『吸血怪獣チュパカブラ/A NOITE DO CHUPACABRAS』ブラジル2011 UMAホラー感想

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映画

ロドリゴ・アラガォン監督作品の鑑賞2本目『吸血怪獣チュパカブラ』

 ロドリゴ・アラガォン監督が手がけた、世界観が繋がっていると思われるホラー映画連作。
 その1作目である『デス・マングローヴ ゾンビ沼』に続き、2作目の『吸血怪獣チュパカブラ/A NOITE DO CHUPACABRAS』も、ようやく鑑賞しました。

 映画の原題『A NOITE DO CHUPACABRAS』は直訳で『チュパカブラの夜』。
 邦題でわざわざ『吸血怪獣チュパカブラ』としたのは、昔の東映怪奇特撮怪人系映画のニュアンスを出して興味を惹きたかったのでしょうか?
 そのおかげでホラー映画でありながら、怪獣映画のような印象になってしまっていて、方向性が迷走している気がします。

 この映画にも、ロドリゴ・アラガォン監督の、ぜひ改善をお願いしたい特徴である、冗長な描写が多く無駄に尺が長いため、途中でダレてしまう傾向があります。
 もう少し編集で話を詰めたほうが、視聴者も見やすく、作品としても締まったのではないかと思います。

 そして監督作品の最大の特徴――生活環境が汚い、血の色が汚い、食事シーンが汚い、とにかくあらゆるシーンに「汚さ」があり、全編を通して不衛生で不潔です。
 さすがは Unsanitary Horror の巨匠というべきか、意図的なのか偶然そうなったのかは不明ですが、それが強烈な個性となっています。

 ロドリゴ作品の第2の特徴である、貧困(にしか見えない)環境での登場人物の生活描写もしっかり映像化されています。
 そしてファン待望(?)の「焼いたレモン」への謎の信仰モチーフも本作に登場するので、そこは安心できます。

 何と言えば適切なのかよく分かりませんが、映画タイトルの通り、家畜を襲って血を吸う南米産のUMA・チュパカブラはしっかり登場します。
 しかし、チュパカブラの描写が物語の中心になるわけではなく、誤解や猜疑心をきっかけにこじれていく二つの家の対立が、作品の大半を占める構造になっています。

 前作『デス・マングローヴ ゾンビ沼』との直接的な繋がりは薄いものの、次作『シー・オブ・ザ・デッド』へ続く要素は多く含まれていて、そのため唐突に感じられる展開や「いや、なぜそうなる?」と戸惑う場面も少なくありません。

 鑑賞ソースは、以前 GYAO! で無料視聴ができた頃に録画した日本語字幕版です。
 GYAO! は本当に良いサービスでした。終了したのが悔やまれてなりません。

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『吸血怪獣チュパカブラ』あらすじ

 著作権への配慮のため(不特性多数へのネタバレの自粛)、ネタバレありあらすじの詳細はnoteに移します。

 ブラジル南部の田舎。シルヴァ家とカリバリョ家の二家は長年仲が悪い。
 シルヴァ家の家畜が殺され血を抜かれる事件が発生し、それをカリバリョ家の仕業だと勘違いしたシルヴァ家の男たちが敵地へ乗り込んだことで、誤解からの血みどろの抗争が始まる。
 凄惨で醜い争いはエスカレートし、両家の人間は次々に死んでいく。
 そんな中、伝説の未確認生物チュパカブラと思われる怪物がやっと姿を現す。

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チュパカブラについての考察(伝承と作中の比較)

UMAチュパカブラの伝承

 チュパカブラ(Chupacabra)は、1990年代にプエルトリコで目撃証言が急増したとされる、比較的歴史の浅いUMA(未確認生物)。
 名称はスペイン語で「ヤギの血を吸う者」を意味する chupa(吸う)+ cabra(ヤギ) に由来する。


伝承における主な特徴

  • 家畜(主にヤギや羊)の血だけを吸い尽くす
  • 目撃証言は地域によって大きく異なる
  • 初期は 直立歩行する背びれのある爬虫類型
  • 後期は 犬型・コヨーテ型に近い四足動物 として語られることが増加
  • 死体が残っても 血液が抜かれている とされる点が特徴

目撃報告地域

 プエルトリコ → メキシコ → チリ → テキサス など、中南米からアメリカ南部へ噂が拡大したと言われる。

一般的に知られるチュパカブラ像

 細身で直立二足歩行し、背中に棘のようなヒレがあり、動物(ヤギ)の血を吸うUMA。


チュパカブラは血が主食なので身体は細い?(仮説)

 現実世界にも血液だけを栄養源とするヴァンパイアバットという哺乳類は存在する。
 チュパカブラを哺乳類に分類して良いのかは不明だが、血液食のみで生きている哺乳類、または類似の生物として仮定する。

