自作で不要PC用電動ファンを扇風機やサーキュレーターにする 夏を乗り切るDIY!

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DIYと自作

夏に備えて扇風機かサーキュレーターが欲しい

 今年も、蒸し暑くて不快な夏が近づいてきました。
 この時期は金に糸目をつけないなら、クーラーの設定温度を低めにしてガンガンに冷やせば快適に過ごせますが、それをやると後が怖い——電気代の請求額に震えることになります。
 結局のところ、毎年「節約モード」で、ドライ(除湿・弱冷房運転)を26℃設定にして我慢するのが恒例です。冷房よりは省エネと言われますが、それでもやっぱり暑い。

 少しでも体を動かすと汗ばんできて、「風がないとヤバいな」と感じます。熱中症予防の観点からも、やっぱり扇風機の風は必要不可欠。
 畢竟、クーラーがあっても扇風機やサーキュレーターは欠かせないわけです。

 そこで今年は、夏に備えて扇風機かサーキュレーターをもう1台追加しようと考えました。……が、時期が悪かったのか、ネットでも店頭でも、1,000円台で買えるような安価なモデルが見つからず断念。

 そこでふと思いついたのが、「とりあえず家にある電動ファンを扇風機代わりにする」ということ。
 幸い、パソコンのケースファン(直径8〜12cm程度のDCファン)が、新品・中古あわせて家にゴロゴロあります。これを活用して、ちょっとした一工夫で即席扇風機、さらにはサーキュレーターとして使えるようにしてみました。


コンセントからの給電で長時間使える扇風機にしたい!

DC用のファンをAC給電で使いたい

 パソコン用のファンは、たいてい直流(DC)電源で動作します。なので、扇風機として使う場合も、本来は5Vや12VのDC電源を用意するのが一番手軽です。
 とくにUSB電源を使うなら5V駆動のファンが相性が良く、多く使われています。

 ただし、12V用のファンを5Vで回すと風量が落ちてしまうので、しっかり風を出したいなら、5V→12Vに昇圧するためのDC-DC昇圧コンバータなどが必要になります。

 とはいえ今回は、「コンセントに差せばすぐ動く」タイプの自作扇風機を目指すことにしました。つまり、AC100V(家庭用コンセント電源)を利用するという方向です。


家に余っていた電動ファンを活用する

 昔、ヤフオクで定格24V・0.25Aの12cm角ファンを20個ほどまとめ買いしていて、いくつか未使用のまま残っていました。これを使って扇風機を作ってみることにします。

 このファン、実は5Vでも一応動作し、その場合は音もほとんどしない静音仕様になります。パソコンの冷却用にも便利に使ってきました。
 ただし当然ながら、電圧が低ければ静かでも風量は物足りません。扇風機として使うにはもっと電圧をかけてあげる必要があります。風量が増えれば同時に音もやかましくなります。

 ■ 駆動電圧と風量の関係
 - 5V駆動:かなり静か、風量は少なめ
 - 12V駆動:風量アップ、やや音が大きくなる
 - 24V駆動:かなりの風量と同時にかなりの爆音

 というわけで、AC100VからどうやってDC24Vを得るかを考えていきます。


コンセントのAC電源をDCに変換するには?

 交流(AC)を直流(DC)に変換する方法は、実はそれほど難しくありません。たとえば、

  • 半波整流:ダイオード1個で簡単に実現可能
  • 全波整流:ダイオード4個で構成でき、市販のブリッジダイオードでもOK

 整流回路でAC100Vを直流化し、必要であれば(降圧トランスを買うと高いので)抵抗やトランジスタなどで電圧を下げる、というのが基本的な流れです。

 ただし、平滑化(ノイズ除去や電圧安定)を行わない雑な電源でも、ファンのような単純なモーター駆動機器なら一応動作します。
 でも、その方法では電圧変動が大きく、風量が安定しなかったりファンを傷める可能性もあります。


AC100V→DC24V変換時の注意点

 AC100Vは「実効値」であり、実際の電圧波形は最大141Vの正弦波です(100V × √2 ≒ 141V)。
 つまり、もし単純に「100V−24V=76Vの分だけ降圧すればいい」と考えてしまうと、ピーク時には76V降圧させても65Vに落ちるだけなので、ファンが過電圧で壊れる可能性があります。安全のためには117V降圧させる必要があるかもしれません。

 たとえば定格0.25Aのファンに対し、117V降圧するには、

117V ÷ 0.25A ≒ 468Ω の抵抗が必要

 この場合、抵抗器には最大で(瞬間)約30Wもの熱が発生することになります。
 さらに、0~141~0Vと時間経過で電圧が変化し続ける状態なので、平均電圧で考えるとかなり低くなり、結局風量も物足りなくなるかもしれません。

