セリアの保護メガネはポリカーボネート製、素材的に紫外線防止効果が高いと錯覚していたが……
ポリカーボネートってだけで紫外線カット効果ありそうだろ?
100均ショップのセリアでは、税込110円で「ゴーグルタイプ保護メガネ」が販売されています。
商品の情報を調べると「素材:ポリカーボネート」であり、価格の割にはしっかりした作り。DIYや掃除、花粉対策など多用途で使えると評判の商品です。

私は最初、この保護メガネが「紫外線(UV)」や「ブルーライト(HEV)」をしっかりカットしてくれるはずだと信じ込んでいました。
というのも、ポリカーボネートは本来、紫外線を吸収する性質が強い素材として知られているからです。
サングラスやUVカットレンズの素材にも使われているので、当然ながら「110円でも紫外線カット効果はあるだろう」と思い込んでしまったわけです。
しかし、実際に検証もせず「素材がポリカーボネートだから大丈夫」と盲信するのは危険です。
もし紫外線カットを期待して使ってしまい、後から「実は全然防げていなかった」と分かれば、目の健康に直結する大問題となります。
そこで今回、UV・HEV-LEDと紫外線チェックシールを用いて、セリア保護メガネの紫外線および420 nm付近のブルーライト(高エネルギー可視光)カット性能を実際に検証してみました。
先に結果を言うと……残念!
結論からお伝えします。
セリアの保護メガネは、紫外線カット性能もブルーライトカット性能も、期待していたほど高くはありませんでした。
もちろん、完全に無意味というわけではありません。裸眼よりは多少、光が軽減されている可能性もあります。
ただし、勝手に「全てのポリカーボネート=紫外線防止効果が高い」という思い込みをしていた身としては、かなり残念な結果でした。
では具体的に、どのような検証を行ったのかを見ていきましょう。
セリア保護メガネの紫外線&ブルーライトカット性能テスト
テスト方法
検証には、市販の「紫外線チェックシール」を使用しました。これはAmazonで買えます。
これは紫外線を受けると、強度に比例して色が濃く変化するシールで、UV対策グッズの効果検証などに便利なものです。
手順はシンプルで、
- 紫外線チェックシールを、セリア保護メガネのレンズ後方に配置
- さまざまな波長のUV-LEDを前方から照射
- メガネが紫外線を吸収できていればシールは変色しない
- 透過した場合はシールが紫外線を受けて色が濃くなる
という流れです。


使用したUV-LED
- 305 nm(UVB)
- 325 nm(UVA2寄り)
- 340 nm(UVA2)
- 365 nm(UVA1)
- 385 nm(UVA1)
- 400 nm(UVA1〜HEV境界)
- 410 nm(HEV領域)
※各LEDのピーク波長は販売元の公称値です。
検証結果
結果は以下のとおりです。
LEDピーク波長 | 光線区分 | カット性能 |
---|---|---|
305 nm | UVB | ◯ カットする |
325 nm | UVA2 | ✘ 透過する |
340 nm | UVA2 | ✘ 透過する |
365 nm | UVA1 | ✘ 透過する |
385 nm | UVA1 | ✘ 透過する |
400 nm | UVA1 | ✘ 透過する |
410 nm | HEV(ブルーライト域) | ✘ 透過する |
テストから分かったこと
結果は、期待を大きく裏切るものでした。
- UVB(305 nm)だけはある程度カットできている
- しかしUVA領域(320〜400 nm)やブルーライト(400〜420 nm)は素通し
という、残念な内容。
本来、目を保護するという意味では、太陽光に含まれる280〜420 nmの高エネルギー光線(UV+HEV)をしっかりカットしてほしいところです。しかしセリアの保護メガネは、UVBには多少効いても、それ以上の波長にはほとんど効果がありません。
「ポリカーボネート製=必ず紫外線に強い」という認識は誤りで、実際にはグレードや製法によってカット性能が大きく異なるようです。
