この記事は、映画を録画して収集するコレクターである筆者が、“なぜ冬にエンコード作業をまとめて行うのか” を解説するものです。
その理由は、動画エンコードでパソコンを長時間動かすと、CPU の排熱が部屋の空気をほんのり暖め、ちょっとした暖房代わりになってくれる から。
ローカルディスクの容量整理と同時に “排熱を無駄にしないサーマル・リサイクル”。
そんなお得感のある運用を紹介したくて書きました。
夏に撮りためた動画を冬にエンコードする、その理由
録画ファイルがSSDを圧迫していく
気になる作品はとりあえず全部録画して手元に置いておきたい——それが私の方針です。
私は、いま観る時間がなくても「お、これ気になるな」と思った映画があると、配信でも円盤でも、とりあえずパソコンで再生してそのまま録画し、まずは SSD に一時保存しています。あとで整理して HDD に移し、“自分だけのコレクション・ライブラリー”を無限に拡大していく感じです。
そう、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの『バベルの図書館(La biblioteca de Babel)』のように、尽きることのない棚が延々と増殖していく、あのイメージです。
もちろん、配信動画を録画するといっても、DRM(デジタル著作権管理)を回避してコピーするわけではありません。(DRM回避は違法です。)
テレビ番組をレコーダーで録画するのと同じで、パソコンの VRAM に映っている映像をそのままキャプチャしているだけなので、違法性はありません。
その性質上、元データより画質は多少落ちますが、「観られれば十分」という用途なら問題ないレベルです。むしろ、MPEG2 で圧縮された DVD 画質より綺麗に感じることもあります。
また、DVD などの映像ソフトも、コピーガードを外してデジタル複製するのは違法ですが、再生中の映像を録画するのはあくまでも私的複製なので、とくに問題はありません。
私は映画(とくにホラー)が好きなのですが、“観るのが好き”と同じくらい、“集めるのが好き”なんです。だから、配信で観られるものは録画し、配信にない作品は DVD を借りて録画し、ローカルディスクの中に自分だけのアーカイブをどんどん増やしています。
海外動画サイトは安全性の問題が多い
見たい映画の配信を探すと、英語音声・英語字幕でもいいという条件付きですが、海外の動画配信サイトで配信されている事が多いです。
しかし、海外の得体が知れない動画サイトにアップロードされた動画は、違法アップロードである可能性もあり、それをダウンロードするのは違法となる危険性があります。
違法か合法か判断つかないグレーな動画でも、単に観るだけならなにも問題はありません。
もっとも、怪しい動画サイトは危険なので、利用しないに越したことはないです。観るときは自己責任で観て下さい。
その点、Amazon の配信は画質も安定していて安全性の心配がないので、まず最初に検索するのはほぼ Amazon 一択です。
私は海外サイトに忌避感はないので、国内 Amazon で見つからない場合は、米 Amazon のプライム会員に1ヶ月だけ加入して海外向けの配信サービスを利用することもあります。(地域制限〈ジオブロック〉があるため、VPN接続できる環境が必須。)
しかし、バックボーンがはっきりしない配信サイトにお目当ての動画が無料で公開されていることもあり、そういうのを発見すると、そこで視聴してもいいのかどうか、どうしても躊躇します。
もちろん、録画はダウンロードではないので、仮にライセンス不明な状態で公開されている動画であっても、録画は一応はセーフです。
しかし、海外の得体の知れない動画サイトは、無料で見られる反面、マルウェア感染・偽拡張機能・通知スパム・勝手にマイニングに利用される・個人情報抜き取りなど、踏むだけでトラブルになるケースが多いです。
一般論を述べれば、画質も保証されませんし、法的にもグレーなので、そもそも近づかないのが一番安全です。
結局、英語音声・英語字幕という高いハードルなしで、何の苦労もなく日本語字幕つきで安心して観たいとなると、配信にない作品は“円盤メディア”を借りるのがいちばん確実です。
とくに国内 Amazon に存在しない旧作やレア作品は、配信サービス以上に品揃えが豊富で、見たい作品が手っ取り早く見つかる可能性が高い 【TSUTAYA DISCAS】 の DVD レンタル が、今でも一番有効です。
