「デッドストリーム(原題)/Deadstream」アメリカ2022年 お化け屋敷配信POVホラー 感想、あらすじ、ネタバレ

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映画

面白かったよ「デッドストリーム(原題)/Deadstream」

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 2023年に映画「ダッシュカム/Dashcam」が日本でも公開された時、その紹介記事関連(何だったか覚えてない)で映画「デッドストリーム(原題)/Deadstream」(2022年)の存在を知って、面白そうなので円盤は発売されてないのかと調べてみると、海外AmazonでDVDの販売取扱いがあるのを発見し、これ幸いと購入しました。
 当然、映像ソフトは英語音声英語字幕になりますが、まあ頑張って何とか鑑賞しました。
 日本未公開作品の場合、見たければどうしても、海外版DVDでの鑑賞がデフォルトになります。そして、日本未公開作品の中に、面白そうなホラー映画が沢山あるので、海外版の円盤購入は避けられません。
 因みに「デッドストリーム(原題)/Deadstream」の海外版DVDは、2000円くらいで入手可能です。

 さて「デッドストリーム(原題)/Deadstream」ですが、この作品はB級感の溢れる超常現象ホラー・コメディ映画でファウンドフッテージ形式採用のPOVです。
 ジョセフ・ウィンターとヴァネッサ・ウィンター(二人は夫妻)が監督し、ジョセフ・ウィンターが主演を務めました。今回はあらすじとネタバレに感想を絡めて作品を説明したいと思います。
 ネタバレから先は、未見の方はご注意下さい。出来れば、先に一度鑑賞してから読む様にして頂ければと思います。

記事を書くのに参考にしました

https://en.wikipedia.org/wiki/Deadstream
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導入用のあらすじ

 主人公ショーン・ルディック(ジョセフ・ウィンター)は、かつて人気を誇ったが、今は低迷中の動画配信者です。
 彼は嘗ての人気を再起するために、24時間生配信で幽霊が出ると噂される廃墟の屋敷に一人で入って一晩過ごす挑戦を行います。
 この幽霊屋敷は「デス・マナー」と呼ばれ、その中で数々の怪奇現象が起こるとされています。

ネタバレ

 Deadstream(Wikipedia)のプロットを参考に、英語字幕のDVDで作品を鑑賞しておりますので、間違ったストーリー解釈をしている可能性もあります。全てを鵜呑みにしない様に、ご注意下さい。

前半

 ショーンは、自分の恐怖心を克服する為に体当たりのチャレンジを披露する動画チャンネル「ショーンの怒り!」で知られる、悪名高い動画配信者だ。この物語が始まる前、ショーンの動画の 1 つが深刻な論争を引き起こし、スポンサーとファンの多くを失った。
 人気を取り戻し、新しい唯一のスポンサーを維持しようと必死のショーンは、母親の用意してくれた護身用の超常現象対応セット(聖水、十字架、塩、ニンニク、銀の短剣)を持って、数人が亡くなったとされる幽霊屋敷、「デス・マナー」の中で一夜を過ごす様子をライブ配信する事を計画した。

 スポンサーと視聴者への契約の一環として、ショーンが家から逃げ出したり、何か異常が生じた場合に確り確認しなかったり、家を十分に探検しなかったりした場合は、スポンサーと収益を失う事になると、彼は予告配信の冒頭ではっきりと誓言する。
 配信中、ショーンは定期的にチャット画面を開き、視聴者のコメントに反応するとも約束する。
 10月20日の午後11時、ライブ配信が始まると、ショーンは自分が簡単に逃げ出せない様にと、車のエンジンからスパークプラグを抜いて森の中に投げ捨てる。
 カメラをセットしながら、彼は怪奇スポットの廃屋「デス・マナー」の血塗られた歴史を語った。
 このデス・マナーには、裕福なモルモン教徒の信者にして詩人であったが、屋敷を相続後に詩人としては失敗したミルドレッド・プラットの幽霊が出る。
 彼女は出版業界の人間であった愛人の突然の死後、後を追って自殺した。その後、この家に住んだ人々は次々と謎の死を遂げ、最終的にこの場所は放棄された。
 ショーンは、長年に亘る様々な人々の死は、ミルドレッドが生前持てなかった家族を死後に手に入れ様としていた為ではないか、と推測する。