まとめると
- セリア保護メガネはUVやブルーライト対策にはならない
- ただし、検証して確認できただけでも意味があった
というのが今回の結論です。
紫外線やブルーライトのカット性能は残念だが使い道は多数ある格安保護メガネ
とはいえ、セリアの保護メガネは「紫外線対策グッズ」としては微妙でも、「作業用の保護具」としては非常にコスパが高い商品です。
- DIY作業での飛散物から目を守る
→ 木材の削りカス、金属粉、掃除時のホコリなどを防げる - 花粉対策
→ 花粉症の季節に使う人も多く、メガネ型より顔にフィットするゴーグルタイプは特に好評 - 料理中の目の保護
→ タマネギを刻むときに目が痛くなりにくい、という口コミも
さらに、110円という圧倒的低価格。
たとえ壊れても気軽に買い直せるため、「使い捨て感覚」でリピート購入している人も少なくありません。実際、店頭で売り切れていることもあり、根強い人気商品となっています。
私自身も、眼鏡の上から装着できるゴーグルタイプなので、次亜塩素酸水を使ったカビ除去作業や、薬品を扱うDIY作業の際に愛用しています。
結論:UVカット性能はイマイチ、でも日常作業には十分
もしこの保護メガネに紫外線やブルーライトの高いカット性能があれば、まさに「最強の保護メガネ」になったでしょう。
しかし、そこはやはり税込110円。過度な期待は禁物です。
- 紫外線・ブルーライト対策 → 別途、専用のUVカット眼鏡を用意するべき
- 飛散物・花粉・薬品対策 → セリア保護メガネで十分対応可能
という使い分けが現実的です。
補足:ポリカーボネートが苦手とする薬品
ポリカーボネートは強度が高く透明性にも優れていますが、化学薬品に対する耐性はそれほど高くありません。特に以下のような薬品には弱く、白化・ひび割れ・変形の原因となります。
- 有機溶剤(アセトン、ベンゼン、トルエンなど)
- アルカリ溶液(水酸化ナトリウム、アンモニア水など)
- 強酸(硫酸、硝酸などの濃酸類)
- 一部の洗剤やアルコール(高濃度エタノールやイソプロパノール)
つまり、除光液やシンナー類を使った作業、強アルカリ洗剤での清掃、薬品実験の保護具としては不向きです。
一方で、水・弱酸(酢酸など)・中性洗剤には比較的安定しているため、日常的な使用や軽作業には問題なく使えます。
今回の検証で、安価な保護メガネの実力を正しく理解できたこと自体に意味がありました。
「安い=万能」ではないことを確認できただけでも収穫と言えます。
安物への盲信は禁物、本当にUVカットできる眼鏡を選ぶなら
セリアの保護メガネは、110円という圧倒的な安さで「飛散物対策」「花粉防止」「ちょっとした薬品作業」など日常用途には大いに役立ちます。しかし今回の検証で分かったように、紫外線やブルーライトのカット性能を期待するのは間違いでした。
もし本気でUV対策を考えるなら、やはり専用の「UVカット眼鏡」を選ぶ必要があります。最近ではAmazonなどでも、以下のようなスペックを持つ製品が数千円で手に入ります。
- UV400カット表記があるもの
→ UVA・UVBを含む400 nmまでの紫外線をほぼカット可能 - ブルーライトカット率◯%と明示されているもの
→ PC作業やスマホ長時間使用時の目の疲れ軽減に有効 - JIS規格(日本産業規格)やCEマーク付き
→ 信頼性の高い安全基準を満たしている
逆に、明確な数値や規格が書かれていない商品は、素材や見た目で判断してしまうと今回のように期待外れの可能性があります。
つまり、「用途を分けて賢く選ぶ」のが大事です。
- DIYや掃除用 → セリア保護メガネで十分
- 紫外線やブルーライト対策 → 専用のUVカット眼鏡を別途用意
こう割り切って使い分ければ、コストを抑えつつ安全性も確保できます。
110円のセリア保護メガネは、残念ながら「万能」ではありませんでしたが、今回の検証でその性能をしっかり理解できたことは収穫でした。むしろ、安価だからこそ過信せず、正しい知識を持って適材適所で使い分けることが重要だと思います。
