「インフィニティ・プール/Infinity Pool」カナダ2023年 ホラー? 映画のあらすじとネタバレと感想 海外版Blu-rayで鑑賞

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映画

「インフィニティ・プール/Infinity Pool」とは?

↑wikipedia Infinity Pool (film)より転記↑

 2023年1月にカナダで公開され、2024年には日本でも公開された「インフィニティ・プール」( 製作国:カナダ・ハンガリー・フランス)は、心理的スリラーとSFが融合した独特の作品です。
 監督、脚本はブランドン・クローネンバーグで、彼の手掛ける緊張感あふれる演出が話題となりました。

 知人が自分は見てはいないがこの映画が中々面白そうと教えてくれたので、Amazonで売っていた国内発送の海外版DVDを購入して「インフィニティ・プール」を鑑賞しました。英語字幕なので内容の理解は割と怪しいです。
 因って記事内の、あらすじやネタバレには、個人的な解釈が多分に含まれております。

 この映画のジャンルですが、ホラーというよりはSF風味のサスペンスに感じました。鑑賞の途中で眠くなって、自分ではそんなに面白いとは思えなかったのですが、世間一般の評判は高いらしいので、確り紹介してみたいと思います。

 尚、内容の理解にwikipediaに掲載されたあらすじを参考にさせて貰っています。

あらすじとネタバレ(前半)

 嫁の実家が金持ちなので裕福な夫婦、ジェームズとエ厶がリゾート地「リ・トルカ」の豪華なホテルに滞在するところから物語は始まります。
 ジェームズはスランプ中の無名に近い作家で、新作のインスピレーションを求めてこの島に来ました。
 突っ込んだ話をすれば、ジェームズは、6年前に1冊本を出版しているだけなので、プロでは無く実際は作家(笑)程度の存在です。
 妻のエマは日常の喧騒から逃れ、リゾート地での優雅な休暇を楽しむつもりでしたが、ジェームズは新作のネタも思い付かずに今一つ憂鬱な雰囲気で過ごしていました。

 さて、このリ・トルカは、一見平和なリゾート地に見えますが、実は奇妙な秘密を抱えていました。
 ここが日本で、これが諸星大二郎作品の漫画であれば、稗田先生がフィールドワークに来そうです。

 ジェームズがアンニュイな自分に酔いしれながら(個人的な解釈)一人で散歩をしていると、彼の本のファンを名乗る女性ガビから声を掛けられます。
 更にガビから、ガビの連れの男、アルバンを紹介されます。ガビ達はジェームズを夜の食事を一緒に摂ろうと誘います。
 真逆の自分のファンの出現に、内心舞い上がるジェームズ。当然それにすんなり応じたジェームズは、妻のエマと一緒に食事に出掛けます。
 そして、その場のノリで、夫婦でガビ達と一緒にドライブに行く約束をします。

 すっかり夜になったドライブの帰り、酒に酔ったアルバンの代わりに車の運転を引き受けたジェームズですが、車のライトの調子が悪くて暗くて前方が見えず、気が付けば通行人の男を轢いていました。
 ジェームズは警察を呼ぼうとしましたが、ガビ達がこんな野蛮な国の警察なんか呼んだら酷い目に遭わされる。放って置けばバレやしないから、このまま知らんぷりでホテルに帰ろうと唆します。
 促されるままに、ジェームズとエマは甘言に乗ってしまいました。

 翌朝、ホテルに警察が来てジェームズはあっさり逮捕されました。
 その後の処理は迅速で、ジェームズは轢き逃げの罪で、この国の奇妙な法律に従って死刑を宣告されます。
 ジェームズに父親を轢き殺された息子が、報復にジェームズを殺すという処刑方法で、刑が執行されるというのです。

 目を潰されたら相手の目を潰し、歯を折られたら相手の歯を折ってもよい、で知られる「ハンムラビ法典」みたいなキチガイ系の法律です。大丈夫何でしょうか、この観光地。

 しかし、この国にはやっぱり奇妙な救済制度もセットで用意されており、裕福な者は高額な罰金を支払う事で自分のクローンを作り、そのクローンに死刑を受けさせる事で罪を綺麗に清算出来るのです。

 原始的なのか、拝金主義に凝り固まっているだけなのか、判別付き難い国です。観光客用の救済処置らしいので、外貨取得が目的なのかも知れません。

 ジェームズは良く理解しないまま、この制度を利用し、クローンを作らせますが、自分の死刑を間近で見学させられた事で、名状し難い恐怖を覚え、その後は罪悪感に苛まれます。
 彼はこの出来事を通じて、段々と情緒不安定になっていきます。

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あらすじとネタバレ(後半)未見の人は注意!

 自分のクローンの死刑を見学させられ、遺灰を記念品として貰ったジェームズはホテルに帰ります。直ぐに荷物を纏めて帰国しようと思ったら、何故が判りませんがパスポートが消えていました。
 仕方が無いので、パスポートを何とかするまで、ホテルの滞在期間を伸ばそうとします。そこに、ガビが接触してきました。
 ガビはジェームズに「きっとあなたがインスピレーションを得られるかも」と思って、ジェームズの轢き逃げを善意で警察に通報したのだ、みたいな事を告げました。
 あなたの為になると思ってやったのよ、的な言い分でチョロく丸め込まれるジェームズでした。
 ガビは更に「自分も同じ体験をしており、他にもクローンの処刑経験者が居るので紹介したい」と言い出します。
 よせばいいのにジェームズは、ホイホイとガビに付いて行ってしまいます。
 元々色々と抉らせていそうな自称作家は、基本的に危機感が足りていません。(個人的な解釈)