 デスマナーへの入口は、木材と釘で封鎖されていた。ショーンはバールで封鎖を抉じ開け、家の中に侵入する。
 自分が覚悟を決める為、用意していた錠前で入口のドアを内側からロックすると、そのキーを家の床下に続いている通気口へと、格子蓋の隙間越しに投げ込んだ。
 ショーンは家内を巡り、各部屋を紹介する。真面目な顔で「人生の困難の90%はダクトテープで解決する」とダクトテープ信仰を言葉にし、監視用にベットルーム、育児部屋、バスルーム、2階の廊下の階段の前にカメラを設置する。
 過去に超常現象が生じた記録が無い部屋に入ったショーンは、そこがセーフルームであると宣言し、拠点として使用する為に持ち込んた機材をセットする。
 だが、その部屋にクローゼットがある事に気付き、「なんてこった、幽霊はクローゼットが大好きです」と、クローゼットを危険視して中を調べます。
 ショーンはクローゼットの中、壁にぶら下がっている奇妙なシンボルの描かれた板を発見し、驚いてそれを取り外し、「これは良くないものだ、これの所為で不幸が起きるかも知れない」と恐怖感を顕にし、板を床に捨てました。

 その後、ショーンは育児部屋のベットの下に落ちていた人形を使って降霊術で霊を刺激しようと試みる。するとドンッ、と大きな音が聞こえたので、彼は悲鳴を上げて育児部屋から逃げ出し、セーフルームと決めた部屋に戻る。
 しかし視聴者から様子を見に行けとリクエストされ、渋々と廊下に戻るが、そこで再び大きな音がして、ドアが勝手に開いたのを見たショーンは恐怖でパニックを起こし、セーフルームに慌てて舞い戻ると、そのまま中に閉じ籠もった。
 そして八つ当たり気味に、こんな目に遭うのはクローゼットの中で見付けた気味の悪い板が悪いと、彼は足で踏んで破壊してしまいます。
 突然ショーン眼前で、セーフルームのドアが勝手に開きました。ショーンは、恐れ慄き半狂乱状態に陥ります。

 しかし一連の恐怖体験の原因は霊では無く、彼に会う為にデス・マナーまでやって来た熱狂的なファン、クリッシーの仕業だった。
 彼女はこの企画に飛び入りで参加すると言います。ショーンは彼女を追い返そうとしますが、視聴者投票で彼女の参加が決定しました。
 ショーンはクリッシーにスポットライトとカメラを分け与え、視聴者を喜ばせる為に、彼女と一緒に更に家内を調べます。彼らは寝室のクローゼット内で下に降りる階段を見付けます。
 階段を降ると地下室があり、そこにあった箱の中から、鍵の掛かった小箱とミルドレッドの書いた詩集を発見した。ショーンは詩の一編を読むと「韻さえ踏んでいない」平凡なものだとしてそれを却下しました。地下室で死んだ動物のミイラを見付けて、驚いて上に戻ります。
 2人が交霊用の文字盤でミルドレッドの霊と話そうとすると、クリッシーはショーンに、幽霊を鎮める為のラテン語のフレーズを知っているので、私が詠唱するのに続いて繰り返す様に説得する。ショーンは訝りながらもそれに従った。

