Amazonで最近見掛ける様になった、2025年の新製品(?)の50000mAhの大容量モバイルバッテリーで、絶対にそこ迄の容量は無いと思うけれど、少ないなりに、もしかしたら値段的に考えればそれなりに納得出来る容量があるかも知れない、と思われる商品を2個、博打覚悟で新たに購入してみました。
新たに購入したモバイルバッテリー✕2
1つ目は以下の商品で、元の価格は¥2999円ですが、お一人様一回だけ使える1000円オフのクーポンが付いていたので実質¥1999円で購入しました。
商品ページには、厚み2.8cm、重量450gとの明記があります。図解説明では、内部にリチウムポリマー電池が3セル積み重ねてある絵が描いてあります。
しかし、本体の厚みが3cmにも満たないと言うのはちょっと薄過ぎで、その辺がどうしても不安材料になります。
果たして、本当にセルが3段重ねなのかは微妙な感じに思えますが、実際に手に取って調べてみない限り、それが嘘か本当かの判別付かないので、図を信じて3セルで30000mAhの容量があってくれる事を期待しての購入です。
Amazonの商品ページには「過去1か月で2000点以上購入されました」とありましたので、それなりに売れてはいるみたいです。

2つ目は以下の商品です。元の価格は¥3199円ですが、こちらは30%オフのクーポン付きだったので¥960円引きとなり、実質価格は¥2239円で購入しました。
クーポンは一人で何度でも利用可能みたいですが、30%ではなく20%のオフの時もあるので、出来れば30%オフの時を狙って買うのがお得です。
商品の紹介ページには、厚み4.5cm、重量606.5gとあります。こちらは、厚み的に、少なくともリチウムポリマー電池の3セル積み重ね程度はありそうです。
容量50000mAhと書いてある商品ですので、そこ迄の容量は無いにしろ、もし4セル積み重ねているのなら、かなりのアタリの製品と言えるでしょう。
Amazonに因れば「過去1か月で1000点以上購入されました」商品らしいです。

以上、購入した2つのモバイルバッテリーは、Amazonの発送する商品ですので(じゃなきゃ買わない)、容量を実測してみて自分の中の最低基準よりも少なければ即、返品する予定です。
因みに、恐らくどちらも絶対に50000mAhは無いと確信した上で、30000mAh以上の容量があれば納得するつもりでポチりました。
正直な話、大きさや重量から鑑みて、これらのモバイルバッテリーに50000mAhもの容量が本当にあるなんて事は、エネルギー密度的に考えて絶対に有り得ませから。
しかし、価格が約2千円ですから、実測で3.7V30000mAh程度の容量があれば、容量水増しの詐欺商品であっても、買っても別に損は無いレベルだと判断して、返品はしません。
判断基準は一応、ダイソーの3.7V、10000mAhのモバイルバッテリーが¥1100円(税込み)なので、それを基準に3.7Vの電圧で価格¥1円辺り9mAhの容量があれば、容量詐欺商品でも費用対効果的に見てお買い得なモバイルバッテリーだと認める事にします。
¥1999円で購入したバッテリーその1の容量実測結果

届いたバッテリーを一度、満充電にします。その後に、電子負荷を繋いで電流を2A固定で流して、放電が停止する迄の容量を測定します。
更に、容量0の状態から、再度満充電になる迄、充電して、どれくらい電力が入ったかも測定します。
参考迄に使用する電子負荷は、昔Amazonで買って以来、新しく買ったモバイルバッテリーの容量測定時にずっと愛用している以下の製品です。

放電時の容量
Amazonの図解説明通りに、リチウムポリマー電池のセルが3枚、モバイルバッテリーの中に入っているのを期待していたのですが、信じた自分が阿呆なのか、どうやらそれは完全に嘘っぱちだったみたいです。