 ガビが案内した先にはアルバンが待っていました。アルバンはジェームズに、チャールズ、ジェニファー、モーダン博士、ベックスと、朋輩を紹介していきます。

 実はガビを含めたこの集団は、金と暇を持て余したろくでなし共で、クローン処刑を何度も経験しており、金があれば幾らでも犯罪を無かった事に出来るので、何度もリ・トルカに遊びに来ては平気で現地人を殺すわ、自分のクローンの処刑をショーの様に愉しむわ、頭のネジが緩み倫理観が完全に欠落している狂人達でした。(個人的な解釈)
 ガビ達は、滞在中の暇潰しにジェームズを悪い遊びの仲間に引き入れて、序に玩具にして楽しもうと、ジェームズに接触したのでした。
 不良グループに引き込まれた一般ピープルが、本人は自分もその一員になれたつもりで一端に悪ぶるんだけど、周囲は仲間だとは微塵も認識していなくて、ただ遊び道具にされていただけ……みたいな状況です。
 見ている視聴者としては、ジェームズの行動が痛すぎます。

 その後、ジェームズは、「入国管理の職務に就いてる知り合いに新しいパスポート作って貰って上げるから君も一緒にやるよね」と、ガビ達に唆されるままに何度も法律を犯し、そのたびにクローンを作っては死刑を受けさせるという悪循環に陥ります。
 ジェームズは、ガビ達によって何時の間にか勝手に作られていた自分のクローンを、顔に袋を被せて誰か判らない状態にした上で、自分自身の手で散々甚振って痛め付けた後に、実はそれはあなたのクローンでしたぁ! と種明かしされるサプライズを仕掛けられたりして、精神的に疲弊して行きます。
 ガビ達とつるみ始めたのを契機に、エムとの関係も次第に崩壊して行き、エムは、あんたなんかもう知らん! とジェームズに対する呆れ、怒り、失望で、独りで先に帰国してしまいます。
 ジェームズは、何度も作られては処刑されて行くクローン達の死に様を目の当たりにして、自分が誰なのか、何を信じるべきなのか判らなくなって行きます。

 そりゃまあ、ガビ達は極悪非道な真似を何の躊躇もなく、狂人の思考で無茶苦茶やるので、普通の人間ならSAN値をガリガリ削られて当然です。
 でもジェームズって、自ら進んで地雷を踏みに行くような迂闊さがあって、酷い目に遭うのも、或る程度は自業自得な気がするんですよね。


 最終的にジェームズは、ガビ達の手に因って、自分のクローンを自身の手で殺さなきゃならない、何なのこれ? 的な状況に追い込まれます。
 ジェームズはこの時点で、SAN値の大幅減少で完全に一時的狂気状態です。

 やがてガビ達の滞在期間が終わり、ガビ達は観光を充分に楽しんだなというお気楽な雰囲気で、シャトルバスに乗って空港に向かいます。ジェームズもそのバスに一緒に乗って空港に向かいました。
 ガビ達は飛行に乗って帰国していきます。しかし、アイデンティティを完全に失い、エムとの絆も壊れてしまったジェームズは、空港のロビーにずっと座ったまま、搭乗予定だった飛行を見送ります。
 ジェームズは再びホテルに戻ると、自分自身の内面と向き合っているのか、激しく降り注ぐ強雨に打たれながら、無表情で海岸のビーチベッドに横たわっていました。
 このシーンが何を意味するのかは判りませんが、そこで物語は終わります。

あらすじとネタバレ参考wikipedia掲載のプロットを参考に肉付けして記事を書いています。

https://en.wikipedia.org/wiki/Infinity_Pool_(film)

まとめ

「インフィニティ・プール」は、金さえあればどんな犯罪を犯しても、クローンを作って身代わりにすれば無罪放免なので、何でもかんでもやり放題の倫理観が崩壊した胸糞悪い系の映画です。

 この映画の中で、特別心が繊細だった訳でも無いのにジェームズの精神だけがドンドン破壊されて行きますが、ガビ達の精神構造が常軌を逸しているだけで、一般人であれば、自分のクローンが自分の目の前で処刑されるのを何度も見せられたら、ジェームズの様に気が触れて精神に異常を来してしまっても別に不思議ではありません。
 この映画の監督は、人間のアイデンティティと倫理観を深く掘り下げたテーマの作品を撮りたかったのかも知れません。
 観る者に不快で強烈な印象を残すそのストーリーは、一度観たら忘れられない後味の余韻を残してくれるでしょう。

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感想

「インフィニティ・プール」は、ホラーというよりスリラーとかサスペンスに近い映画でした。あってないようなSF要素も微妙でした。そもそも、何の説明もないので、どういう原理でクローンを作っているのかもよく判りません。
 何と言っても、リ・トルカの科学力はァァァァァァァアアア 世界一ィィィィーーーーッ! 過ぎです。ホラー映画の全般でナチスの科学力も大概ですが、リ・トルカもそれに迫っています。ちょっと、ク・リトル・リトル神話の逸話で出て来そうな科学力です。
 正直、自分の好きなジャンルのホラーでは無かったです。上映時間も殆ど2時間と尺が長くて、見ている途中で結構ダレてきました。セリフは少な目で、象徴的な映像描写のシーンが多かったです。
 しかし、この映画は、心理的なサスペンスが好きな人にはおすすめかもしれません。ぜひ一度、鑑賞してみてください。

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