ヤフオクの64GB→2TB容量偽装SSD ジャンクPC内蔵品の検証と返金要請

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不正商品?

2TBクラスのSSDが新しく欲しいが高いので中古で探す

2025年末からPCパーツ価格が急騰中なので

 2026年3月。メモリやSSDといったパソコンパーツ関連の価格高騰が凄まじい。一昔前(23~24年)の値段が落ち着いていた時期と比べると、2~3倍程度に値上がりしている。
 そんな時期、新たに2TBのSSDが欲しいと思ってヤフオクを見ていたところ、メモリ8GB、SSD 2TBを搭載しているという以下のようなジャンクPCの出品を見つけた。

ジャンクノートPC詳細

Core i5-5200U / メモリ8GB / SSD 2TB 搭載のノートPC。ACアダプター付属。外観は比較的きれい。

通電およびBIOS起動、確認済み(BIOSでSSD 2TBを認識している画像写真あり)。 
Windows 11およびOfficeはインストール・認証済み(画面写真あり。ただし保証なし)。
液晶ディスプレイに重大な不具合があり、時間経過で画面が真っ白になるため正常使用は困難。

バッテリーは使用不可。その他の動作は未確認。
以上の理由から完全ジャンク品。部品取り・研究用途向け。返品・保証は一切なし。

 商品説明には、このPCのBIOS上でSATA 2TBを認識している写真や、Windows 11が起動している写真などがあった。
 価格は12,800円即決だったので、Broadwell世代のCPUを搭載したノートパソコン本体がおまけで付いてくる中古の2TB SSDと考えると、とても安い。
 SSDの状態がどの程度かは不明だし、BIOSでSSDの型番が表示されていないのが気になったが、OEM製品や安価なノーブランド品だとそういうシンプル表示のSSDもあるので、とりあえず大丈夫だろうと軽く考えて購入を決意した。

Aptio Setup Utility Copyright (C) 2015 American Megatrends, Inc.

System Date: [Sun 03/08/2026]
System Time: [12:03:10]

SATA Port 0 SSD 2TB (2048.4GB)
►Off Board SATA Controller Configuration

Intel(R) Core(TM) i5-5200U CPU @ 2.20GHZ
ME FW Version 10.0.46.1002
System Memory: 640KB
Extended Memory: 8192 MB (DDR3)
MB Series: W330AU
BIOS Version: 1.05.01RMC1
KBC/EC Firmware Revision: 1.05.01

↑ 参考までにBIOSはこんな感じでした ↑

 世に怪しい容量偽装SSDは多いものの、わざわざ動作する中古PCに容量偽装SSDを入れて販売するのはコストがかかるし、リスクとリターンが釣り合うとは思えない。そのため、このSSDは多分大丈夫だろうと判断して即決価格で落札した。

 だが、その安易な判断は間違いだった。


まさかの「Non System Disk or Disk Error」

 相手の発送は早く、落札の翌日には商品が到着した。驚異の配送スピードだ。
 届いた商品を開封し通電すると……「Non System Disk or Disk Error」。OSが入ったディスクがない状態で起動したときに表示されるエラーが出た。

 ディスクが接続されていない場合は「Operating system not found」などになることが多いため、これは明らかにSSDが認識されていない症状である。

 もしかしたらSSDを抜いて送ってきたのか……いや、オークションのタイトルにSSD 2TBと書いてある以上、それは考えにくい。そう思い裏蓋を外して中身を確認してみると――。

こ、このSSDはっ!

 SSDは確かにあった。しかし、そこにあったのはAliExpressなどで「2TBで8000円」、ヤフオクでも12,800円前後で売られており、レビューに多数の容量偽装報告がある、いわゆる“地雷”として有名なデザインのSSDだった。

 一見Western Digitalのようでありながらメーカー名がなく、ほぼパクリとしか思えない外観で、シールに赤・緑・青の3色が存在するタイプのSSDである。複数の容量があり、すべてが容量偽装とは限らないが、このデザインのSSDは間違いなく警戒すべきだ。