上の画像が、満充電後に5V2Aで容量0になる迄、放電した結果です。
容量は5V10597mAh、54289mWhでした。……と言う事は、3.7V換算で約14500mAhです。
電圧の変換では、熱になって電力が無駄になるロスが約20%発生するので、それを計算に入れても17400mAh程度しかありませんでした。
この数字で、セル3枚は絶対に入って無いだろう事が判明しました。
更に、容量から推し量るに、10000mAhのセル2枚入りも怪しくなって来ました。
恐らく、容量の少ない、9000mAhのリチウムポリマー電池のセルを2枚使っているだけな気がします。
いや参りましたね。
相手が一枚上手と言うか、嘘の説明図解を用意して、このモバイルバッテリーは大容量ですよ、と視覚的な部分から購入者を欺いて来るとは、夢にも思いませんでした。
この出品者、説明からして手の込んだ、かなり悪意の高い売り方をして来ますね。
今回は、売り手に上手く騙されてかなり駄目なハズレを引いてしまいました。
本当、Amazonマーケットプレイスの出品者を信じちゃいけませんね。
何にしろ、この商品は完全な期待外れでした。
やはり厚み3cm程度のモバイルバッテリーでは、中に入るセルは2枚が限度、容量も頑張っても20000mAhが上限だという事です。
……で、コスパ計算ですが。
3.7Vの電圧で価格¥1円辺り8.7mAhの容量しか無いので、流石にお得感0ですね。
これでは返品するしかないのかも知れません。
充電時の容量

上の画像、充電終了後にちょっと長時間放置してしまったので充電時間は当てになりませんが、入った電力は信用しても大丈夫です。
充電器からは、5V13970mAhの電力がモバイルバッテリーに流れました。
3.7Vで換算すると約19000mAhですが、ロスの分もあるので、これが全部、モバイルバッテリーに蓄電された訳ではありません。
そもそも、他の手持ちの20000mAhモバイルバッテリーなら、空になってからの充電だと、もっと沢山の電力が入るので、このモバイルバッテリーの実容量は、やはり18000mAh程度の線が濃厚になりました。
充放電のテストの結果から判断するに、これは粗悪品の部類だと思います。控え目に言っても、碌な商品ではありません。
モバイルバッテリーに多くは望まず20000mAh近い容量があれば満足、と言う人にも、値段と実容量の比較から鑑みるに、これを購入する利点は薄く、全くおすすめは出来ません。
仮に、分解してリチウムポリマー電池の生セルを取り出して使うとしても、ダイソーのモバイルバッテリーを買って使う方が無難ですし。
外観や重さ等など

外観に関しては樹脂製で、よくあるモバイルバッテリーとしか言えません。特に変わった処はありません。
電力残量のインジケータがありますが、放電テストの時に眺めていた限りでは、こちらの数字は割と正確だと思います。
本体の厚みですが、家にある他の20000mAhのモバイルバッテリーと並べて比べてみました。(下の画像)

3つとも厚みが殆ど同じですね。
現状のリチウムポリマー電池のエネルギー密度では、20000mAh前後の容量のモバイルバッテリーだと、どうしても大体このくらいの大きさと厚みになる訳です。
一応、気になったので重量も測ってみました。(下の画像)

20000mAhのモバイルバッテリーは、大凡300g後半から400g前半程度の本体重量の製品が多いです。
このモバイルバッテリーは若干重めですが、まあその範囲から逸脱してはいません。
ぶっちゃけ、充電式のリチウム系電池を使った電源で50000mAhの容量を謳うなら、本体が7cm以上の厚み、1kgの重量になって然りです。
小型薄型軽量で大容量のモバイルバッテリーは、現時点の人類の技術力では製造不可能であり、物理的に実際し得ません。
因って、小さく薄い癖にやたら大容量のモバイルバッテリーは、全て容量詐欺の商品だと考えるべきです。
その中で、値段と実用量が釣り合っていれば買いだと言うだけの事です。
尚、このモバイルバッテリーですが、急速充電に対応しているので、5V3A、9V2A、12V1.5Aの3出力を持っているみたいです。
急速充電に対応している部分だけみれば、ダイソーのモバイルバッテリーよりも、性能的には高いと言えます。
今回の自分の場合は、急速充電のあるなしより蓄電量の大きさの方が重要だったので、30000mAhに容量が届いてない時点で、有り難みが薄れますが。
話は変わりますが、中華製の何かしらを買うとよく見掛ける、星5レビューを書いてくれたらAmazonギフトをプレゼントします、と言うメッセージカード(下の画像)が、このモバイルバッテリーにも同封されていました。