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画質を考えれば録画動画のサイズは大きくなる
ただ、録画時にパソコンの CPU に負荷をかけず、コマ落ちなどのトラブルを防ごうとすると、使えるコーデックがどうしても限られてきます。
私の使っている録画ソフトでは、圧縮に x264 ではなく、もっと古い DIVX5 を使っています。一次保存の段階では、できるだけ綺麗な状態で残したいので、設定できるビットレートを最大まで引き上げて録画しています。そのため、どうしても出来上がる動画ファイルのサイズが大きくなってしまうのが難点です。
基本的に配信動画は、Widevine L1 に対応した環境で再生しないと SD サイズでしか配信してくれないサービスがほとんどです。それでもビットレートが高い分、DVD よりは綺麗になる場合が多いです。
私は普段、テキスト編集がしやすいという理由で選んだ 20 インチのスクエアモニターで映画も観ているので、SD サイズでも画質に特に不満を感じません。
そもそも、どうしても画質にこだわりたい作品であれば、配信動画の録画ではなく Blu-ray を買ってコレクションし、必要に応じてそれを録画して観賞用としてローカル HDD に保存しておけばいいだけの話です。
しかし、SD サイズで録画したとしても、90 分ほどの映画なら動画サイズは 2〜3GB にはなります。これが SSD の容量を地味に圧迫してくるのです。
よって、そこからサイズを小さくするためにエンコードするわけですが――。
冬のエンコード作業は“暖房代わり”になる
CPUの排熱は意外と暖房になる
基本、録画した動画は、よほどストレージの空き容量が逼迫しない限り、そのまま放置しています。暑い季節は特に「まあいいか」となって先延ばししがちです。
そして寒い冬になると――個人的に“エンコード・シーズン”の到来です。
冬の間に、可能な限り撮りためた動画をエンコードして圧縮し、SSD の空き容量を回復させるのが毎年の恒例行事になっています。
なぜ“冬のエンコード”がいいのか?
エンコードは CPU に高負荷がかかる作業なので、当然パソコン全体が発熱します。そしてこの排熱が、ありがたいことにパソコン周辺の室温を実際に 1〜2 度ほど上げてくれるのです。
つまり、パソコンがちょっとした暖房代わりになる。
CPU の排熱を“暖を取る熱源”として有効活用できる――他人から見れば些細なことかもしれませんが、私にとっては意外と大きなメリットなのです。
例えるなら、ゴミ処理場で焼却熱を温水プールや入浴施設に利用する“サーマルリサイクル”に近い感覚です。無駄が出ない。どうせ発熱するなら冬に有効利用しない手はありません。
低TDP設定の i5-12600K は “冬のエンコード” と相性が良い
私は画質が落ちるのが嫌なので、グラフィックボードのハードウェアエンコードは使わず、エンコード処理はすべて CPU に任せています。
そのため CPU には常に高負荷がかかり、TDP の発熱にマザーボードなどの分も合わさって、パソコン全体は 確実に 100W クラスの“小型暖房器具” になります。
もちろん、もっと電力を食う CPU のほうが発熱は増えます。しかし、あまりにも消費電力が高いと――特に我が家のようにブレーカー容量に余裕がない環境では――過剰な TDP の CPU は扱いづらく、デメリットが大きくなる という問題もあります。
さらに、エンコードは長時間連続して動かし続けるのが基本なので、ワットパフォーマンスと安定性 のバランスがとても重要になります。
i5-12600K を「T仕様」にして使う理由
私は i5-12600K を BIOS 設定で TDP 35W に固定し、いわゆる “T付き型番 相当” として運用しています。
エンコードで重要なのは、コアあたりの性能よりも 物理コア数と電力効率。HT(ハイパースレッディング)に関しては、正直あってもなくても体感差は大きくありません。
同じ 12世代の i5 無印モデルは Pコア(Performance Core)しかなく Eコア(Efficient Core)が無いため、動画エンコード用途としてはコア数不足ぎみ。そのため、オーバークロックはしない前提でも 敢えてK付き型番を選んだ というわけです。
エンコード効率と AV1(SVT-AV1)の相性が抜群
結果的に、i5-12600K を低TDPで固定して使うという選択は、いま振り返ってもやはり正しかったと感じています。