↑ 本家Western Digital ↑

↑ アリエクスプレスで見かける偽物。画像の右下に映っているやつです ↑

 このPCに入っていたのは、緑シールの2TB SSDだった。
 取り外してみると、通常2TBクラスのSSDであればNANDの数が多くそれなりの重さがあるはずだが、これはやたら軽い。どう考えても中身がスカスカなのだろう。

重量31g

2TBのSSDのはずなのに、裏面にはR/N(Revision Number?)「GR960GA-2」と記載されており、960GBモデルのようにも見える謎の型番が印字されていました。


容量偽装SSDの実容量を確認する

SSDを調査してみた

 出品者は「液晶ディスプレイに重大な不具合があり、時間経過で画面が真っ白になる」と書いていたが、USB-SSDにインストールしたLinuxを接続して1時間ほど使用してみたところ、不具合は一切なかった。
 出品者の言葉が嘘でないとすれば、SSDが原因でOSがハングアップしていた可能性がある。

 ただし、届いたPCはSSD自体を認識していなかったため、出品者の環境で本当にOSが起動していたのかは正直わからない。

 問題のSSDはUSB変換して接続すると一応認識はするが、挙動はかなり怪しい。Windowsの「ディスクの管理」ではディスク自体は認識するものの、容量が表示されなかった。


LinuxでSSDの実容量を確認する方法(lsblk / dmesg)

 最終的に、ローレベルなコマンドが豊富なLinux(Debian)でテストすることにした。

lsblk

sdc      8:32   0   1.9T  0 disk 
├─sdc1   8:33   0   300M  0 part 
├─sdc2   8:34   0    16M  0 part 
├─sdc3   8:35   0   1.9T  0 part 
└─sdc4   8:36   0   778M  0 part 
sudo fdisk -l /dev/sdc

バックアップの GPT テーブルは破損しているようです、しかしプライマリテーブルは大丈夫のようですので、そちらを使用します。
ディスク /dev/sdc: 1.86 TiB, 2048408247808 バイト, 4000797359 セクタ
ディスク型式: External        
単位: セクタ (1 * 512 = 512 バイト)
セクタサイズ (論理 / 物理): 512 バイト / 512 バイト
I/O サイズ (最小 / 推奨): 512 バイト / 512 バイト
ディスクラベルのタイプ: gpt
ディスク識別子: B2AF66C0-93E2-48B3-BBCB-54DF3AFB53D4

デバイス     開始位置   終了位置     セクタ サイズ タイプ
/dev/sdc1        2048     616447     614400   300M EFI システム
/dev/sdc2      616448     649215      32768    16M Microsoft 予約領域
/dev/sdc3      649216 3999201934 3998552719   1.9T Microsoft 基本データ
/dev/sdc4  3999203328 4000796671    1593344   778M Windows リカバリ環境

lsblk は、Linuxに接続されているストレージ(ディスクやパーティション)を一覧表示するコマンドです。

 lsblkでは情報が表示されるものの、GPTテーブルが破損しているのが非常に怪しい。そして――

dmesg | grep sdc

[842494.488376] sd 2:0:0:0: [sdc] 125045423 512-byte logical blocks: (64.0 GB/59.6 GiB)
[842494.488693] sd 2:0:0:0: [sdc] Write Protect is off
[842494.488701] sd 2:0:0:0: [sdc] Mode Sense: 23 00 00 00
[842494.489062] sd 2:0:0:0: [sdc] No Caching mode page found
[842494.489069] sd 2:0:0:0: [sdc] Assuming drive cache: write through
[842494.513556]  sdc: sdc1 sdc2
[842494.513844] sd 2:0:0:0: [sdc] Attached SCSI disk
[842505.456658] EXT4-fs (sdc2): mounted filesystem e922433d-ff9a-4ffd-be16-c7a800344a85 r/w with ordered data mode. Quota mode: none.
[842810.512555] FAT-fs (sdc1): Volume was not properly unmounted. Some data may be corrupt. Please run fsck.
[843900.577739] EXT4-fs (sdc2): unmounting filesystem e922433d-ff9a-4ffd-be16-c7a800344a85.
[843922.140230] EXT4-fs (sdc2): mounted filesystem e922433d-ff9a-4ffd-be16-c7a800344a85 r/w with ordered data mode. Quota mode: none.
[843934.965151] FAT-fs (sdc1): Volume was not properly unmounted. Some data may be corrupt. Please run fsck.
[844433.421301] EXT4-fs (sdc2): unmounting filesystem e922433d-ff9a-4ffd-be16-c7a800344a85.
[953645.643440] sd 2:0:0:0: [sdc] 4000797359 512-byte logical blocks: (2.05 TB/1.86 TiB)
[953645.643786] sd 2:0:0:0: [sdc] Write Protect is off
[953645.643792] sd 2:0:0:0: [sdc] Mode Sense: 23 00 00 00
[953645.644242] sd 2:0:0:0: [sdc] No Caching mode page found
[953645.644249] sd 2:0:0:0: [sdc] Assuming drive cache: write through
[953645.660204]  sdc: sdc1 sdc2 sdc3 sdc4
[953645.660621] sd 2:0:0:0: [sdc] Attached SCSI disk

