暗いと作業の手元が見えない 照明は手術室の無影燈が理想 LEDライト光源複数購入

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DIYと自作

手元に影ができず、明るくよく見える光源が欲しい

 天井の照明だけで電子工作のはんだ付けをしていると、まず光量が足りません。さらに自分の手や工具が影になって、基板の上が非常に見づらくなってしまいます。

 特に、狭い基板に部品を詰め込んでいると、はんだ付けしたランド(パターン)が隣と短絡していないかどうかが気になります。しかし、私は夜間視力が弱いため、照明が不十分だとルーペを使っても細かい部分が見えません。

 電子部品に書かれた小さな型番なども、暗いとまったく読めなくなります。

 これをなんとかしたい……と思い立ち、作業用の手元照明を導入することにしました。

 一昔前のデスクライトといえば白熱電球や蛍光灯が主流でしたが、最近はLED照明が一般的で、価格もずいぶん手頃になっています。そこでLEDタイプで探すことにしました。

 そして今さらながら気づいたのが、手術室の「無影灯(むえいとう)」のように、対象物に影ができにくい照明──つまり、光源が複数あるタイプのLEDリングライトやスタンドライトが、通販サイトで安価に手に入るという点です。

 そんなわけで、リングライトを筆頭に、いくつかのLED照明を実際に購入してみましたので、それぞれレビューしていきたいと思います。


購入した各種LEDライト

予備知識として──作業に適した明るさとは?

 「明るい」「暗い」といった感覚は個人差があるため、判断の基準となる数値が必要です。では、作業に適した明るさとは一体どれくらいなのでしょうか?

 これについては、厚生労働省の労働安全衛生規則 第三編 第四章 採光及び照明(第六百四条〜第六百五条)が参考になります。この規則によると、作業に必要とされる明るさの目安は以下の通りです。

  • 精密な作業:300ルクス以上
  • 普通の作業:150ルクス以上
  • 粗な作業:70ルクス以上

 もちろん、これはあくまで職場環境の基準なので、個人が趣味で行う作業に法的な罰則などはありません。とはいえ、これらの数値を下回っていると「暗い」と感じるのは当然であり、作業効率や安全性にも影響するでしょう。
 目や肩の疲労を防ぐためにも、最低限この基準程度の明るさは確保したいところです。


 ちなみに、現在私が使っている作業環境──つまり天井照明だけの明るさが、どの程度あるのか気になったので、照度計で測定してみました。

 結果は以下の写真にもあるように、なんと34.5ルクス
 これは「粗な作業」の基準すら大きく下回っています。

 ……そりゃ暗く感じるわけです。これでは、基板の細かい部分やはんだ付けの状態が見えないのも当然です。よく今まで、こんな暗さで作業を続けていたなと、自分でも呆れてしまいました。


 なお、私が使用している照度計は、低価格モデルです。Amazonで手軽に購入可能です。

 特別高性能というわけではありませんが、明るさを測るだけならこれで十分ですし、使い勝手も良好です。探せば、Amazonでは2,000円前後、AliExpressなら1,000円以下の商品が複数見つかります。


 そうそう、「照度計なんて買わなくても、スマホのアプリで測れるのでは?」と思った方もいるかもしれません。確かに、スマホ用の照度計アプリも存在し、ちょっとした参考にはなります。

 ただし、スマートフォンには専用の受光部がないため、光の正面方向しか測定できず、測定範囲が狭いという難点があります。その結果、測定値に大きな誤差が出やすくなります。

 一方、専用の照度計には半球状の受光部(コサイン補正受光部)があり、広い角度からの光を正確に取り込むことができます。そのため、たとえ安物でも、専用機器の方が測定精度では優れています。

 明るさを正確に把握したいなら、照度計を一台持っておくことをおすすめします。工作や撮影、読書など、いろいろな場面で役立ちますよ。


仕組み的には無影燈に近いLEDリングライト

 LEDを輪っか状に配置した照明、それがLEDリングライトです。
 360°方向から光を当てる構造なので、対象物の影ができにくく、作業や撮影に非常に向いています。いわば簡易的な「無影燈」と言える仕組みです。