 その後、バスルームから大きな音がしました。調べに行こうとしたら、クリッシーの姿が見当たりません。隠れた彼女はショーンを脅かします。
 クリッシーに何度も脅かされたショーンは突然、屋敷のドアに鍵を掛けた事を思い出す。つまり、クリッシーは先に来て、ここでショーンを待っていたに違いない。ショーンは彼女をストーカーだと非難し、出て行く様に言う。
 すると、クリッシーが突然ショーンに襲い掛かり、彼の首筋に本気で噛み付いた。自己防衛の為、ショーンは咄嗟に掴んだ壁の木材の破片で彼女の首を刺した。
 彼女を殺したと思い込んだショーンは、首の傷を止血するとデス・マナーから出て警察に自首しようとするが、再確認すると彼女の遺体は消えていた。
 そこに事情通からメールが届く。それは小学生くらいの男の子で、ショーンのファンだった。先ほどショーンが壊したシンボルの描かれた板が、実は邪悪を払う護符で、ショーンは自らミルドレッドを解き放ってしまったというのだ。
 限界を感じたショーンは家から脱出し様とするが、肉眼では見えないが、カメラの映像を見ると、階段の前の道を、ミルドレッドの首吊り死体が塞いでいた。ショーンはモニターを見ながら覚悟を決めて、そこを通り抜け様とするが、首吊り死体の前まで来ると、突然ゾンビ化したクリッシーが背中にへばり付き、鼻の穴に指を突っ込んだ。
 悲鳴を上げたショーンはクリッシーを振り払い、逃げる様に階段で1階に降りると、入口の鍵を投げ捨てた通気口の格子の中を探すが、見付かったのは入口の物とは違う鍵だった。
 視聴者からのメッセージで、その鍵が地下室で見付けた小箱を開く鍵である事に気付くショーン。小箱を開けてみると中には、クリッシーが実はミルドレッド・プラットである事を示す写真と、切断されミイラ化した指だった。
 入口の鍵がないので、ショーンは鍵を破壊して脱出しようとするが、鍵は壊れないしドアは開かない。
 そこで再び事情通からのビデオメールが届く。今度の送り主は大学でラテン語を教えている女性教授で、ショーンが騙されて詠唱したラテン語のフレーズは、以前の居住者をデス・マナーに捕らえるのにミルドレッドが使用した、自由意志を放棄し己の魂をミルドレッドに捧げさせる為の契約の言葉だった。
 気付けばショーンは何時の間にかゾンビ・クリッシーに接近されており、股間を噛まれた。
 ショーンは死物狂いでゾンビ・クリッシーを振り払い、ニ階に逃げると唯一開いていた窓から飛び降りた。

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後半

 落下時に右足を負傷したショーンは、ダクトテープで傷の応急処置をする。ショーンは森の中に入ると、投げ捨てた点火プラグを探して、無事に見付ける。そこで、視聴者の通報で駆け付けたと思われる警官と遭遇し、これで助かったと喜んだ。
 だが、その警官はデス・マナーに捕らえられた悪霊の一体だった。ショーンは悪霊を殴り、車の中に逃げ込んだ。カメラで外を見ると、外では悪霊が地面で蠢いている。ショーンは車外に出る勇気が無くなった。
 そこに三度、ビデオメールが届く。相手はヘティというお婆ちゃんだった。彼女は15歳の時、プラット家に乳母として住んでいたという。ヘティは、悪霊ミルドレッドから身を守る為に、2階の一室のクローゼットの中に護符を設置し、安全地帯を作ったという。しかし、それを教えられた時、ショーンは既に自らの手で護符を破壊していた。
 どうすればそれを復元出来るのか、ショーンが尋ねるが、それには肉の犠牲が必要と教えられる。その時、悪霊が車を襲撃した。ショーンは車内にあったポテトガン(*)を使って悪霊を撃退する。
 だが、巻き添えを食ってiPad が破損してしまい、ショーンは視聴者から切り離されてしまう。
 再び車内に避難したショーンは、最早助かる術は無いと諦観し、遺言を書き残そうとメモ代わりにミルドレッドの詩集を開いた。そこで彼は、挟んであった1枚の紙から、ミルドレッドが悪魔の力を得る為に使用したラテン語の呪文と「邪悪な権力の手」のシンボルを発見した。
 幽霊の声によって繰り返されるフレーズは、実際に詩の1つにあった。断片を繋ぎ合わせて、彼は、ミルドレッドが望んでいたのは家族ではなく、彼女の詩の聴衆であった事に気付く。ショーンは、ミルドレッドが行った儀式を自分が遣り返す事で魂を取り返し、彼女を地獄に送り返す儀式が完了する事を思い付く。

(*)ポテトガン:DIYで塩ビパイプ等を繋ぎ合わせ作った内部の可燃性ガスで玉を飛ばす大砲。打ち出す玉には口径に併せて削り易いジャガイモが最適な事から、通称ポテトガンと呼ばれる。

 ラテン語の呪文を翻訳するには視聴者の知識を借りる必要がある。
 ショーンは庭に落ちていた丸太を拾い、ドアをぶち破り、ミルドレッドに挑む為にデス・マナーの中へと再び舞い戻った。
 室内にあったモップの柄に護身用の超常現象対応セットの銀の短剣を括り付け槍を作り、捨ててあった使用済の注射器に聖水を詰め、壁に掛かっていたナタを片手に握り、ショーンは武装を固めた。
 周囲に警戒しつつセーフルームまで辿り着くと、予備の iPad を取り出し、視聴者が呪文を翻訳したコメントを読む。床に「邪悪な権力の手」のシンボルをチョークで描いて行く。
 儀式の準備中に、ショーンは自分のこれまでの無神経な行動、人種差別、不十分な謝罪をぎこちなく謝罪し、改善する事を誓う。

