | 22 |
14 | 2.08 | 1.628 | 32 |
12 | 3.31 | 2.053 | 41 |
10 | 5.26 | 2.588 | 55 |
8 | 8.37 | 3.264 | 73 |
6 | 13.3 | 4.115 | 101 |
4 | 21.2 | 5.189 | 135 |
2 | 33.6 | 6.544 | 181 |
0 (1/0) | 53.5 | 8.252 | 245 |
補足
- AWG: 米国規格「American Wire Gauge」の略。数字が小さいほど線が太くなります。
- SQ: 日本やヨーロッパで使われる断面積の単位(平方ミリメートル)。
- 線の直径: 導体の外径を示します(被覆は含みません)。
- 最大電流(A): 通常の使用条件(単芯線、室温)で流せる電流値の目安。環境条件(温度、束ね方など)によって異なります。
- AWG 30〜26 は、主に電子機器や細かい配線用途で使われる細線です。
- 細い線(AWG 30〜26)は特に電圧降下が大きくなりやすいため、長距離配線には注意が必要です。
注意点
- 実際に配線を選定する際は、使用条件(環境温度、配線の長さ、電圧降下、絶縁体の耐熱性)を考慮してください。
- 直流と交流で電流容量に差が出る場合があります。
- 電流が過剰に流れると発熱し、火災のリスクがあるため、余裕を持った選定が必要です。
割とメジャーな解決方法 電池ボックスの端子に銅線を巻いて配線を直結すれば抵抗は下がる
渦巻きバネ式の電池ボックスは、バネの先端から配線をカシメて固定している部分迄の抵抗値を、4端子法の高精度テスターで測定してみると、なんと70mΩ以上の数値が出ます。
リチウムイオン電池の内部抵抗が30~40mΩなので、それに更に抵抗がプラスされて合計で100mΩ前後になれば、大電流が流れ無くなって当然ですね。
マイナス側のバネだけで75mΩの抵抗
参考迄にプラス側の端子から配線間の抵抗は19mΩ
一応、これを緩和するのに、電池ボックスのマイナス・プラスの端子に銅線を巻き付けて、抵抗を減らすと言う方法がDIYを趣味とする同好の士の間では頻繁に使われるみたいです。
自分が愛用しているのは、ダイソーで買える(買えた? 最近見ないのでもしかして絶版か?)0.28ミリの銅線です。これ一本で最高で1Aくらい迄なら電流を流せるので、これを5センチくらいに切ったのを2本、端子に巻き付ける事で、理論的には4Aくらい迄の電流に耐える事になります。
電池ボックスを使用する場合、どう頑張って接触抵抗を減らしても流石に1セルで電流2Aは流せない(流せるのは1.5A~程度)ですが、この銅線を巻く方法自体はかなり有効で、電池ボックスを簡単に大電流を取り出せる仕様に変更可能です。
巻いた後に、ちゃんとはんだ付けするのが理想です。
銅線を巻いてはんだ付け