このモバイルバッテリーの場合、星5のレビューを書いたら、なんと1500円分のギフト券をプレゼントしてくれるみたいです。
即ち、条件さえ満たせば、破格の約¥500円で20000mAhのモバイルバッテリーが手に入ると言う寸法です。
本当に貰えるか否かは試してないので不明ですが、もし貰えるのなら、提灯レビューの報酬額として、¥1500円はかなり大きいですね。
そんな遣り取りがAmazonマーケットプレイスでは普通に罷り通っているみたいで、結果として、この手の詐欺商品に星5のレビューが数多く並ぶ訳です。
要するに、カラクリとしては、金で星と高評価を買っているだけですから。
まあ、買い手としても、レビュー1つ書くだけで商品が安く手に入るのなら、決して損はしない訳ですが……。
尤も、同封のカードにギフト券の話はレビューに書かないでね! と注意書きがあるので、Amazonマーケットプレイスの出品規約的には、この手の取引の持ち掛けは流石に拙いのかも知れませんが。
(後にAmazonカスタマーで確認したら完全な規約違反だそうです)
まあ、提灯レビューばっかりだと、レビューの信頼性が著しく低下する訳ですし、普通に考えて褒められる行為では無いですしね。
畢竟、このモバイルバッテリーは、急速充電対応の18000mAh程度の容量があれば満足で、且つ、星5レビューを書いてAmazonギフト券を貰うつもりがある人ならば、無料みたいな値段で手に入ってお得なので、おすすめと言えなくもありません。
逆に、詐欺の片棒担ぐ様なレビューを書く気がないのなら、詐欺商品だし容量少ないし別にお値打ちでもないので、買うのは止めておきましょう。
私は結局、このモバイルバッテリーは、総合的な判断から返品しました。
¥2239円で購入したバッテリーその2の容量実測結果

さて、こちらのバッテリーはAmazonのレビューでも5Vで27000mAH程度の容量があるとの情報を見ましたので、最低でも3.7でV30000mAh、ワンチャン40000mAhあるかもと期待しながら、一度満充電にした状態からの放電と、電力が無くなってからの充電で、モバイルバッテリーの実容量を計測します。
放電時の容量
このモバイルバッテリーは、最低でも30000mAhの容量があると思われるので、テスト時間を短くする為に、3Aで放電する事にします。
最初に一度満充電状態するのに結構時間が掛かりましたが、確りディスプレイの数字が100%表示になってから放電を開始しました。

写真がブレてしまいました。読めるからいいや。
上の画像が放電テストの結果です。5Vで19436mAhだったので、3.7Vに換算すると変換ロス分を足して約31000mAhくらいだと思われます。この数字から、どうやら中身は、10000mAhのリチウムポリマー電池のセル✕3で確定だと思います。
残念ながら流石に40000mAhはありませんでしたね。多分30000mAhだと予想はしていたので、受けたショックは小さいですが。
このモバイルバッテリーの場合、容量詐欺商品である事実は揺るぎませんが、¥1円辺りの容量が約13.4mAhとなり、価格と容量のバランスが、これくらいなら許せると納得可能な範囲内に収まっています。
実際これなら、30%OFFクーポン適用が前提ですが、ダイソーのモバイルバッテリーを買うよりもお得です。
充電時の容量
30000mAhのバッテリーの充電は時間が掛かりそうなので、寝る前に充電用のUSB電源に挿して朝起きる迄の間、放置しました。……が、使っている充電用電源がショボいのか5Vで1.5Aくらい流れる充電ペースなので、当然ながら朝になっても全く終わってませんでした。1.5A充電だと容量的に単純計算で20時間くらいは必要になります。

