UVレジン硬化に使えるパワーLED、コスパ重視で試してみた
UVレジンを短時間で手軽に硬化させたい。でも、市販のUVライトは高かったり、波長が合わなかったりして、なかなか「これだ」という製品に出会えない――。
そこで今回は、AliExpressで手頃な価格のUVAパワーLEDを購入し、自作で照射ユニットを組んでみることにしました。専用の放熱基板(PCB)は使わず、手元にあった厚紙と銅箔テープで代用。小型ヒートシンクも組み合わせて、発熱対策もなんとかしながら動作チェックと温度測定を行いました。
「ほんとにこれで大丈夫?」と半信半疑で始めた実験でしたが、意外としっかり動作してくれました。
なお、UVA-LEDはAmazonでも手に入りますが、種類が少ないです。
以下、その記録です。
購入したUVAパワーLED
商品仕様として、VF:DC3.6~4.0V、IF:500~600mA、2WのパワーLEDを購入しました。365 nmと395 nmの2つのUVA波長にピークを持つ、UVレジン硬化向けの5 mm×5 mmサイズのSMD(表面実装部品)タイプです。
10個で約400円。365 nmを出せるパワーLEDとしては、それなりにコストパフォーマンスが良いと感じました。

現在主流のレジン液は、正式には「LED&UVレジン」と呼ばれ、365 nmまたは405 nmの波長で硬化します。ただし、中にはどちらか一方の波長でしか硬化しないレジンもあり、「LED用レジン」は405 nm、「UV用レジン」は365 nmにしか反応しない場合があります。
今回購入したこのLEDは、365 nmと395 nmという2つの波長ピークを持っているため、多くのレジンに対応できるはずです。とても便利そうなので購入しました。
また、レジンの硬化時間は光の強さに比例して短くなります。2Wという高出力を持つこのLEDなら、短時間でしっかり硬化してくれるのでは、と期待しています。

厚紙に銅箔テープを貼ればパワーLED用のPCB代用品になるか?
銅箔テープを基板のランド代わりに
パワーLEDは発光中にかなり発熱するため、通常は銅層の厚い専用のPCB(プリント基板)に実装して使います。
しかし今回は、UVA-LEDのみを購入し、専用PCBは用意しませんでした。「なくてもなんとかなるだろう」と楽観的に考えたためです。
とはいえ、SMDタイプのため、足がない状態ではテストすらできません。そこで、厚紙に10mm幅の銅箔テープを2本貼り、そこにLEDをはんだ付けして、簡易的な基板を自作しました。

3.6Vを印加したところ、約0.45Aの電流が流れ、無事に点灯しました。
ちなみに点灯後、手持ちの分光器でスペクトル分布を確認すると、主に400 nm付近に明確なピークがあり、370 nm付近にも小さなピークらしきものが現れました。ただし、明るさの主力は400 nmで、370 nmの方は補助的な光といった印象です。


問題はLEDの発熱をどうするか
パワーLED用の専用PCBは、厚めの銅板などで構成されており、LEDの発熱を効率よく逃がすように設計されています。
今回使った銅箔テープも放熱には役立ちそうですが、非常に薄いため、放熱性能に不安があります。
そこで銅箔テープの上、LEDの近くに小型アルミヒートシンクを熱伝導両面テープで貼り付けてみました。これにより、LEDから銅箔テープを通じてヒートシンクに熱が伝わり、そこから空気中に放熱されるのでは、と期待しています。
とはいえ、これはあくまで机上の空論。果たして、厚紙に銅箔テープを貼っただけの「疑似基板」が、ヒートシンク1つで専用PCB並みに放熱してくれるのでしょうか?

実際に温度測定してみる
実際にLEDを点灯させ、温度がどの程度まで上がるのかを測定しました。
使用したのは手持ちの安価なサーモグラフィー。画像と温度分布の位置が若干ズレる点はありますが、参考にはなります。
以下は測定画像です。上が通電前、下が通電後約1分の様子です。室温は28.1℃でした。


LEDに通電した結果、ヒートシンク部分の温度は最大で58.3℃まで上昇しました。高温になっているのはヒートシンク部分だけで、LEDの熱が銅箔テープを介してきちんとヒートシンクへ伝わり、そこから放熱されている様子が確認できました。
この結果から見る限り、専用のPCBがなくても、ある程度の放熱対策にはなっているといえそうです。

銅箔テープ+ヒートシンクで十分な放熱が可能かもしれない
銅箔テープは極薄(18~35μm程度。一般的な基板のランドと同程度)なので、最初は本当に熱を伝導できるのか不安でした。しかし、今回の実験では特に問題は起きませんでした。
今回はLEDを1個だけ使用しましたが、例えば厚紙に銅箔テープを貼り、LEDを3個直列につないで12Vで点灯させるような回路でも、同様の簡易基板で対応できるかもしれません。
もちろん、ヒートシンクは必要不可欠です。ただし、小型の汎用ヒートシンクなら、50個入りの格安パックも見つかります。パワーLED専用のPCBを複数用意するより、コストを抑えられそうです。

おわりに:簡易基板でも工夫次第で十分使える
今回は、専用のプリント基板を使わずに、厚紙と銅箔テープ、そして小型のヒートシンクを組み合わせることで、UVAパワーLEDを安全に点灯させ、しっかり放熱することができました。
もちろん、これは一つの実験的な方法であり、長時間連続点灯や密閉空間での使用などでは放熱が追いつかない可能性もあるため、注意は必要です。それでも、「ちょっと試してみたい」「とにかく低コストで組みたい」という用途には、十分現実的な方法だと思います。
UVレジンの硬化用ライトや小型の紫外線照射装置を自作したい方には、このような簡易な構成でも可能性があるという一例として参考になれば幸いです。