 私が今回購入したのは、直径16cmの三脚付きリングライトと、スマホにクリップで取り付ける小型のリングライトの2種類です。
 リングライトには大小さまざまなサイズがあり、大きいものだと30cm径の製品も存在しますが、基本的な仕組みはどれも同じ。
 そのため、今回のレビューは他の類似商品を検討している方にも参考になると思います。


16cm三脚付きのリングライト

 この16cmリングライトはAliExpressで約500円で購入しました。
 同等品はAmazonでも販売されていますが、価格は2倍以上とやや高めです。ただし、Amazonであれば到着が早く、返品対応もスムーズという大きなメリットがあります。
 どちらで購入するかは、価格重視か、安心感重視かで判断が分かれるところでしょう。


 このライトのリング部分には、SMDタイプのLEDが狭い間隔で並んでいます。
 電源はUSB(5V)で、色温度は昼光色・昼白色・電球色の3種類に切り替え可能。各色温度で輝度も数段階調整できます。
 USBテスターで測定したところ、最大輝度時の電流は約800mA、つまり消費電力は約4Wです。

 実際の光量としては、「まあまあ明るい」といった印象です。
 作業用ライトとして使うと、手元に影ができにくく、かなり快適です。
 ただし、やや光量不足を感じる場面もあるので、「本格的な作業照明」として使いたい場合は、もう少し高出力なライトの方が良いかもしれません。


 個人的な感想の話だけでは具体性に乏しいので、測定器で測った数値も参考にして下さい。
 作業机の前方上部にこのライトを設置して照度を測定したところ、以下の画像のように311ルクスという結果でした。
 これは、精密作業に必要とされる300ルクスをしっかりクリアしています。
 やはり、明るいのは良いですね。リングライトがあるだけで、作業効率が格段に上がりそうです。


 そして、本体に付属する三脚についてですが、見た目は普通なものの、ジョイント部分が非常に緩いです。
 ライトを支えるには頼りなく、油断すると脚が全開状態になってしまい潰れてしまいます
 この問題を解決するには、別売りの三脚を使うのが手っ取り早いですが、出費を抑えたい場合は、脚の広がりを制限する工夫(例えば紐で脚同士を固定するなど)が必要です。


 総合的には、「安くて使える」という評価になります。買ってよかったと思える製品でした。
 写真撮影用の光源としても十分に機能します。
 私はAliExpressで購入しましたが、Amazonであれば以下が同等の商品だと思います。


 なお、色温度の違いによる発光の差を比較するために撮影してみた画像があります。
 上から順に(おそらく)昼白色 → 電球色 → 昼光色です。
 やはり、昼光色が一番明るく、作業には向いていると感じました。

8.5cmのクリップ式リングライト

 こちらは、スマホにクリップで取り付けるタイプの小型リングライトです。
 本来は自撮り用として設計されているようですが、スマホの背面に取り付ければ、撮影対象の照明にも使用可能です。
 人によるとは思いますが、自撮りよりも撮影用の補助照明として使う人の方が多いかもしれませんね。


 私はこのリングライトを、AliExpressで1個約200円で2個購入しました。
 この製品には250mAhの3.7V充電池が内蔵されており、マイクロUSBで充電できます。最大輝度時の消費電力は約2Wです。
 色温度は5600Kで、輝度は3段階で調整可能となっています。


 ちなみに、ほぼ同等の製品はダイソーでも税込220円で販売されています。
 ただし、こちらは充電池内蔵ではなく、単4電池2本が必要です。
 電池式の利点は、交換すればすぐ使える・長時間の連続使用が可能な点。一方で、内蔵充電池モデルの方がスマートで経済的とも言えます。

 納期や手軽さを考えると、すぐ欲しいならダイソー、安さ優先ならAliExpressといった選択になるでしょう。


 この小型リングライトは、自立するブックスタンドなどに挟んで使うのがおすすめ。
 2~3個使って左右・正面の複数方向から対象を照らすと、非常に効果的です。
 1個あたりの出力は小さいですが、複数使用で明るさを補えるのが魅力です。


