ダイソーのパイプ用洗浄剤(落ち落ちV)で次亜塩素酸水生成実験 有効成分と濃度

「広告」

生活

100均で少量・手軽に入手可能なジクロロイソシアヌル酸ナトリウム

 ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムがあれば、消毒や殺菌、ウイルス除去に有効な次亜塩素酸水を、簡単に自作できます。
 そして、100円ショップ「ダイソー」で販売されているパイプ用洗浄剤「落ち落ちV」の主成分がこのジクロロイソシアヌル酸ナトリウムなので、これを利用すれば、100均製品だけで次亜塩素酸水の生成が可能です。

 近所のダイソーで、110円(税込)で少量とはいえジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを入手できるのはありがたい話。そう考えると、「落ち落ちV」は意外に優秀な製品と言えるでしょう。

 ただし「落ち落ちV」は、発泡剤などの添加物を含むタブレットタイプの製品なので、内容量すべてが有効成分というわけではありません。
 つまり、確かに次亜塩素酸水は作れるものの、有効成分の量が不明なため、希望の濃度で作るのは難易度が高くなります(もともとそういう用途は想定されていない製品ですし)。

 0~1000 ppm程度の広い範囲で残留塩素濃度を測れるテスト紙や測定器があれば、たとえば1 Lの水に1錠を溶かして濃度を測るだけで、有効成分量の概算も可能です。
 ……が、残念ながらそんな高性能なガジェットは、筆者の手元にはありません。

 今回は、手持ちの「4 ppmまで測れるデジタル式の残留塩素測定器」と「10 ppmまで測定可能な残留塩素測定用の試験紙」を工夫して活用しながら、希望の濃度の次亜塩素酸水を作るには、水1 Lに対して何グラムのパイプ用洗浄剤を加えればいいのか? を探ってみたいと思います。

この記事のダイジェスト


【100均の洗浄剤でも次亜塩素酸水は作れるが……】

  • ダイソーで販売されている「落ち落ちV(パイプ用洗浄剤)」の主成分はジクロロイソシアヌル酸ナトリウムで、次亜塩素酸水の生成に使える。
  • ただしこれは発泡剤などを含んだ混合タブレットのため、有効成分の割合が不明。

【実験内容と結果】

  • タブレットを粉末にし、精密秤で0.1 gを量って水2 Lに溶解
  • 手持ちの機器(デジタル式の残留塩素測定器と残留塩素測定用の試験紙)で塩素濃度を測定
  • デジタル測定器の上限を超えたため、2倍に希釈したところ、約2.35 ppm を記録。
  • 結果から、水2 Lに対して0.1 gの「落ち落ちV」粉末で約4 ppmの次亜塩素酸水が生成されたと推定。

【有効成分の推定とコスパ】

  • 通常のジクロロイソシアヌル酸ナトリウム粉末なら、0.1 gで約50 ppmになる。
  • 実験結果から、落ち落ちVの有効成分は製品重量の約16%程度と推定。
  • 普段使いには、100均よりもAmazonなどで売られている純度の高い粉末を買った方がコスパが良い

【結論】

  • ダイソー製品でも確かに次亜塩素酸水は生成できるが、有効成分が少なく、濃度調整も難しい
  • あくまで一時的・実験的な利用には向いているが、継続的・実用的な使用を考えるなら純粋な粉末製品の方が圧倒的におすすめ


落ち落ちVで次亜塩素酸水を生成してみる

落ち落ちVを削る

 内容量が最も多くコスパの良い「48 g入りの大粒タイプ」を購入。
 ただし、このままでは実験に使いにくいので、タブレットを粉に加工します。

 タブレット自体はそこまで硬くないため、ヤスリやおろし金などで擦れば簡単に粉になります。カッターで削ってもOKです。
 コーヒーミルなどで粉砕するのも一つの手ですが、かなり粉末が舞うので注意が必要です。


粉末0.1 gを水2 Lに溶かす

 粉末にした「落ち落ちV」を、精密秤でできるだけ正確に0.1 gになるよう計量します。
 ……が、これがなかなか難しく、実際には 0.107 g になってしまいました。まあこの程度なら誤差の範囲と考えていいでしょう。

