リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリー購入 12.8V10Ahで4400円

「広告」

物欲

 最近、気になっていたリン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーが、Amazonにて12.8V10Ahの容量の商品が¥4400円で販売されていたので、どんなものか試しに購入してみました。

 10Ahは10000mAhなので、USB出力付きのモバイルバッテリーと同程度の容量と感じるかもしれません。しかし、このバッテリーは12Vで動作するため、一般的な3.7Vのモバイルバッテリーと比較すると、約34000mAhに相当します。
 34000mAhとなると、結構な大容量と思えますね。

 ただ容量の割にサイズ的には、かなり大きいです。
 家にあるレンガめいた巨体の50000mAhのモバイルバッテリーと比べても、同等くらいの大きさがあります。
 しかし、大きさの部分にだけ目を瞑れば、充電して再利用可能な回数が、モバイルバッテリーの約500回に対し、こちらは約4000回なので、寿命の観点で比較すれば、こちらの方がかなりお得です。

 このバッテリーは長寿命で大容量のため、ポータブル電源として使うには非常に便利です。

 ディフォルトでBMS(バッテリーマネージメントシステム)保護が備わっているので、電圧を監視して過充電過放電になるまでに充電や放電を自動停止してくれるので取り扱いも楽です。

リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)電池とは

 リン酸鉄リチウムイオン電池に詳しくない方の為に、この電池の何処がどの様に素晴らしいのかを少し説明しようと思います。

 リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4、以下LFP)電池は、リチウムイオン電池の一種で、正極(プラス極)にリン酸鉄リチウムを使用したバッテリーです。
 特に安全性と長寿命に優れており、近年、電動車両(EV)、蓄電システム、ソーラー発電の蓄電池などに広く利用されています。
 自己放電が少なく、長期間放置しても深放電による電池の劣化はほとんど起こりません。


1. リン酸鉄リチウムイオン電池の特徴

① 高い安全性

 LFP電池は、熱暴走(異常発熱による発火・爆発)が起こりにくいのが大きな特徴です。

  • 熱安定性が高い → 過充電や過放電時のリスクが低い
  • 発火・爆発の危険性が少ない → コバルト系のリチウムイオン電池(LiCoO₂)より安全

② 長寿命

 充放電サイクル(バッテリーの寿命)が非常に長いのも大きな利点です。

  • 一般的なリチウムイオン電池(LiCoO₂)は 500~1,000回 の充放電
  • LFP電池は 2,000~5,000回以上 の充放電が可能
  • 10年以上の使用も可能 で、EVや蓄電システムに適している

③ 高温・低温耐性

  • 高温(60℃以上)でも性能が劣化しにくい
  • 低温環境(0℃以下)では性能が低下するものの、適切な管理をすれば使用可能

④ 環境負荷が低い

  • コバルトやニッケルを使用しないため、環境への影響が少ない
  • リサイクルや廃棄時の負担が低い

⑤ エネルギー密度はやや低め

  • 一般的なリチウムイオン電池(LiCoO₂)に比べ、重量あたりのエネルギー密度が低い
  • そのため、航空機やスマートフォンのバッテリーにはあまり使われない

2. リン酸鉄リチウムイオン電池の主な用途

  1. 電気自動車(EV)、電動バイク
    • 長寿命と安全性の高さが求められるため、EVメーカーで採用が増加
    • テスラ、中国BYDなどがLFP電池を採用
  2. 家庭用・産業用蓄電池
    • ソーラー発電の蓄電池として利用される
    • 停電時のバックアップ電源としても活用可能
  3. キャンピングカー・マリン(船舶)用バッテリー
    • 軽量で長寿命、メンテナンスが少なく済むため人気
  4. UPS(無停電電源装置)
    • データセンターや病院など、安定した電力供給が必要な場所に適用

3. LFP電池と他のリチウムイオン電池の比較

特性LFP(LiFePO4)NMC(LiNiMnCoO2)LCO(LiCoO2)
安全性非常に高い中程度低い(発火のリスクあり)
寿命2,000~5,000回以上1,000~2,000回500~1,000回
エネルギー密度低め高い非常に高い
価格比較的安い高価高価
主な用途EV、蓄電池、UPSEV、スマホ、ノートPCスマホ、ノートPC