 デス・マナーの悪霊達とショーンの戦いが始まる。保育部屋で遭遇したシャムの双子の様な子供の悪霊を見た瞬間に逃げ出したショーンだが、バスルームの汚水の中に潜む水死体の様な悪霊には、聖水入りの注射器を顔面に突き刺して中身を注入する事で頭部の破壊に成功した。
 ミルドレッドとの激しい戦いが始まり、ショーンはミルドレッドの頭部をナタでかち割る事で一時優勢に立ち、動かなくなった彼女を「邪悪な権力の手」のシンボルの上に横たえ呪文を唱えるが、残念ながら効果は無かった。
 ミルドレッドの反撃が始まる、何故か彼女はショーンの鼻の穴に指を突っ込む攻撃を好む。
 しかしショーンは土壇場で、床に転がった彼女の切断されミイラ化した指を見て、儀式には「肉の犠牲」が必要である事を思い出す。彼は覚悟を決めて自分の指を1本切断し、それを媒体にして儀式は完成する。
 ミルドレッドは目に見えない力によって血塗れで地下室に引き摺り込まれる。ショーンは、指を切り落とした後の断面をダクトテープで止血する。
 今やショーンの配信の視聴者は膨大な数となっていた。その夜を生き延びるのを助けてくれた視聴者に向けてショーンは多大な感謝の言葉を述べ、祝福する。
 しかし、ショーンが勝利を確信した時、ミルドレッド以外の未だ滅んでいない悪霊達が彼を囲む様に家の彼方此方から同時に出現し、彼のライブ配信は中断された。

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感想とまとめ

「デッドストリーム(原題)/Deadstream」は2022年3月11日にサウス・バイ・サウスウエストで世界初公開され、2022年10月6日に米国で劇場公開されました。
 この映画は系統としては「グレイヴ・エンカウンターズ」や「コンジアム」に近い、怪奇スポットへ突入して本物の超自然現象に遭遇するタイプの作品なのですが、ホラーとコメディのバランスが絶妙で、恐怖と笑いを同時に楽しむ事が出来て、非常に面白かったです。
 インターネット文化やライブ配信の持つ危険性とエンターテイメント性を巧みに描き出しており、視聴者参加の耳目の中、ショーンが超常現象に遭遇していく様が上手く表現されていると思いました。
 個人的に、デス・マナーに侵入してからのショーンの衝動的で後の事を考えない軽率な行動が、視聴者からのビデオメールで次々にダメ出しを食らっていく様が、かなり笑えました。
 その気になれば、家から普通に外に出られるのも、この系統の映画としては珍しいです。出られたからといって、無事に返してはくれないのでしょうが。
「グレイヴ・エンカウンターズ2」の、廃病院から出られたと思ってホテルに戻ってエレベータの扉が開いたらまた廃病院だった、みたいな一度希望を見せてから再度絶望に落とす嫌な感じのループとは、またひと味違う脱出不可能系とでもいうのでしょうか。
 登場する悪霊も、完全に倒せないので時間経過で何度も復活するにしろ、霊体なのに物理攻撃が通用して、破壊すれば一時的に行動不能に追い込めるのが興味深いです。ショットガンとチェーンソーで悪霊と渡り合える「死霊のはらわた」と通じる物があります。
 ラストシーンでショーンは一見絶体絶命状態ではありましたが、死亡はしてはいません。「死霊のしたたり」のハーバート・ウェストなら、充分生還可能なレベルです。もしかしたら、99%無いでしょうが、1%くらいの確率で続編が作られるかも知れません。
 兎に角、面白い映画だと思います。自分が見たのは2023年でしたが。2024年の夏には日本で劇場公開もされるみたいですので、何れプロの作った日本語字幕で鑑賞出来る様になるのは嬉しい限りです。
 まあ私はどうせ金を出すのなら、家でゆっくり何度も繰り返して鑑賞可能な円盤を買うので、態々映画館には見に行きませんが。

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