データベースを使わない前提でのCMSの選択肢
前回の記事「WordPressとは?ブログ運営で一強といわれる理由とメリット・デメリット」では、ブログやサイト制作においてWordPress(以後WP)がなぜ一強といわれるのかを考察した。
HTMLの知識がなくてもサイトを簡単に0から制作できる、非常に便利なツールであるWP。しかし、WPを使うなら避けて通れないのが「MySQL」という存在だ。
WPはデータベース型CMSであり、記事や設定はすべてデータベースに保存される。よって、データベースは稼働条件として必須となる。
だが、低予算でのサイト運営を考える場合、利用するレンタルサーバーは格安プランを選択することになる。
するとMySQLが使えない場合もある。当然、WPも利用できない。
では逆に、MySQLを使わないCMSという選択肢はあるのか。
昔ながらの静的ページのみのサイトは、セキュリティ面では強固だが、制作も更新も手間がかかる。
よって、MySQLなしでも動作するCMSの利用を前提に考えるべきである。
今回は、MySQLが使えない格安サーバーではどのCMSを選ぶべきか、その整理をしていく。
1. なぜMySQLが前提になるのか(軽い復習)
WordPressはDB型CMSである。
投稿、固定ページ、ユーザー情報、設定など、すべてがデータベース上に保存される。
そのため、MySQL(または互換DB)が使えるサーバーが必要になる。
ある程度のメモリやCPU性能、そして定期的なアップデート管理が前提となる。
これは拡張性の高さと引き換えの構造でもある。
2. MySQL不要CMSとは何か
一方で、データベースを使わないCMSも存在する。
これらは一般にファイルベースCMSと呼ばれる。
記事はテキストファイルとして保存され、設定もファイルで管理される。
PHPが動作するサーバーであれば十分に稼働する。
つまり、データベースという層が存在しないため、構造が一段シンプルになる。
特徴としては軽量で、設計が単純でトラブル要因が少ない。
サーバー性能の要求が低いため、低予算でのサイト運営では有力な選択肢となる。
その代償として、大規模運営には向きにくく、高度な拡張には工夫が必要という側面もある。
とはいえ、個人サイトの規模であれば大きな問題にはならない。
格安サーバーでも使える代表的なファイルベースCMS
低予算サイトを制作するにあたり、利用できそうなCMSをいくつか紹介する。
実際に軽く試してみたうえでの感想も含めている。
1. Pico
超軽量・超シンプルなフラットファイルCMS。
PHP製で、Markdownで記事を書く。
データベース不要で、テーマもシンプル。学習コストが低い。
向いている人
- とにかく軽く作りたい
- 最小構成でよい
- ミニ特化サイトを量産したい
弱点
- 管理画面が基本的にない(エディタで直接編集)
- 拡張性はやや弱い
- HTML書式の扱いに制限があり、広告設置で工夫が必要
- 新しいPHPバージョンへの正式対応が遅れることがある
2. Hugo
Go製の超高速な静的サイトジェネレーター。
静的HTMLを生成するため表示速度が非常に速い。
SEOに強く、Git運用と相性が良い。
向いている人
- 表示速度を最優先したい
- 将来スケールさせたい
- Git管理に慣れている
弱点
- コマンド操作が必要
- 初心者にはやや難しい
- テンプレート構造に独特の癖がある
3. Bludit
管理画面付きのフラットファイルCMSでMySQL不要。
WP風の管理画面を備え、プラグインにも対応する。
設置が非常に簡単。
※このサイトでは静的TOPと組み合わせてBluditを使用している。
向いている人
- 管理画面が欲しい
- DBなしでWP風に使いたい
- 小〜中規模サイトを運営したい
弱点
- 大規模運用にはやや弱い
- オートセーブなど独特の挙動がある
- 環境によっては保存時にトラブルが起きることがある
4. Grav
高機能なフラットファイルCMSでMySQL不要。
拡張性が高く、キャッシュ機能も強力。
向いている人
- フラットファイルでも本格運用したい
- 将来的な機能拡張を視野に入れている
弱点
- やや重い
- サーバー環境によって動作差が出る
番外編. WP + SQLite
実はWPもDBなしで動かすことは可能である。
本来はMySQL前提だが、非公式レベルではSQLiteで動作させる方法もある。
local環境での記事生成用途としては便利で、ロリポップのエコノミープランでの動作報告もある。
ただし正式対応ではないため、WPのメジャーアップデートで突然動かなくなる可能性がある。
サーバーによっては正常に動作しないことも多い。
本番運用で使うには現状リスクが高い。
低予算でのサイト運営にはファイルベースCMSが有力な選択肢
MySQLが使えない格安サーバーで始めるなら、ファイルベースCMSを前提に考えたほうがよい。
小規模サイトであれば問題は少ない。
シンプルな構成が好き。仕組みを把握したい。プラグイン依存を減らしたい。小さく作って軽く回したい。
こうした考えに共感できるなら、ファイルベースCMSは相性が良い。
巨大化を前提としない副業ブログであれば、十分に現実的な選択肢である。
まとめ
WPはDB型CMSでありMySQLが前提となる。
しかし格安サーバーで始めるなら、DBを使わないCMSを選ぶのが現実的である。
結論として、ファイルベースCMSは低予算・小規模・軽量志向のサイト運営に適した有力な選択肢と言える。