それは携帯するには余りにも大き過ぎた。
大きく。分厚く。重く。そして、大雑把な塊だった。
それは、正にレンガだった。
ここの処、安いモバイルバッテリーを購入してはハズレを引き捲っていましたが、今度こそは、と懲りずに再度、新たにモバイルバッテリーを購入してみました。
今回買ったのは、Amazonで、「正真正銘この商品は3.7V50000mAhの容量があります」みたいな註釈を、出品者が製品名の部分に露骨に入れている、ネタかよ、と突っ込みたくなるモバイルバッテリーです。
見た目からして、これはもう既にポータブル電源なのでは? と首を傾げたくなるレベルで本体が兎に角デカいので、ちょっと色物商品っぽい雰囲気があります。
しかし、¥200円OFFクーポンを使用すると50000mAhの大容量にも拘らず、¥3299円で買えたお値打ち品です。
尚、クーポンはタイミングに因って、使えない時もある様です。

50000mAh大容量モバイルバッテリーの実測
届いたモバイルバッテリーを実際に手に取ってみると、本体がやたら馬鹿みたいにデカく、モバイルの定義とは何? と考えたくなる程です。
端的に表現すれば、殆どレンガみたいな有り様です。
正直、この堂々たる巨体の存在感からして、50000mAhくらいの容量は、疑う迄もなく実際にあるんじゃないかと思えます。
しかし、モバイルバッテリー購入後の最初の儀式として、念の為に容量の測定は確りと行います。
放電時の容量測定
何時も測定前は、最低でもこれくらいの容量はあって欲しいと不安になりますが、今回のモバイルバッテリーは多分大丈夫だろうと、その巨体が謎の安心感を齎してくれました。
製品は急速充電対応らしいので、容量も大きいので、電子負荷を使って5V3Aで放電して空になる迄を、例の如く容量テスターで測定し、実容量をはっきりさせます。

3Aで約10時間と言う気の長い放電を終えると、上の画像の様に、結果は5V32001mAhになりました。
3Aでずっと放電し続けていましたが、その間、モバイルバッテリーの本体が熱くなる、放電が不安定になる、等のの異常は特に生じませんでした。
さて、実測値を3.7Vに換算すると、約43000mAhになりますが、電圧変換時に発生するロスの分(20%程度の損失)を考慮すると約51000mAhとなります。
この数字から、恐らく筐体の中には10000mAhのリチウムポリマー電池が5枚、ちゃんと入っているのは間違い無いだろうとと思われます。
容量詐欺が蔓延するAmazon通販の中で、明記されている容量が確りある格安のモバイルバッテリーは少ないので、この製品は本当に素晴らしいです。
本来なら、容量50000mAhと明記して販売しているモバイルバッテリーなら、50000mAhあるのが当然なのですが、容量表記が完全に形骸化して全く信用出来無いのが中国製品なので。
因みにこちら、¥1円辺りの容量は15mAhとなり、非常にお値打ちです。


充電時の容量
放電テストで容量0になったので、今度は空の状態からどのくらい電力が入るのかも計測してみました。
このモバイルバッテリーは、自身への充電も急速で行えるらしく、使ったのは普通のUSBケーブルでしたが、充電の間は殆どずっと2.5Aくらいの電流が流れていましたので、急速充電非対応機種に比べると充電時間が或る程度は短縮になるみたいです。
……とは言っても、容量0から満充電になる迄に20時間近くは掛かりました。

入った電力は5V40444mAhです。実は充電中は充電器の出力電圧が4.6V程に低下していたので、正確には5Vで充電出来ていません。なので、テスターに表示されている187235mWhを3.7Vで割ってみる事にします。すると50604mAhになりました。
その数字は、電力ロス分を引いていないので、実質的に入った電力はもっと少なくなる筈なのですが……。
ロスが20%発生していると考えると、約40000mAhとなってちょっと計算が合わない気がします。後3500mAhくらいは充電出来そうに思えます。
この辺が謎ですが、放電時には50000mAhの容量が確認出来ているので、採用されている基板が実は充電時のロスが少ない等の理由か何かで、確りと電力が満充電されているのだ、と信じるしかありません。

外観や重量等
下の画像は外箱と本体です。外箱も中身も、モバイルバッテリーと言うより最早ポータブル電源に近いのは、決して気の所為では無いでしょう。

画僧の通り、本体には大きなディスプレイが付いているのですが、このディスプレイ、大きい割には上の方に小さく電力残量を表示する以外は、他に何も表示しない謎の仕様です。
あからさまに下の方が空き捲りで、レイアウトバランスが悪いです。
表示情報が大してない癖に、何故にこんなに大きいのディスプレイを採用したのかは全く不明です。
(因みに、貧乏フィルムは勝手に剥げる迄は剥がしません)
本体からは、直接TYPE-Cとライトニング、2本のケーブルがニョキッと生えています。
最近のモバイルバッテリーでこのタイプのケーブル付きをよく見掛けますが、個人的には、断線が怖いので本体から直接ケーブルが生えているのは嫌いです。
電源ボタンを長押しするとライトが点灯します。めちゃくちゃ高輝度ではありませんが、懐中電灯やランプの代わりとして、非常時の明かりになります。

上の画像は重量測定です。本体の重さは979gで、殆ど1kgに近いです。
天辺に存在しているUSB端子の内、赤い色の部分は急速充電のPDに対応しており、5V3A、9V2A、12V1.5Aの3種類の電力が取れます。
残念ながら、60W100Wの出力には非対応です。
このモバイルバッテリー自体がかなりの大容量なので、DC-DC昇圧モジュールを利用すれば、電圧の下がってセルが回らなくなった車のバッテリーを、緊急時に充電する事も可能だと思われます。
但し、充電が可能なだけで、時間が掛かるし、これを繋いで車のセルを直接回す事は不可能です。
一応、間に容量の大きいスーパーキャパシタ(下↓)を挟めば、瞬間的に大電流が流せるので、セルを回すブースターとしても利用出来る可能性は高いです。


上の画像、10000mAhのモバイルバッテリーを4個積み重ねた物と厚みをを比べてみました。結果としては、50000mAhの厚みの方が高かったです。
大容量故の大きさが、本当に半端無いです。

余談ですが、Amazonでは、別の馬鹿でかい50000mAhのモバイルバッテリー(下)も販売されているのですが、個人的にはこちらも結構気になっています。
