PWM制御(パルス幅変調)は、個人の趣味で行う電気工作でも多用途に使える技術
PWMとは「Pulse Width Modulation(パルス幅変調)」の略称で、一定の周波数で発生させたパルス信号の「オン」と「オフ」の時間幅(=デューティ比)を調整することで出力を制御します。
たとえば、デューティ比が50%の場合、信号は「オン」が半分、「オフ」が半分の割合になります。
この制御方法は、モーターの回転速度制御やLEDの明るさ調整など、電気工作においてよく利用されます。
たとえば電動ファンの風量を調整したい場合、抵抗などで電力を熱として捨てて電圧を下げるのではなく、オンとオフの比率を変えることで、電力を無駄にせず、実質的に電圧を下げたのと同じ効果を得ることができます。
パルスとは、ただ高速でオン・オフ(HIGH/LOW)を繰り返すだけの単純な信号ですが、スイッチング素子と組み合わせることで、大電流の制御も可能になります。
電気工作で自作回路を組む際にもよく使われるため、周波数やデューティ比、PWM振幅を自由に調整でき、波形のきれいな矩形波を出力できるジェネレーターが手元にあると非常に便利です。
パルスを発生させるジェネレーターは自作もできますが、回路に組み込むのではなく、実験や評価用として使いたい場合には、周波数やデューティ比を可変できる市販のモジュールを使うほうが手間もかからず便利です。
最近では、低価格ながら高性能なパルス発生モジュールが簡単に手に入るようになってきました。この記事では、その中でも「買って損はない」おすすめの製品を紹介していきます。
格安・高性能なPWM信号発生モジュール「XY-LPWM」
安価で手軽に入手できるPWM信号(パルス)発生モジュールとしては、「XY-LPWM」が有名です。
この製品は、電源につなぐだけでPWM信号を発生させることができます。
さらに、アナログ式ではなくデジタル方式で制御されており、周波数は1Hz単位、デューティ比は1%単位で設定可能。設定は前面のプッシュボタンで簡単に行えます。
たとえば「60Hzでデューティ比30%のパルスがほしい」といった場面でも、すぐに設定して出力できます。
製品仕様
- パルス周波数&デューティ比の調整が可能
- 周波数範囲:1Hz〜150kHz
- デューティ比調整範囲:0〜100%
- 入力電圧:3.3V〜30V
- PWM振幅:電源電圧に等しい
- 出力電流:約5〜30mA
XY-LPWMは、AliExpressであれば1枚200円台、AmazonでもAmazon配送の商品が2枚で750円前後と、非常にリーズナブルに購入できます。
この製品にはLCDディスプレイが搭載されており、現在出力しているパルスの周波数やデューティ比が一目で確認できるので、非常に使いやすいです。
また、4つの独立した操作ボタンにより、周波数とデューティ比の調整も直感的に行えます。
- 【DUTY+】【DUTY−】:デューティ比の増減
- 【FREO+】【FREO−】:周波数の増減

さらに、私はまだ試していませんが、XY-LPWMには基板上にGND、TXD、RXD端子があり、これらを使ってシリアル通信を行うことも可能です。
自作ケーブルを使ってRS-232C端子などに接続すれば、PCのターミナルソフトからデータのやり取りができるようです。
正直なところ、LCDディスプレイ付きのPWM信号発生器を自作しようとすれば、部品代だけでXY-LPWMの価格を超えてしまいます。その意味でも、このモジュールは非常にコストパフォーマンスが高いといえるでしょう。
また、趣味で電気工作を楽しむ中で、PWM信号(パルス)発生器が必要になる場面は少なくありません。XY-LPWMを数個、手元に常備しておくのは非常におすすめです。

私の記憶が正しければ、XY-LPWMの基板には「XY-LPWM」と印刷されているものと「HW-753 V3.0」と印刷されているものがある。

3chのPWM信号を発生できる「XY-LPWM3」
「XY-LPWM3」は、基本性能はXY-LPWMと同様ですが、出力が3ch仕様になっているのが特徴です。
つまり、XY-LPWM3ひとつで、XY-LPWMを3つ使ったのと同じ働きをしてくれます。
複数の異なるPWM信号が同時に必要な場合には、このXY-LPWM3が非常に便利です。
価格はさすがにXY-LPWMよりも高めで、1枚あたり500〜600円程度します。
AliExpressやAmazonで入手可能ですが、XY-LPWMと比べると取り扱っている出品者はやや少なめな印象です。

オシロスコープで見るXY-LPWMの出力波形
XY-LPWMを10V電源で動作させ、出力波形をオシロスコープで確認してみました。
使用したオシロスコープは、ET120MC2と言う、Amazonでも販売されていますが、日本ではほとんど無名の機種です。
2ch対応のハンディタイプで、周波数帯域40Mhzなので、個人が電子工作で使う分には十分な性能的があります。
なんというか、もっと性能の高い据え置き型の4chオシロスコープもあるんですが、ハンディタイプの方が出すのも使うのも楽なんで、3ch以上の同時測定が必要な場合でもないと、ほとんどこのオシロスコープで済ませてしまいます。
一番上の画像ですが、XY-LPWMで西日本の交流周波数の60hzを





PWM信号を手軽に! おすすめのXY-LPWMシリーズ
いかがでしたでしょうか?
PWM信号(パルス)を簡単・高精度に発生させたいというニーズに対して、「XY-LPWM」や「XY-LPWM3」は非常にコストパフォーマンスが高く、電気工作の実験や評価にぴったりのアイテムです。
LCD表示で設定値が一目で確認でき(これが大きい)、操作も直感的。ちょっとした回路テストから本格的な制御回路の実験まで、幅広く活躍してくれます。
PWM発生モジュールをお探しの方は、まずはこのXY-LPWMシリーズから試してみることをおすすめします!