 こうした手法は、ネタ的には面白いですが、無駄も多く、実用性には乏しいです。今回は採用しません。


LED用の定電流ドライバーを使ってみる

 そこで登場するのが、LED用のAC-DC定電流ドライバーです。

 昔、1個あたり約100円で購入して放置していた「AC85〜265V入力/DC3〜12V出力・定電流300mA」のドライバーがあったので、今回初めて試してみることにしました。

 これらは分厚い消しゴムくらいの小さな筐体に収納されており、恐らく中にはブリッジダイオード、降圧用トランス、平滑コンデンサなどが入っていると思われます(分解していないので不明ですが…)。

 いずれにしても、自分で同じ機能をもつ回路を組もうとすると、部品代だけでも100円にはとても収まらないはず。
 そう考えると、こうしたアッセンブル済みの製品が激安価格で手に入ること自体が、とんでもなく高コスパだと感じます。


定電流ドライバーで電動ファンが無事に動いた

定電流ドライバーを買うときは仕様をしっかり確かめましょう

 今回使用したLED点灯用の定電流ドライバーは、樹脂ケースに収納されたタイプでした。ちなみに、さらに安価な製品になると基板むき出しのモデルもあります。

 また、入力電圧がAC12Vとやや低めのもの、出力電流が大きいもの・小さいものなど、仕様はさまざまです。
 購入時には、仕様が自分の用途に合っているかをよく確認しましょう。


出力電圧はアバウトな記載が多い?

 LEDは「電流にさえ気をつければ、電圧はある程度いい加減でも点灯する」ためか、市販されているLED用定電流ドライバーの電圧表記はかなりざっくりしています。
 私が購入したものも「出力 DC3〜12V」としか書かれていませんでした。

 でも、モーター(=電動ファン)を動かす場合は電圧オーバーは故障のもとです。
 まずは「開放状態(=負荷をつながずにコンセントに挿した状態)」で、実際の出力電圧をテスターで測ってみることに。

 結果、開放状態で約21Vでした。これがこのドライバーの無負荷時の最大出力電圧です。

 もちろん、負荷を接続すれば電圧は自然に下がります。
 このあたりは、昔よく見かけた「非安定化型の安価なAC-DCアダプター」と似た挙動です。


実際につないでみるとどうなった?

 開放で21Vなら、定格24Vの電動ファンにつなぐ分には特に問題ありません
 ただし注意点として、こういったAC-DC変換回路でモーターなど誘導性の負荷を動かす場合、逆起電力対策用のダイオードを忘れずに付けましょう。保護のために大事です。

 実際にファンを接続してみたところ、出力電圧は約17Vまで下がりました
 このときの電流はおよそ0.2A程度で、電圧の落ち込みも想定より小さく、風量はかなり強めでした。

 このファンは定格24Vなので問題ありませんでしたが、仮に12V定格のファンだった場合過電圧で故障のリスクが大なので、使用する際には必ず電圧と定格の確認が必要ですね!


風の体感・実用性

 こうしてできた自作ファンに実際に風を当たってみると、普通の小型扇風機の「中〜強」くらいの風量はありそうです。

 音はそれなりに出ますが、日常生活の中で気になるほどではありません
 エアコンと併用すれば、エアコンの設定温度を高めにしても快適に過ごせるレベルです。

 家に余っているDCファンがあれば、市販の扇風機の代わりとして十分実用的に使えます。


サーキュレーター化も可能!

 ちなみに、風を前方に直線的に送るサーキュレーター的な使い方をしたい場合は、「風切り羽根(ダクト風の整流フィン)」を前面に取り付けると良いです。

 この風切り羽根は、そこまで耐久性を求めなければ厚紙などで簡単に自作可能
 ちょっと工夫するだけで、ファンの風を前方へ絞って送れるようになり、部屋の空気循環にも効果的です。

 ちなみにこれは、市販の普通の扇風機に取り付けてもサーキュレーター化できます
 実際にやってる人も存在するので、ネットで検索すると印刷して使える風切り羽根の製作図が公開されていますので、探してみて下さい。


電動ファンは扇風機の代用品として「アリ」!

 いずれは市販の扇風機やサーキュレーターを購入するつもりでも、秋のシーズンオフには値下がりして叩き売りされるのが毎年の定番。

 それまでの「つなぎ」として、余っている電動ファンを使った自作扇風機はコスパも高く、一夏乗り越えるには十分に実用的です。

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