dmesg | grep sdc は、Linuxでストレージ(USBメモリやHDDなど)が正しく認識されているか確認するコマンドです。

 このコマンドは2つの要素に分かれます。

・dmesg
→ カーネルのログ(ハードウェアの認識状況)を表示

・grep sdc
→ 「sdc」という文字を含む行だけを抽出

 SSDの実容量が (64.0 GB/59.6 GiB) と表示された後、コントローラーが (2.05 TB/1.86 TiB) と偽装された容量を返している。

 返品予定のため書き込みテストまでは行っていないが、64GBを2TBに偽装したSSDであることが判明した。


実録・ヤフオクで偽SSDを掴んだのでこう対処した(返金までの流れ)

[受け取り連絡]は押さない

 今回の場合、オークションタイトルとは異なる偽造品が届いたため[受け取り連絡]は押さない。ノークレーム・ノーリターンのジャンク品であっても、偽造品は別問題である。
 さらに[出品者への入金を延長]ボタンを押し、入金までの時間を延ばした。


警察に相談

 問題のSSDと、それが容量偽装である証拠を持って警察に電話で相談し、その後被害届を提出した。
 これにより受理番号を取得し、出品者へ返品を求める際の交渉材料とした。


ヤフオク運営にも報告

 事前にヤフオク運営にも偽造品の疑いがあるSSDであることを報告。運営からのメールに返信する形で、dmesg | grep sdc のログキャプチャを提出した。
 出品者が返金に応じない場合、運営による取引キャンセルを期待しての対応である。


出品者に連絡すると

 準備を整えた上で、出品者に「2TB SSDが容量偽装品であり、ジャンクとしても許容できないため返金を求める」と連絡。警察と運営にも報告済みである旨も伝えた。

 すると、故意か過失かは不明だが「容量偽装SSDとは知らなかった。返金するので返送してほしい」との返答があり、この件はあっさり解決した。

 むしろ、「液晶は正常で、容量偽装SSDが原因でOSがハングし画面が真っ白になっていた可能性が高い。外付けLinuxでは問題なかった」と伝えたところ、ノートPC自体に問題がないと分かって安心していた様子だった。

 おそらく、返送後はSSDを交換してそのまま使っているのではないだろうか。
 私はあくまで中古2TB SSD目的で購入したため、仮にノートPCが正常でも第5世代機を12,800円で欲しいとは思わなかったので、素直に返金してもらえて助かった。


まとめ

 容量偽装SSDは、知っている人であれば外見からある程度判断できますが、今回のようにノートPCに内蔵された状態で販売されると、SSDの外観を確認できないため見抜くのは難しくなります。

 実際に商品が届いて確認して初めて分かるケースもあります。
 中古ストレージを購入する際は、価格だけでなく出品内容をしっかり確認するのが基本ですが、今回のように画像上は問題なさそうに見えるケースもあり、やや悪質寄りの出品だと感じました。(出品者自身もSSDの異常に気づいていなかった可能性はありますが)

 Amazonの通販であれば、ノーブランド品でも不具合があれば比較的簡単に返品できますが、ヤフオクの場合、見慣れたメーカー品でないと購入するのは危険だと感じました。


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