電池容量詐欺の冷蔵庫用オゾン脱臭器 制御基板の電池の低電圧保護がギリギリを攻めて際どい 過放電防止回路を追加する

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DIYと自作

手拭きタオルと一緒に掛けて嫌な臭いを防止する為に買ったオゾン脱臭器 ディフォルトの内蔵電池の放電終止電圧設定は危険領域のギリギリ!

 Amazon等で、小型の冷蔵庫用と銘打ったオゾン脱臭器が販売されております。ぱっと見、良さ気な商品で、私はこれを6個購入しました。
 このオゾン脱臭器ですが、小さいけれどフック付でちゃんとオゾンは発生するので、手拭きタオルと一緒にハンガーに掛けておくと、悪臭の原因となる雑菌の増殖を防いでくれ、タオルに嫌な臭いが付かないので、中々重宝しています。
 しかし、内蔵バッテリーの容量に関しては完全な詐欺商品であり、Webの商品説明や同包の説明書には、1200mAhのバッテリー内蔵と書いてあるのに、裏面の螺子を外して中を見ると、実際には800mAhの18650リチウムイオン電池しか内蔵されておりません。
 内蔵バッテリーの容量が僅か800mAhしかないので、当然ながらこのオゾン脱臭器は、電池の持ちが頗る悪いです。
 オゾンの生成量を弱で稼働させても、精々3日程度しかバッテリーが持ちません。其の癖、充電には3時間近く掛かります。

 ディフォルト状態では頻繁に充電が必要になり、使い勝手が悪過ぎるので、家に大量に余っている2000mAh超えの容量がある18650リチウムイオン電池に、中身を交換しようと考えました。
 そこで何となく、元々入っていた800mAhの18650リチウムイオン電池を、オゾン脱臭器が電池切れで停止した状態で電圧を測ってみた処、驚くべき事に何と2.9Vという、電池的にかなり拙い低電圧になっていました。これは、完全に過放電状態です。2.7V迄は一応大丈夫な様です。しかし、そこから自己放電で更に電圧が下がったらアウトです。余裕を持って3.4V辺りの電圧で放電を停止させるのが安全で無難な設定です。

 デリケートなリチウムイオン電池は、満充電で4.2V、残容量無しで放電を停止するべき基準が3.7Vの筈で、3.7Vは勘違いでした。3.4Vくらいで放電ストップが安全圏です。それ以下の電圧にしてしまうと、過放電で電池が激しく劣化して寿命が縮む可能性が生じます。
 ……だと言うのに、このオゾン脱臭器の内蔵バッテリーは、自然に2.9Vまで放電されていました。
 試しに、その電池を満充電の4.2Vになる迄、充電をし直し、再度、オゾン脱臭器の稼働中を表すLEDランプが完全に消灯する迄、稼働させて放置してから、もう一度電圧を測ってみると、今度は3.0Vでした。
 どの道、3.0V以下になるまで放電を許容するのはリウムイオン電池に優しくはないです。

 何と言う事でしょう。このオゾン脱臭器の制御基板は、バッテリーの低電圧保護、過放電防止回路が未搭載の様です。放電終止電圧が割と危険領域ギリギリを攻めているみたいです。
 要するに、電源をオンにして放置すると、バッテリーから際限無く電力を絞り尽くしてしまうという、恐ろしいバッテリー使い潰し仕様なのです。リチウムイオン電池の自己放電特性を考えると、3.0Vを下回る迄の放電は許容せずに、もう少し手前で停止させるべきです。
 バッテリーを労り長持ちさせる為には、過充電や過放電は厳禁です。電圧に注意せずに充放電を繰り返せばバッテリーを酷使する事になり、その寿命は著しく縮まり短くなります。
 このオゾン脱臭器をデフォルト状態で使えば、数ヶ月で内蔵バッテリーが駄目になってしまいそうです。

 そこに気付かずに、端に大容量の18650リチウムイオン電池に換装していれば、今度はその電池が駄目になる処でした。実に放電終止電圧に余裕が無いのが危険な製品です。
 リチウムイオン電池を長持ちさせたかったら、やはり電終止電圧は3.4V辺りに設定すべきです。