 ちなみに、この秤の仕様上、±0.003 g程度の測定誤差がありますので、実際の粉末量は 0.104〜0.110 g の間だと思ってください。

 この粉末を、水道水2 Lに溶かします。
 なお、日本の水道水には通常、0.4 ppm程度の塩素が含まれているとされています。
 ただ、筆者宅では、建物の貯水タンクを経由しているせいか、汲みたての水を測定すると 約0.2 ppm 程度です。
 次亜塩素酸水の塩素濃度にはこの元の水道水の塩素濃度も上乗せされますが、実験上そこまで大きな影響はないと考えます。


塩素濃度を測定してみる

 水2 Lに粉末が完全に溶けたら、次亜塩素酸水の塩素濃度を測定していきます。

 まずは、0.01〜4 ppmまで測定可能なデジタル式の残留塩素測定器で計測。
 たまに「OVER LIMIT」と表示されるものの、平均すると 約3.6 ppm 程度で推移。
 おそらく、実際の塩素濃度は 4 ppm前後 だと思われます。

 安価で手に入る塩素濃度計には当たりハズレがあるようで、以前購入したアナログ式ものは明らかに数値が適当でした。
 今回使用しているのは、比較的精度が高く、手軽で便利です。もし購入するなら、やはりアナログ式ではなくデジタル式をおすすめします。

 続いて、残留塩素測定用の試験紙でも塩素濃度を測定してみます。
 こちらは変色具合を色見本と照らし合わせる方式で、最大10 ppmまで測定可能。
 ただ正直、色の判断は慣れていないと難しく、微妙な差がわかりにくいです。

 今回は、色合い的に 3〜5 ppmの間 に見えました。おそらく 約4 ppm で良いと思います。


さらに詳しく測定してみる

 次に、先ほど作った次亜塩素酸水は、手持ちのデジタル式残留塩素測定器では濃度が高すぎて測定範囲を超えてしまったため、2倍に希釈して再度測定を行いました。

 今度は正常に測定でき、約2.35 ppmで安定した数値を記録しました。

 この結果から、「落ち落ちV」を水2 Lに対して0.1 g 溶かすと、約4 ppm の次亜塩素酸水が生成されると推定できます。


意外と安くなかったダイソーのジクロロイソシアヌル酸ナトリウム

 市販の純粋なジクロロイソシアヌル酸ナトリウム粉末を使った場合、1 Lの水に0.1 gを溶かすと、おおよそ 50 ppm の次亜塩素酸水ができます。

 一方、今回の実験結果からすると、「落ち落ちV」を1 Lに0.1 g溶かすと 約8 ppm 程度になると見られます。

 この比率から逆算すると、落ち落ちVで50 ppmの次亜塩素酸水を作るには、水1 Lに対して 約0.625 g の粉末が必要となる計算です。

 つまり、落ち落ちVに含まれるジクロロイソシアヌル酸ナトリウムは 製品重量の約16% 程度ということになります。

 日常的に次亜塩素酸水を使いたいなら、ダイソーの110円商品ではコストパフォーマンスが悪く、Amazonなどで販売されている150 g・約1000円の純粋な粉末製品を購入したほうが断然お得です。


手軽で実用的な次亜塩素酸水、正しい知識で安全に活用を

 今回紹介したように、市販のジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(商品名「落ち落ちV」など)を使えば、自宅でも比較的簡単に次亜塩素酸水を作ることができます。濃度の管理には少し注意が必要ですが、使い方と用途を正しく理解すれば、非常にコストパフォーマンスの高い消毒・除菌アイテムになります。

 特にペットや小さなお子さんのいる家庭では、市販のアルコールや塩素系漂白剤よりも扱いやすい面もあり、日常の除菌対策として有用です。濃度計やpH試験紙などの測定器をうまく活用し、安全で効果的な次亜塩素酸水の自作と活用に役立ててください。

 なお、作り置きの次亜塩素酸水は時間とともに分解されて効果が薄れていくため、必要な分だけを作って早めに使い切ることもお忘れなく。


タイトルとURLをコピーしました