上の画像の様に、充電完了後に確認すると5Vで27030mah入りました。3.7V換算だと36527mAhになりますが、ロスがあるので賞味30000mAh程度だと思って間違い無いでしょう。
外観や重さ等など

上の画像ですが、化粧箱が豪華です。モバイルバッテリーの本体は、見ただけで判る中々の分厚さです。
30000mAhでこれですから、本当に50000mAhあるモバイルバッテリーなら、もっとぶ厚くなるでしょう。
化粧箱や本体に、実容量が30000mAhなのにデカデカと50000mAhと書いてあるのは、全く頂けません。購入者を騙してなんぼという言う悪意が感じられます。
画像では判らないのですが、電力の残量を表示するディスプレイは直方体の側面……一番面積の小さい面(縦置きした時の天辺)にあります。
電源ボタンは、押すと言うよりも指の腹を当てると一瞬遅れた感じで反応します。

上の画像は、モバイルバッテリーの厚みの比較として、上から、30000mAh、2000mAh、10000mAhを並べてみました。
容量=リチウムポリマー電池のセルを何枚重ねているかが全て、と言うのが良く判ります。
いや本当に、繰り返しますが、エネルギー密度的に薄型大容量のモバイルバッテリーとか、絶対に有り得ませんので。騙されないで下さい。
余談ですが、最近出廻り始めているリン酸鉄リチウムイオン電池のセルだと、エネルギー密度が低いので、同容量だと体積はリチウムイオンやポリマー電池よりもっと大きくなります。

上の画像は重量測定です。
本体の重量615g。30000mAhの容量ですらもう結構重いですね。
もし、50000mAhのモバイルバッテリーであれば、本体重量は1kg近くになりそうです。
大容量を求めるのなら、重くなるのは仕方ありません。
尚、この製品はPD、QC等の急速充電に対応しており、5V3A、9V2A、12V1.5Aの出力モードを持っています。
さて、総合的に考えてこのモバイルバッテリーですが、価格も安く、それでいて30000mAhの容量はあるので、予め出品者の提示する容量は嘘と納得の上で買うのなら悪く無く、かなりおすすめです。
大容量の分、充電の時間がかなり掛かりますが、その代わり、このモバイルバッテリーの出力なら繋いだUSB給電式の機器を長く動かせます。
大容量モバイルバッテリーが欲しいのなら価格的にもこちら悪くないのでおすすめです。
携帯性を求めるのなら容量が犠牲に、大容量を求めるのなら携帯性が犠牲になってしまうのは自然の摂理です。
本当に50000mAhの容量があるモバイルバッテリーはデカく分厚く重くて当然
因みに、本当に容量が50000mAhあるモバイルバッテリーは、Amazonでも販売されていますが(以下の商品の様に)、モバイルと言うよりはもうポータブル電源で、見た目が巨大でまるでレンガです。
今の人類の技術では、これくらいの大きな図体がなければ、50000mAhの容量を確保するのは不可能と言う事です。


本当にもう最近の安いモバイルバッテリーは容量詐欺ばかりなので購入する時は気を付けましょう
Amazon等の通販には、容量詐欺のモバイルバッテリーが蔓延っておりますので、購入したモバイルバッテリーの容量が正しいのかをテストするのに、以下の様な安物の放電容量テスターでも良いので、一つ持っておくことをおすすめします。
そして、もしインチキな商品を掴まされた時の為に、出来るだけ100%の返品保証があるAmazon発送の商品を買いましょう。

上の2台とは別に40000mAhで¥1,290のモバイルバッテリーも買ってみたが……
実は、¥1999円で購入したバッテリーを返品した後、50%OFFクーポン付きの40000mAhのモバイルバッテリーを見付けたので¥1,290で購入しました。
割とお値打ちに思えますが、クーポンを使えるのは、恐らくお一人様一回だけだと思いますので、買えるのは1台限定っぽいです。
こちらは急速充電には非対応、厚み的に実容量20000mAhだと思われますが、¥1,290ならかなりお買い得だと思って。(その予想は無情にも裏切られるのですが)
このモバイルバッテリーに関しては、機会があれば別の記事でレビューしたいと思います。