 実際に、左右から照らした場合の照度を測ったところ、579ルクスという結果が出ました。

 また、左右の斜め前方に設置した場合でも494ルクスと、十分な明るさを確保できました。
 この置き方のほうが影ができにくく、作業に集中できる配置として非常に理想的かもしれません。

 この製品、安価で複数購入が容易なので、レイアウトを工夫して自分だけの照明環境を作るのに最適です。


 最後に1点注意点を。私がAliExpressで購入したリングライトは、充電中に赤ランプが点灯するものの、満充電になっても消灯しません
 つまり、フル充電のサインがない仕様なのです。
 2個とも同じ状態だったため、これは壊れているのではなく元々「そういう仕様」なのでしょう。
 この辺はやや不親切ですが、値段なりの割り切りが必要です。

 なお、同様の製品はAmazonでも購入可能です。少し高めではありますが、配送スピードやサポートを重視する方にはおすすめです。


USB充電式ライトチューブ

 これはなんと言えばいいのでしょうか。マイクロUSBで充電可能なバッテリーを内蔵した、細長い長方形のLEDライトです。細長いケースの中に多数のLEDが並べられ、まるで光る棒のようになっている――だから「チューブ」と呼ばれているのかもしれません。

 見た目としては、そのまま「LED蛍光灯」と名乗っても違和感のない形状です。背面には強力なマグネットが付いていて、鉄製の机や棚などにペタッと貼り付けて使える仕様になっています。


 これも例によってAliExpressで購入。価格はなんと約200円。長さ17cmと31cmの2種類がありましたが、どちらもほとんど同じ価格だったので、両方買ってみました。ちなみにAmazonでは、同等の製品が2000円以上で売られていることもあります。この価格差、正直どこから来ているのかちょっと不思議です。

 注文時は「まあ200円だし」とあまり期待していなかったのですが、届いて点灯させてみると――これが思った以上に明るい。17cmのほうでも十分に実用的な光量があり、マグネットで鉄面に固定できるギミックも便利。予想を裏切って、かなりの「アタリ商品」でした。
 当然ながら、31cmの方はさらに広範囲を明るくしてくれます。

 ライトの明るさは3段階で調整可能。一番明るくすれば、どちらも夜間でも手元がはっきり見えるレベルの光量があります。


 例えば車で使うなら、開けたボンネットの裏に磁石で貼り付ければ、街灯のないような暗い場所でもエンジンルームの中がしっかり確認できます。室内で工作をする際にも、机の端に固定して点灯すれば、かなり明るく手元を照らしてくれます。

 ただしこのライト、光が広く拡散するというよりは、ある程度の指向性を持っています。ですので、真逆の方向にはどうしても影ができます。それでも、他の照明と組み合わせて補助光源として使うには申し分のない性能です。


 以下の画像のように、このライトの照度も測ってみました。手元照明として使った場合、なんと1111ルクスを記録。コンパクトながら、かなりの明るさです。

 光の向きにややクセがあるとはいえ、他の照明と併用すれば非常に使いやすく、作業用の補助ライトとしては大当たりの一品でした。


おわりに

 今回は、AliExpressで購入した格安の作業用ライト3種をご紹介しました。どれも非常に安価でありながら、予想以上に実用的で、「これでこの値段ならアリだな」と感じられる製品ばかりでした。

 今回購入したライトは全部、価格と性能のバランスが抜群で、作業環境のちょっとした補助光源としてかなり重宝しています。もちろん、価格相応のチープさや耐久性の不安もゼロではありませんが、それを差し引いても「使える道具」であることは間違いありません。

 格安ガジェットには当たり外れがありますが、実際に手に取って試してみると、意外な「掘り出し物」に出会えることもあります。この記事が、同じようにちょっとした作業用ライトを探している方の参考になれば幸いです。

 海外通販に抵抗がある方は、Amazonでもほとんど同じ製品が買えますので、無難にそちらで購入するのがおすすめです。

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