4. まとめ

安全性が高く、長寿命でコストパフォーマンスに優れる
EVや蓄電池、キャンピングカー用途に最適
エネルギー密度が低いため、小型軽量デバイスには不向き

 現在、電動車両や再生可能エネルギー向けのバッテリーとして、LFP電池の採用が増えています。
 特に、中国のEVメーカーBYDやテスラが採用を進めており、今後さらに普及が進むと考えられます。

1. NMC(LiNiMnCoO₂)電池とは?

 ご存じない方の為に、NMC(LiNiMnCoO₂)電池について説明します。

特徴

 NMC(ニッケル・マンガン・コバルト酸リチウム)電池は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)を含む正極材料を使用したリチウムイオン電池です。
 エネルギー密度、寿命、安全性のバランスが良く、電気自動車(EV)やポータブル電子機器に広く採用されています。

メリット

エネルギー密度が高い → LFP電池(リン酸鉄リチウム)よりも小型・軽量化が可能
寿命が長め → 1,000~2,000回の充放電が可能
高出力 → EVや電動工具などのパワフルな用途に適している

デメリット

安全性はLFPより低い → 高温時や過充電時に熱暴走のリスクあり
価格が高め → コバルトを含むため、原材料コストが変動しやすい
寿命はLFPほど長くない → 充放電回数はLFPよりも短い

主な用途

  • 電気自動車(EV) → 高エネルギー密度と高出力が求められる
  • 電動工具(ドリル・芝刈り機など) → 瞬間的な高出力が必要
  • ノートパソコン・スマートフォン → LCOよりも安全性が高く、バランスが良い

2. LCO(LiCoO₂)電池とは?

 ご存じない方の為に、 LCO(LiCoO₂)電池について説明します。

特徴

 LCO(コバルト酸リチウム)電池は、コバルト(Co)を主成分とする正極材料を使用したリチウムイオン電池です。
 リチウムイオン電池の中でも最も早く実用化され、スマートフォンやノートPCなどの小型電子機器に広く使われてきました。

メリット

エネルギー密度が非常に高い → 軽量で小型化が可能
出力が安定している → 一定した電力供給が求められるデバイスに適する
初期の性能が優れている → 高い電圧とエネルギー密度を発揮

デメリット

寿命が短い → 充放電回数は500~1,000回程度
熱暴走しやすい → 高温や過充電時に発火・爆発のリスクがある
コバルトの価格が高騰しやすい → 資源の供給が不安定

主な用途

  • スマートフォン、タブレット、ノートPC → 小型・軽量でエネルギー密度が重要
  • デジタルカメラ、携帯ゲーム機 → 長時間の安定動作が求められる
  • 医療機器 → 小型で信頼性の高いバッテリーが必要

実物のレビュー

 商品は段ボール箱に入って届きます。(下画像、正面、裏面)

 (下画像)開封すると、バッテリー端子に接続するケーブルや説明書が中に入っていました。

 家にある30000mAhと50000mAhのモバイルバッテリーと並べてみました。
 50000mAhとは良い勝負ですが、容量が近い30000mAhのモバイルバッテリーと比べるとかなり大きいです。
(下画像、左から容量が3.7Vで50000mAh、30000mAh、換算で約34000mAh)

 (下画像)重量測定です。大きさの割には約1Kgと軽いです。

 近い容量である12V9Ahの鉛電池(シールドバッテリー)と比べると、大きさ的にはそう大差ないですが、重量は鉛電池の方が遥かに重いです。
 鉛電池は約2.7Kgです。

 実際に使用しての使い勝手はいずれ別の記事で書く予定です。

 最後にLFP繋がりのネタを一つ。
 実は数は少ないですが、変り種なリン酸リチウムイオン電池を使った長寿命が売りのモバイルバッテリーも発売されていたりします。

タイトルとURLをコピーしました