 オゾン脱臭器の効能を知った人間は、自分も含まれますが、割とオゾン脱臭器にハマり、複数の装置を買って家の色々な場所に置いたりします。
 そして、安価で買える中華製のオゾン発生装置は、電極の寿命が短く結構直ぐに壊れてしまいます。
 それでもアタリを引けば1年くらいは使えたりするんですが、製造販売側としては、早く壊れてどんどん新しい製品に買い替えて貰った方が儲かるので、製品の品質には注力してないのかも知れません。
 充電式のオゾン脱臭器に、敢えて過放電防止回路を付けないというのは、製造コストを安く抑えるのと同時に、ギリギリを攻める放電終止電圧を設定しているのは、商品寿命を短くして新しいのにとっとと買い替えて貰いたいという意図が込められているじゃないか、と邪推してしまいます。
 序に、電池の劣化を気にせずに限界迄、電力を吸い出せば、オゾン脱臭器の稼働時間はその分長くなるので、少ない電池容量で稼働時間を出来るだけ引き延ばす、という小細工も仕掛けているのかも知れません。
 中華メーカー、中々姑息な真似をしてくれます。

低電圧保護がないなら過放電防止回路を付け加えれば良い

 元々の付属である800mAhのリチウムイオン電池は、まあ駄目になったら駄目になったで構わないのですが、流石に2000mAhのリチウムイオン電池が短寿命になるのは嫌なので、低電圧保護用の余裕を持った過放電防止回路を自作したいと思います。
 過放電防止回路の自作自体は難しくは無いのですが、問題は電圧感知の部分に何処まで高精度を求めるかです。
 放電ストップの電圧を感知するには、電源電圧や温度に依存しない高安定の基準電圧源が必要となります。

 鉛電池やニカド電池、ニッケル水素電池といった充電式電池は、そこ迄シビアに電圧監視しなくても良いので、温度の影響を受けやすいトランジスターのベースエミッタ間電圧(VBE)を基準電圧源にして、電圧の監視に使っても良いのですが、デリケートなリチウムイオン電池用てもそれだと、若干の不安が過ぎります。
 どうせ室内でしか使わないので、そんなに温度変化を気にする事は無いような気もしますが、今回は元電源の電圧が変わっても余り変化しないLEDのVFを基準電圧源にして、オペアンプを使って低電圧保護をしてみたいと思います。

 トランジスターのVBEとLEDのVFだと、何方も半導体特性の利用なので、基準電圧源の精度は目糞鼻糞程度の差しか無い気がしますが、オペアンプと組み合わせる分、トランジスターだけで電圧監視するよりかは幾分マシになる気がします。
 可能なら、秋月電子で買える「低損失CMOS三端子レギュレーター 1.8V100mA UT7500L-18-T92-B-K」辺りを基準電圧源として使いたいのですが、悲しいかな手持がありません。

 回路としては、電力の供給が一時的にでも停まればオゾン脱臭器の制御基板が停止するので、↑(上)の回路図の様な大雑把な感じで大丈夫なんじゃないかと思います。
 注意点は、使用するLEDに関しては、VFが低い(2V前後)、昔ながらの赤色LED等を使用しないと駄目な事と、MOSFETはP-chを選択すべき事でしょうか。
 入手性の高いN-chのMOSFETでも組めると思いますが、個人的にはP-chで組んだ方が、見た目がスッキリするので好きです。

 過放電保護の仕組みは、元電源電圧が一定以上の場合、可変抵抗の分圧で設定した電圧がLEDのVFを上回り、オペアンプはLO信号を出力してFETがON状態になり電流が流れ、元電源電圧が一定以下になると可変抵抗の分圧で設定した電圧がLEDのVFを上回り、オペアンプがHIの信号を出力してFETがOFFになり電流が停止します。
 電流が停止すれば、オゾン脱臭器の制御基板が堕ちるので、電力の消費も停まります。
 尤も、オゾン脱臭器への電源供給が停止しても、抵抗やLEDには電流が流れ続けますが、消費電力は微々たるものなので、リチウムイオン電池への負荷は殆どありません。

 因みに、一応明記しておくと、私が使用するオペアンプは基本LM358です。何故かと言うと、安いし、入手性が高いし、家に沢山在庫があるからです。別に他のオペアンプを使っても問題無いです。

アナログ電子回路シミュレーターのLTspiceでLM358の挙動をシュミレートしてみた

 時間がある時に部品を探してリアルで組む予定ですが、取り敢えず先駆けて、電子回路シミュレーターのLTspiceにオペアンプLM358のspice modelを読み込んで、リチウムイオン電池の電圧でちゃんとLO/HIが切り替わるか、シミュレートしてみました。
 LM358の見た目がオペアンプではありませんが、そこはスルーでお願いします。挙動自体は問題は無さそうです。

 また、自分の経験から言うと、このシミュレータで上手く動作しなくても、実回路だと何故かちゃんと動く場合が結構あるので、シミュレートは所詮シミュレートでしかありませんので、その結果に余り過信は出来ませんが。