 血液はタンパク質や鉄分は豊富である一方、脂質や炭水化物が極めて少ない。
 そのため、長期的な高エネルギー源としては不十分で、ほとんどの哺乳類は血液だけで体を維持することは非常に難しいとされている。

 この点から仮にチュパカブラが「血液食のみで生きる生物」だった場合、十分な筋肉量や脂肪量を持つ大柄な体型に成長するとは考えにくく、もし成長したとしても、その体型を維持するのは極めて困難だろう。

 結果として、チュパカブラ像は、小柄で軽量、細身の体つきの生物像のほうが、生理学的には“もっともらしい” という推測が成り立つ。

ただしこの仮説には前提条件がある

 この仮説は、チュパカブラが地球由来の生物である可能性を前提にしている。
 もしチュパカブラが地球生物の枠に収まらない存在(妖怪/宇宙生命体など)であるなら、上記の生物学的仮説そのものが成立しなくなる。
 伝承の中には「グレイ型宇宙人に似ていた」という証言も存在するため、起源によって生態系の前提が根本的に変わり得る存在としての余地も残されている。


映画に登場するチュパカブラの造形

 作中のチュパカブラは、伝承の一般像とはやや異なる姿で描かれている。
 昭和ライダー怪人風のデザインで、伝承から想起される姿よりもガタイがよい。体型も人間的なフォルムに近く、背丈も同様に人間程度で、いわばトカゲ人間的な造形になっている。
 邦題は『吸血怪獣』とついているが、むしろ『吸血トカゲ怪人』が近いと思う。ますます昔の東映怪奇特撮怪人系映画に近づいてきた。


ロドリゴ監督は映画中でなぜ、チュパカブラの造形を伝承と変えたのか?

 これに関しては、憶測のレベルであれば色々考えられる。しかし、個人的にもっとも信憑性が高いと思っているのは──

  • ロドリゴ監督は実際にチュパカブラを目撃したことがある。
  • チュパカブラの目撃者にロドリゴ監督が直接インタビューして、その姿を正確に把握した。

 このあたりではないだろうか。

 なにせ、ブラジルの土着的な「どんな怪我にでも効く」とされる 焼きレモン 信仰を巧みに作中に取り入れるほど、ロドリゴ監督は地域の民俗学的な知識の造詣が深いのだ。個人でチュパカブラの本物の実像に近づいても不思議ではない。
 そして、間違って世間に流布されてしまったチュパカブラ像を訂正するため、独自に造形したチュパカブラを作中で使ったと考えれば、とても自然ではないだろうか?

もう一つの可能性

 こちらは少々穿った憶測ではあるが、多少なりともこちらが正解である可能性も否めないので、一応書いておこうと思う。
 ロドリゴ監督の映画で、伝承とは異なるチュパカブラの造形が用いられたのは──

 CGを良しとせず、実写特撮での撮影に拘った監督が、あるいは予算の都合上か、作中のチュパカブラに手作り感の高い着ぐるみを採用したため、中に人間が入って動かしている理屈上、望まぬともトカゲ怪人みたいなチュパカブラになってしまった。

 そんな可能性も決してゼロではないのだ。まあ、ゼロではないだけで、せいぜいが99%くらいしかないとは思うので、こちらの理由は「もしかしたら、そんなこともあるかも?」程度に流せば問題ないだろう。


最終結論

 どちらの説が真実であるかは、今のところ監督に確かめるしか答えは出ない。
 ただ一つ言えるのは――
 どちらを信じるのも信じないのも、それはあなた次第、である。


『吸血怪獣チュパカブラ』:まとめ

私はロドリゴ監督作品の順番を把握せずに『シー・オブ・ザ・デッド』を最初に観てしまっていたので、「ああ、これがあそこに繋がるのか」という演出に感心しましたが、もし『吸血怪獣チュパカブラ』を先に観ていたとしたら、そこら辺は理解不能だったと思います。

なにせ途中で、話の繋がり的に違和感アリアリで、いろいろとオカルトっぽい要素がぶっ込まれるんです。おかげで単品で観ると、なんとも支離滅裂なストーリー展開にしか感じられません。

 しかし、『デス・マングローヴ ゾンビ沼』、『シー・オブ・ザ・デッド』、『サタニック・ビースト 禁断の黒魔術』まで全部観ると、ロドリゴ・アラガォン監督のやりたかったことが、なんとなくわかった気になれます。

 とはいっても、わかった気になるだけで、なぜそう繋がるのかは一生理解不能で終わるかもしれません。
 しかし意味不明なりに、世界観を共通させているように見える連作の繋げ方は凝っていて、非常に面白いと思います。

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