処理速度だけを見れば、TDP 制限のおかげで確かに“のんびり”になります。しかし、電気代も絡めてワットパフォーマンスという観点で考えると明らかに効率がいい。
Pコアも Eコアもムダなく働いてくれるので、まさに “冬のエンコード専用CPU” としてしっかり噛み合っている感覚があります。
もちろん、同じ 35W 制限であっても同世代の i7 や i9 のほうが純粋な処理能力は上です。ただ、実際に使ってみて不満は感じないので、当時 i5 を選んだ判断は価格・機能のバランスとして最適解だったと思っています。
AV1(SVT-AV1) なら “あるだけコアを活かせてくれる”
注意点として、エンコードソフトによっては多コアCPUをうまく使い切れない場合があります。古いツールだと 8 コアまでしか対応していないものもあり、そうなると せっかくのメニーコア構成が宝の持ち腐れ になってしまいます。
しかし、ffmpeg × AV1(SVT-AV1) の組み合わせなら状況が大きく変わります。
SVT-AV1 は、タスクマネージャーを見ても CPU 使用率が常時 100% に張り付くような挙動ではありませんが、実際には持っているコア全部をしっかり使いながら効率よく処理してくれる タイプです。
そのためエンコード速度も十分に速く、圧縮効率も非常に優秀。
私の用途では特に不満もなく、“低TDPで長時間まわす冬のエンコード” に理想的な動作 を見せてくれています。
排熱すら無駄にしない、“冬の完璧サイクル”
そして何より、このエンコード作業で発生する熱は そのまま暖房として再利用できる ため、本当に無駄がありません。
データが軽くなっていくのと同時に、CPU は静かに部屋を温めてくれる――この “効率の無駄の無さ” がたまらないのです。
こうして 収納(SSDやHDDの空き容量)と暖房が同時に片付く わけで、「エンコード作業は冬に限る」と断言したくなる理由も、ここに尽きます。
まとめ:動画コレクションは「TSUTAYAレンタル × 配信サービス」の併用で確実に増やせる
もともと国内に流通していない作品をどうしても観たい場合には、米 Amazon や海外 Netflix を短期契約し、めぼしい作品を片っ端から録画することもあります。
それでも結局のところ、国内版が存在するタイトルであれば、「TSUTAYA の DVDレンタル」+「国内配信サービス」 の二方向で攻めれば、めぼしい作品の9割方がそれだけで揃ってしまうので、コレクションを確実に増やせます。
配信は手軽で便利ですが、観たいと思った古いタイトルやマニアックな作品ほど、最初から配信されていなかったり、過去にはあったのに現在は配信終了している というケースが多い。
その点、レンタルは日本版ディスクさえ発売されていれば、探し続けることで配信より高い確率で目的の作品に巡り合えます。
劇場公開時に没になった別エンディングや、制作スタッフの本音が垣間見える特典映像、あるいは“オリジナル字幕”のために、どうしてもディスクを選ばざるを得ないことも珍しくありません。
だからこそ、レンタルは作品探しの最後の希望であり、生命線 だと思っています。
配信で観られる作品は配信で済ませ、ディスクでしか手に入らないタイトルは TSUTAYA で補完する――。
この“二方面運用”が、未見の旧作を知って「観たい」と思ったときに、最も効率的で、経済的負担も少ない探し方 だと感じています。
HDD に動画として保存しておけば、タイトル名さえ覚えていればすぐに呼び出せるし、配信停止の心配もない。
今は動画配信全盛の時代に変わりつつありますが、作品数の面で見れば、DVDレンタルの存在価値はまだまだ揺るがない と考えています。
結局のところ、
「手軽さの配信」×「確実性のディスク」。
この組み合わせこそが、映画コレクターにとって一番バランスの良い落としどころではないでしょうか。
【TSUTAYA DISCAS】 の定額レンタルプランには約30日間の無料お試し期間があります。
旧作・名作を中心に幅広くレンタルしたい人には相性がいいサービスなので、気になる方は一度チェックしてみてください。
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配信で観られる作品は配信で済ませたい場合、こちらも併用すると探せる作品の幅が大きく広がります。
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