↓低電圧保護が作動する3.7VだとオペアンプはHI↓

↓満充電の4.2VだとオペアンプはLO↓

 MOSFETはP-chを使うので、オペアンプがLOの時がONで、HIの時にOFFになります。
 MOSFETは、オン抵抗が小さめで、ゲート・ソース間電圧(VGS)が1~2Vで1Aくらい流れるものなら型番は何でも良いです。
 電子部品の常として、表面実装用の奴が安いので、表面実装部品のはんだ付けに忌避がなければ、その中から良さそうなのを探せば良いと思います。

 オン抵抗が高いFETは、電圧降下が大きいし、発熱もするので使っては駄目です。100mΩ以下のを探すのが望ましいです。

元電源の電圧変化とLEDのVF

 LTspiceのシュミレート上での電圧測定ですが、リチウムイオン電池が4.2Vの時のLEDのVFは1.537V、3.7Vの時のLEDのVFは1.523Vでした。

 LEDのVFが、温度の変化でどの程度の影響を受けるのかは不明ですが、元電圧が0.5V上下したくらいでは殆ど変化しなかったので、温度変化の乏しい室内で使用する分には、充分に基準電圧源として使えそうです。

低電圧保護回路後付オゾン脱臭器 自作過放電防止回路完成

 暇を見付けてリアルで低電圧保護を組みました。
 そして、完成した自作過放電防止回路をオゾン脱臭機に後付してみました。
 穴空き基板をケチって空中配線、しかも完成後のレイアウトを確り考えずに組んでいるので、見た目はあれですが、挙動的には何の問題も無くマトモに動作します。

 基本的に回路図の通りに組んでますが、気分とアドリブで抵抗やノイズ対策用のコンデンサを付け足したりしています。
 アナログ回路のファジーさで、土壇場の思い付きで部品を付け足したり減らしたりしても、割りかし何とかなります。

 リアルで使用したLEDのVFは、実測で大凡1.59Vでした。10Kの抵抗を使っていますから、電源が4.2Vの時、LEDに流れる電流は26μA、3.7V時で21μAです。この程度の微電流でもLEDは点灯します。

 18650リチウムイオン電池が3.7Vになったら放電停止する様に、半固定抵抗(真ん中で調整し易い様に両方に4.7Kの抵抗を接続。4.7K+10K+4.7kだが実測で19.95K)を11.5K:8.45Kに分圧して、その出力電圧をオペアンプの+端子に入力しています。
 リチウムイオン電池の電圧が4.2Vある時は、オペアンプの+端子には約1.78Vの電圧が掛かり、FETからは4.2Vの電圧が出力されます。
 リチウムイオン電池の電圧が3.75V辺りまで下がると、オペアンプの+端子に掛かる電圧も約1.58Vに下がり、LEDのVFよりも低くなるのでFETの出力は0Vになります。
 オゾン脱臭器の稼働時間を極力延ばしたければ、私は結構余裕を見ているので、もっと3.7V付近のギリギリの放電停止電圧を攻めれば良いと思います。
 半固定抵抗は多回転を選んだ方が、微調整がし易いです。
 追記:3.4Vくらいで放電ストップさせれば安全な様です。その場合、分圧は10.68K:9.27Kくらいになります。稼働時間が短くなっても良いのなら、3.7Vでの放電ストップでも別に問題はありません。どうも、3.7V以下になると動作していてもオゾンの生成量が下がっている気がします。

 回路図の処でもちょっと書きましたが、FETの出力が一瞬でも0Vになれば、オゾン脱臭機の電源が切れます。オゾン脱臭機の電源が切れても、過放電防止回路部分にはそのまま微々たる電流が流れ続けますが、本当に僅かでμAのレベルなので、長期に亘り放置しない限りリチウムイオン電池が過放電になる心配はありません。

 まあ、リチウムイオン電池に取り付ける過放電防止回路の完成品はAmazon等で安価で市販されており、簡単に入手可能ですが、昔買ってみたら割と不良品が混在している様な感じで、購入者のレビューにも同じ様な批判が書かれていたので、自分で組むのもありだと思います。

自作過放電防止回路の材料

  • オペアンプ
    • LM358……×1
  • LED
    • 3φ高輝度赤 砲弾型LED SHARP GL3UR45……×1
  • PchパワーMOSFET
    • 60V16.7A MTB060P06I3……×1
  • 積層セラミックコンデンサ
    • 50V 0.1μF……×1
  • 抵抗
    • 10K……×2
    • 4.7k……×2
  • 多回転半固定抵抗
    • 10K……×1

 家に在った部品で適当に組んでいますので、似た様な特性の部品なら、大体何を使って組んでも同じ様に動くと思います。

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