CMOSセンサー式の格安分光器レビュー Amazonで買えてスペクトル解析に最適

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DIYと自作

驚きの安価、2万円前半で買えるCMOSセンサー式の分光器

 以前、約1万円で購入でき、340〜1000nmの波長域に対応したUSBカメラ式の格安分光器の紹介レビューを書きました。
 そちらも価格の割に高性能な製品ではありましたが、Amazonでの取り扱いがなく、購入にはAliExpressなどの海外通販を利用する必要があり、一般向けとは言いづらいものでした。

 今回紹介するのは、Amazon配送ではないもののAmazonで購入可能で、2万円前半という格安価格ながらCMOSセンサー搭載という、観測精度の高い分光器です。こちらも340〜1000nmの波長域に対応しています。

 カメラ式を試したあと、「やっぱり本格的なCMOSセンサー式の分光器も欲しいな……」と思い、物欲に負けて購入してしまいました。この記事は、実際に手元に届いた製品を一通り試した上でのレビューです。
 ただし、商品が届いてから使えるようになるまでが一筋縄ではいかなかったので、導入の参考になればと思います。


分光器は高性能、だが動作させるまでが大変だった

ありがちだが、同型の製品が複数の出品者から販売されている

 このCMOSセンサー式の分光器は中国製で、類似製品が適当な日本語商品名で複数の出品者から販売されています。
 出品元によっては、筐体にロゴが入っていたり入っていなかったり、付属品が微妙に異なることもあるようです。ただし、製品説明のスペックを見る限り、中身の性能はどれも大差ないと思われます。

 なお、本体……というか、筐体内にセンサーモジュールが収まっているだけのような構造で、端子の仕様が異なる2タイプが存在します。

  • USB Type-Bメス端子が付いたタイプ
  • ピンが4本剥き出しで並んでいるタイプ

 Amazonの商品ページには細かな写真が載っていないことも多く、見分けが難しいのですが、価格がやや高めの商品はUSB Type-B端子付きの可能性が高いです。

 私は最安値の商品を購入したため、製造コストが抑えられた4ピン剥き出しタイプでした。


不親切ここに極まれり、紙の説明書なし

 この分光器はシリアル通信インターフェースを持つデバイスです。
 本体にはセンサーとしての機能しかなく、USB to Serial変換ケーブルを使ってPCやAndroidスマートフォンに接続します。

 接続用のケーブルは本体に同封されていました。Windowsのデバイスマネージャーで確認したところ、使用されている変換ICはCH340で、Windows 10では自動的にドライバーがインストールされました。

 ただし問題は、4ピンのコネクタに接続する向きが、本体のどこにも記載されていない点。ピンアサインも不明で、上下どちら向きで挿せばいいのかまったくわかりません。
 (仮に左端がGNDだとすると、GND・+DATA・−DATA・VCCの並び?)

 さらに、紙の説明書は一切付属しておらず、化粧箱入りとはいえ、内容物はバルク品以下の不親切さ。
(これについては、後に製造元の商品ページの内容物写真を確認したところ、本来はマニュアルらしき冊子が同封されているはずで、出品者側の問題である可能性が高いです。)

 正式な製品名すら不明で、検索エンジンで情報を探すことすら困難でした。

 最終的には、箱に印刷されていた製造元らしきURLからメーカーサイトを見つけ出し、そこに掲載されていた情報から、Amazonで販売されているのは恐らく……
「彩色照度计-基础型-Y2超值型」または「Y3基础型」のどちらかであることが判明。

 同サイトのDownloadページにアクセスすることで、PDF形式の説明書とピンアサインの情報をようやく入手できました。

 おかげで最終的にはPCにもAndroidにも無事に接続できましたが……
 せめて商品ページに「マニュアルやソフトウェアは製造元WEBから入手してください」くらいは明記しておいてほしかった。書いてあれば、こんなに苦労しません。

 短気な私は、URLの記載に気づく前の段階で面倒になり、逆電流防止ダイオードが入っていることを祈りつつ、1/2の確率に賭けて博打的に接続しそうになったほどです。

 ちなみに、付属のケーブルではなく、市販のPL2303HXチップ搭載のUSB-Serial変換ケーブルでも正常に動作することを確認しました。


ソフトウェアは専用アプリ「Flameeye(火眼)」

 商品の箱の中には、本体とケーブルしか付属していませんが、製造元のサイトにたどり着ければ話は早いです。

 この分光器を使用するには、専用ソフト「Flameeye(火眼)」のインストールが必要です。
 対応OSは以下の通りです。

  • Windows(製造元サイトからインストーラー入手)
  • Android(Google Playで「Flameeye」と検索可能)
  • iOS(未確認)

 Windows版は、製造元のDownloadページからインストーラーをダウンロードして導入します。
 Android版はGoogle Playから直接入手可能で、APKも製造元の公式サイトからダウンロードできます。
 ※いずれの場合も、ダウンロード(下载)したファイルのウイルスチェックは自己責任で行ってください。

 Flameeyeは、PCではWindows、モバイルではAndroidおよびiOS(未確認)に対応しています。
 いずれも製造元のDownloadページから入手できます。

 文章で読むと簡単そうに見えますが、ここにたどり着くまでに1時間ほどかかってしまいました。

 Flameeyeさえ入手できれば、あとはPCやスマホに分光器を接続してソフトを起動するだけ。
 ソフトの▷ボタンを押すとすぐに解析が開始され、スペクトル分布が非常に美しく描画されます。使用前の校正も不要です。

 さすがはCMOSセンサーと専用ソフトの組み合わせといったところで、アナログ方式の分光器に比べてノイズが非常に少なく、精度も高い印象を受けました。

 また、PC版では測定結果をPDF形式で保存できるため、モバイル版よりも活用の幅が広がります。


500円玉サイズの本体は超コンパクト

 本体(センサー部分)は非常にコンパクトで、ほぼ500円硬貨と同じサイズです。
 中身はセンサーモジュールだけというシンプルな構造なので当然ですが、省スペースで扱いやすくなっています

 さらに、USB to Serial変換ケーブルさえあればPCやスマホにすぐ接続でき、専用ソフトも無料で入手可能なため、コストパフォーマンスは非常に高いといえます。


格安で高性能なCMOS分光器、現状Amazonで買うならこれ一択か!

 以前レビューしたアナログ出力のUSBカメラ式分光器も、約1万円という価格を考えれば悪くない選択肢で、そちらにはそちらの良さもありました。
 しかし、プラス1万円でCMOSセンサー&専用ソフト付きの本機を選べるのであれば、断然こちらの方が万人向けだと思います。

 出品者によって導入時のハードル(説明不足や不親切さ)には差があるものの、それさえ乗り越えれば、得られるものは非常に大きいです。
 安価に本格的なスペクトル解析を行いたい方には、ぜひおすすめしたい一品です。


安価に本格スペクトル解析を始めたい人へ

 導入時の情報不足やサポート面で不親切な部分はあるものの、それを補って余りある性能とコストパフォーマンスを備えた一台でした。

 CMOSセンサーによる高精度なスペクトル解析が、2万円台という価格で手に入るというのは、ひと昔前では考えられなかった話です。
 PCでもスマホでも使える汎用性の高さもあり、理科実験からDIYプロジェクト、照明やディスプレイの波長測定まで、幅広い用途に対応できそうです。

 これから分光器を試してみたい方、手軽に光のスペクトルを測定したい方にとって、最初の1台として非常におすすめできる製品です。


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